Plutus手数料エスティメーター
開発者が最大効率と最小コストのためにスマートコントラクトスクリプトのコストを見積るのに役立つ、新手数料エスティメーター本日リリース
2022年 1月 21日 10 分で読めます
2021年9月にAlonzoスマートコントラクトアップグレードがメインネットにデプロイされ、CardanoはPlutusで構築された分散型アプリケーション(DApp)を開発するための機能的なプラットフォームへと変貌しました。
Cardanoエコシステムの着実な成長に伴い、多数のDAppが構築され、Cardanoで稼働させる準備を整えています。最終テストでもデプロイメントでも、またはアクティブな開発でも、CardanoはまもなくDeFi製品、NFT市場、ウォレット、取引所、ゲームその他をカバーする、多彩なDAppをホストすることになります。
Cardano台帳の決定性設計によって、開発者はコントラクト実行コストを予測でき、失敗したコントラクトに手数料が発生することはありません。決定性を持つトランザクション処理、定額の手数料、安全性、そのすべてが、Cardanoで取引きおよび構築する主なメリットです。ここでは、Cardanoの価格設定に焦点を当て、手数料処理をより明確にするために開発されたPlutus手数料エスティメーターを紹介します。
Cardanoで構築するメリット
ブロックチェーンの価格競争力に影響する要素は、機能性、クオリティ、安全性、そしてもちろん流動性など多数存在します。
Cardano台帳を支える設計原理は、高いパフォーマンスを発揮しながら厳密な安全性を守ることです。Cardanoは拡張未使用トランザクションアウトプット(EUTXO)会計モデルを使用していますが、これが決定性設計に大きく寄与しています。決定性とは結果の予測可能性を意味します。すなわち、Cardanoのトランザクションおよびスクリプトがローカル(オフチェーン)で検証できるため、ユーザーは、トランザクションをオンチェーンで実行する前に(したがって手数料を払うことなく)トランザクションが有効かどうかを知ることができます。さらに、トランザクション手数料は固定制で予測可能です。これに比べ、イーサリアムのスマートコントラクト実行コストは、ネットワークの負荷に応じて変わり、5米ドルから数百米ドルまで変動します(The ridiculously high cost of Gas on Ethereum(途方もなく高額なイーサリアムのコスト)を参照)。さらに、イーサリアムでは、トランザクションが失敗した場合でも手数料は発生するため、価格設定がさらに不安定なものになっています。
対照的にCardanoでは、ユーザーはトランザクション処理にかかる手数料をあらかじめ計算することができます。これは、トランザクションが有効か否かをユーザーが事前に知ることができるため、失敗する可能性のあるトランザクションに手数料を支払う必要がないためです。これにより、資金の無駄遣いを避け、オンチェーンでの失敗を排除できます。たとえば、CardanoのADA建ての実行手数料は、さまざまなネットワークの混雑要因ではなく、事前設定されたネットワークプロトコルパラメーターに依拠しているため、常に安定しています。
供給よりも需要志向型のCardano価格モデル
Cardanoの価格戦略は、実際の供給量よりも主に市場の需要志向型です。Cardanoでスマートコントラクトがサポートされているため、共通する供給をめぐり競合する複数タイプの需要が発生しています。したがって、相対的価格設定および絶対的価格設定の両方を検討することが重要です。これを行う方法の1つは、スマートコントラクト、NFT運用その他の価格設定の影響を、何らかの共通の値、この場合はCardanoの処理力の消費に照らして綿密に調査することです。
Cardanoスマートコントラクトの価格モデルは固定コストベースですが、これは、支払いリソース(UTXOのサイズ、または実行する際に使用される計算力やメモリー)の価格設定に依存しています。
ステークプールオペレーター(SPO)がネットワークトランザクションを検証するために使用する労力とリソースに公正に報いるために、手数料は必ず支払われなければなりません。さらに、Cardanoを使用するにあたり、いかなる方法も他より大幅に安くなることはないようにすることは、あらゆるクラスの敵対的行為(古典的なDDos攻撃など)を軽減するのに役立ちます。
フレキシブルであることもまた、Cardanoプロトコルの主要かつ重要な特徴です。パラメーターを変更し、価格変動に対応する可能性を提供するためです。たとえば、ADAが急騰した場合に、ユーザーがスマートコントラクトの実行に過剰な支払いをしなくて済むよう、必要に応じてプロトコルパラメーターを調整することができます。
Plutus手数料エスティメーター
Plutus手数料エスティメーターツールは、IOGが価格のベンチマークおよび比較を行うために開発されました。本日、開発者や好奇心旺盛なCardanoユーザーに向けて、これをパブリックテストネットサイトに公開しました。本エスティメーターは、実際のPlutusトランザクションからの情報を使用して、トランザクションに課される手数料を予測します。実際のトランザクションの手数料計算(ネットワークパラメーターを変更したときに課される手数料を決定するためなど)に使用できるほか、開発前あるいは開発中に個々のスクリプトトランザクションやDApp全体の料金を見積もことができます。また、スクリプトの変更や手数料の最適化の効果を判断するのに役立つ可能性もあります。
エスティメーターは、実際のCardanoノードと同じ手数料計算式を使用しています。インプットが十分に正確な場合、必要な料金に関して正確な情報を得ることができます。複数のトランザクションのコストを組み合わせることにより、ユーザーは簡単にDApp全体にかかるコストを予測することができます。これは、開発者やビジネスアナリストなどにとって価値があります。エスティメーターには、実際の料金によって検証された実際のトランザクションに基づいた数多くのサンプルが搭載されています。
手数料計算には3つの情報が必要です。
- オンチェーントランザクションの合計サイズ(バイト):たとえば単純なトランザクションは300バイト程度、メタデータを含むものは650バイト程度、Plutusスクリプトは通常4,000~8,000バイトです(今後最適化により縮小される見込み)。
- スクリプトが使用する計算(CPU)ステップの数:各ステップは、ベンチマークマシンで1ピコ秒の実行時間を表します。通常のスクリプトが消費するのは1,000,000,000CPUユニット(1ミリ秒)未満です。
- スクリプトが使用するメモリーユニットの数:スクリプトが割り当てるバイト数を表します。通常のスクリプトが消費するのは1,000,000メモリーユニット(1MBのメモリー割り当て)未満です。
この実行コストを理解するために、Plutusスクリプト例を挙げます。
図1:Cardanoのスクリプト処理の見積手数料
エスティメーターは、単純なトランザクションの送料が最低0.17ADA、単一スクリプトのコストは可能性として最大2.17ADAであると示しています。
計算は、DAppの実行コストにも拡張できます(図2参照)。たとえば、3つのトランザクション(単純なトランザクション1つとスクリプトトランザクション2つ)を使うDAppのコストは、最大1.50ADA程度となるでしょう。
図2:CardanoのDApp実行の見積手数料
終わりに
Alonzo HFCイベントで、CardanoメインネットにおけるPlutusスクリプトの実行が可能になりました。これはCardanoスマートコントラクトの旅の始まりにすぎません。現在、主要なスマートコントラクトプロジェクトの立ち上げにより、最適化とスケーリングのプロセスを始められるようになりました。これには、現実世界における実際のスマートコントラクト使用に関する、進行形の査定が含まれます。
ユーザーのニーズとネットワークにとっての適切さ、スピードと正確さ、そして、これまで通り、安全性、スケーラビリティ、分散化のバランスをとることが必要です。
コードやスクリプトのさらなる最適化やシステムパフォーマンスの改良により、Cardano手数料モデルは時間の経過とともに洗練されていきます。開発者やステークプールオペレーターのコミュニティと協力して、私たちはスマートコントラクトの成長を監視し、CardanoノードやPlutusインタープリター実装の最適化やその他の調整を行い、公正で予測可能なトランザクション手数料におけるユーザーベースをサポートしていきます。
Plutus Fee Estimator を試して、処理料金を簡単に見積もり、失敗による資金の損失を防ぐ方法を確認してください。 取引。
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