ADAユーザーとCardanoブロックチェーンのソフトウェア開発者の数は拡大し続けています。いくつものプロジェクトが最終テスト段階にあり、またはデプロイを始めている中、Cardano Cube、 Built on Cardano、Building On Cardano、Essential Cardano、Developers.cardano.orgなどのサイトは、既存エコシステムのマッピングに追われています。Cardanoは、ブロックチェーンベースの製品、サービス、システムを構築するための、安全で堅牢なプラットフォームとして作成されました。堅実に開発していくための明確なロードマップで示されているように、現在はグローバルな規模で利用するためのスケーリング段階にあります。
DeFi(分散型金融)は近年爆発的に増加し、有用なものから極めて投機的なものまで、多くの金融商品を生み出しています。この市場の成熟により、最終的にDeFiが目指しているのは、個人や企業が銀行などの中央の高額な仲介業者を経由せずに金融活動に従事できるようにすること、または、インフレやマイナス金利の時代に得られる資産のリターンを増やすことです。
Cardanoはこの考えを膨らませてきました。目的は、低価格の銀行サービスや保険サービスを、このような商品にアクセスできない世界各地の何百万もの人々にもたらすことです。これは、開発国と開発途上国の間の障壁を壊すことに資するでしょう。私たちはこのビジョンを「リアルFi」と呼びます。
このCardanoの急成長にもかかわらず、全体的なブロックチェーンの理解や普及レベルはいまだ低いままに留まっています。これは特に、暗号資産に関心を持つ人々が格闘しなくてはならない、山のような専門用語のためです。したがって、新たにCardanoに興味を持つ人々の次の波に備えて(そしてこのブログの新しい読者を歓迎するために)、年初はこのテーマで始めるのがふさわしいと考えました。
ここでは、ブロックチェーンについて頻繁に目にするいくつかの複雑な概念を解きほぐしていきたいと思います。DeFi、リアルFi、DApp、DEX、流動性といった言葉は、最新のブロックチェーン製品と切り離せません。以下、これらの用語の意味を見ていきますが、まずは基本から始めましょう。
DeFiのスタート地点
すべての始まりはブロックチェーンにあります。単純に言えば、ブロックチェーンは取引についてのデジタルの帳簿、会計士が台帳と呼ぶものです。この帳簿の特別なところは、これが1つの個人や企業、政府当局により管理されていないという点です。その代わりに、記録は分散化された方法で登録されます。ここで言う分散化とは、何千人もの人々のコンピューターが互いに通信して、トランザクションが有効であるかどうかに同意することを意味します。合意には、彼らが実行しているブロックチェーンソフトウェアに内蔵された規則に基づいて達します。ブロックチェーンの記録は変更することができず、誰でも調査することができます。すなわち、トランザクションの記録を消去したり、額を偽造したり、詳細を隠したりすることは不可能です。この機能により、透明性が確保され、ユーザー同士信用することができます。興味深いことに、ブロックチェーンはこのような情報を開示していますが、ユーザーはアドレスとして「表示」されます。したがって、誰もがブロックチェーンの始まりからどのようなトランザクションがどのアドレスからどのアドレスへ成されたかを見ることはできても、ブロックチェーンアドレスから個人を特定することは誰にもできません。
分散型システムのメリットは図1にまとめられています。
それでは、ブロックチェーンは日常生活にどのように生かすことができるのでしょうか。そして、それはなぜ大事なのでしょうか。その答えは、ブロックチェーンは潜在的に無限数のアプリケーションに対して、特定の条件下で資金を取引または交換するものだ、ということです。医療、アート、小売り、収集、飲料、スポーツウェア、ゲームの企業は、すでにブロックチェーン技術を使用しています。
図1:分散型金融と従来の金融
分散型金融とは何か
分散型金融またはDeFiとは、ブロックチェーンをベースにした金融形式であり、従来の金融と同じニーズに応えます。送金、入金、製品やサービスの支払い、そして、債券や株式の代わりに暗号資産プロジェクトへの投資を行うことができます。しかし、DeFiはいかなる中間業者にも依存せずに、スマートコントラクトを使用して公正に取引を決済します。Atala PrismのようなIDコンポーネントを加えて、現実(リアル)世界への「橋」を架けることにより、私たちが呼ぶリアルFiを実現することができます。
通貨
従来の方法では、製品やサービスの支払いに通貨を使用します。この交換媒体は、通常中央銀行が発行する貨幣や紙幣で表されます。暗号資産ユーザーは、現実世界の通貨を表現するためにフィアット(法定通貨)という用語を多用するようになりました。米ドル、英ポンド、日本円はすべてフィアット通貨です。この言葉は、政府が金による通貨の裏付けを廃止して以来使用されています。金で裏付ける代わりに、政府は、その通貨が法的通貨であるという正式な法令(フィアット)を発します。
ブロックチェーンでは、フィアットの代わりに暗号資産が使用されます。以下に、さまざまな暗号資産のタイプをあげます(図2)。
図2:暗号資産の種類
仕組み
DeFi用語の特殊性に入る前に、その仕組みを見てみましょう。セキュリティと公正な合意を推進するのは、スマートコントラクトです。仮に、DeFiアプリをダウンロードして、アリスに10ADAを貸そうとしていると考えてください。この場合、アリスが返済してくれるという保証が必要ですし、返済が期日に遅れた場合に利子を課したいと考えています。従来の方法では、ユーザーは契約に署名して、こうした条件を特記します。これはブロックチェーンでも可能ですが、スマートコントラクトの形式で行われます。
- スマートコントラクト:自動化されたデジタル契約。複数の当事者間で取引の拘束力のある部分を追跡、検証、実行するコードで作成されます。コントラクトの各段階は、前提条件が満たされるとスマートコントラクトにより自動的に実行されます。
興味深い事実として、スマートコントラクトはそれ自身が特定のデータを探すことはありません。たとえば、アリスが1月20日を返済期限とすることに同意したとします。スマートコントラクトが実行されるためには、日付、アリスがトランザクションを処理したかどうか、送金額が支持された額と一致するかを知る必要があります。このために、スマートコントラクトはオラクルを使用します。
- オラクル:現実世界のデータとの通信手段。オラクルは信用できる外部のデータソースに接続し、スマートコントラクトが正確なタイミング、天候、選挙結果、スポーツの統計、暗号資産の価格などのデータセットを参照することにより、実行できるようにします。オラクルは、タイムリーで正確、改ざん無しのデータを保証します。
Cardanoでは、ユーザーはPlutusまたはMarloweコントラクトを使用できます。
- Plutus:Cardanoでスマートコントラクトを作成するためのプログラミングツール一式。9月にCardanoにデプロイされ、Plutusトランザクションとコントラクトを実行するソフトウェアPlutus Coreと、極めて安定したプログラムを作成するためにデザインされた言語Haskellをベースにした、Plutusプログラミング言語を備えています。また、メインチェーンで使用する前に開発者がコードをテストできる場所、Plutus Playgroundもあります。
- Marlowe:金融スマートコントラクト作成用にデザインされた専用言語。金融アプリケーションに限定され、プログラミングよりも金融の専門家向けに作られています。Marlowe Playgroundでは、ユーザーがウェブブラウザーを使用して、Marloweコントラクトを作成、編集、シミュレーション、分析することができます。Marloweは昨年後半にCardanoにデプロイされました。
DeFiエコシステム
ユーザーは、さまざまな目的のために、異なるDeFiプラットフォームやアプリケーションにアクセスします。たとえば、資産管理製品(または単純にウォレット)、ストア、ユーザー間の暗号資産の送入金です。分散型アプリケーション(DApp)は多数存在します。
- DApp:ブロックチェーンで実行されるデジタルアプリケーション。DeFi製品、NFTマーケット、ウォレット、取引所、ゲームなど、DAppにはさまざまな種類があります。
Cardanoエコシステムが急成長をしている中で、DeFi製品がCardanoに続々と登場しています。ユーザーはまもなく、金融ニーズを満たす新しいDAppやプラットフォームを利用できるようになります。したがって私たちは、ユーザーと開発者コミュニティが最高品質の製品を提供し、消費することができるよう、取り組んでいます。
- dAppStore:すべてのCardano DAppのためのユーザーフレンドリーなマーケットプレイス。ブロックチェーンに関して限られた知識しか持たないユーザーが、テクノロジーを有効に使用する方法を探れる場でもあります。
- DApp証明:製品が特定の品質チェックを満たしていることを保証する助けとなる証明。任意ではあるものの(Cardanoは結局のところオープンで分散型であるため)、証明にはスマートコントラクトの監査に役立つセキュリティチェックが含まれているため、開発者とユーザー双方に資します。証明には3段階あり、それぞれが相互に補完しています。
DeFiプラットフォームとDAppは、主に金融活動に対応します。資金の送受信のほかに、投資、貸付、借入にも使用できます。
実際に、ユーザーはブロックチェーン上で利子を払うことなく暗号資産を借り入れることができます:
- フラッシュローン: 担保(他の暗号資産やトークンのローンを確保するために必要な資金)やKYC検証(本人確認)を必要としない即時ローン。ただし、フラッシュローンは、借り手に貸し出されたのと同じブロック内で返済する必要があります。ローンが返済されない場合、最初のトランザクションはリジェクトされ、資金は発行者が保持します。
それでは、DeFiでもっとも一般的に使用される用語をもう少し見てみましょう。
- 取引所:ユーザーが暗号資産を売り買いできる暗号資産の取引市場。取引所には2種類あります。CEX(集権型取引所)は、規制や規則に認可された特定の集団または構造に管理されています。DEX(分散型取引所)は仲介業者のいない暗号資産取引所を指し、ユーザーは、安全なP2P環境で資産を売り買いできます。
流動性も、よく耳にする言葉でしょう。これは、特定のDEXやCEX、または別のネットワークにおける、循環供給と取引活動を測定します。循環供給は、ユーザーの取引ニーズを満たすために極めて重要です。たとえば、アリスが自分の所有するビットコインを一部売って、ADAを購入したい、そして、新しいショッピングアプリ用にいくらかのトークンを必要としているとします。ビットコインの取引は非常に一般的なので、まったく問題はありません。ADAの購入も、選んだ取引所がサポートしていれば問題ないでしょう。しかし、彼女が探しているトークンがまったくなければどうなるでしょうか。または、アプリには100トークンが必要なのに30トークンしかなかったら。これが流動性です。ユーザーの要望を満たすために十分なコインやトークンが供給されていることです。
流動性には関連する活動と、密接にかかわる概念が含まれます。
- 流動性マイニング:トランザクション需要を支援するために新しいコインやトークンを生成または追加するプロセス。流動性マイナー(プロバイダー)は、通常ユーザーベースを支え流動性プールを成長させる見返りに報酬を得ます。流動性マイニングはイールドファーミングとも呼ばれます。
- 流動性プール:通貨の需要が高いネットワークに流動性を提供するための、暗号資産がデポジットされたプール。
- AMM(自動マーケットメイカー):「取引ペア」間に流動性を提供する暗号資産のプール。取引ペアとは、たとえばビットコインを売りたいアリスと、これを買いたいボブで一致することです。AMMは分散型で、ユーザーが提供する流動性に依存します。
分散型取引所は単なる暗号資産取引に便利なマーケットプレイスではありません。利益を得るツールとしても利用できます。いくつかの関連用語を見てみましょう。
- ROI(投資収益率):投資に対する利益または損失。通常パーセンテージで表される。
- イールドファーミング:別名流動性マイニング(前述)。資金を提供することにより報酬が得られるため、このプロセスはファーミングと呼ばれます。
- イールド:暗号資産のステーキングや流動性マイニングで得られる報酬。
- レバレッジ:利益が支払利息よりも大きいことを期待して、借入資本を使用する行為。
これは金融アドバイスを提供するものではありません。本稿は、情報提供のみを目的として一部のDeFi用語を説明しているものです。
「収益」に関する用語を取り上げたので、ここで、ADA保有者がADAから安全に利益を得て、報酬を稼ぐ方法について振り返っておきましょう。
- Cardanoのステーキングと委任:すべてのADA保有者は、保有額に基づいたステークを所有しています。開発者や技術に精通した人は、ステークプールを設定し、これを実行して、Cardanoトランザクションの検証を支援し、報酬を得ることができます。そして誰もが自分の資金をステークプールに委任して、報酬のシェアを得ることができます。これには何のリスクも伴わず、ADAが自分のウォレットを離れることもありません。ADAは自分のウォレットから委任され、いつでも使用することができます。
エキサイティングな時を迎えていますが、自分で調査すること、新製品には十分注意してアプローチすることの重要性を、ここで改めて強調します。重要なニュースを見逃さないよう、ブログとTwitterのフォローをお忘れなく。今年一年を通じて、この成長するエコシステムのナビゲートに役立つよりたくさんのコンテンツを提供します。
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