高保証性はスマートコントラクトの開発、操作の最重要事項です。ソースコードのクオリティが高いこと、コントラクトが安全で想定通りに動作すること、プロセスにおいて、優秀な特性や動作を活用できることについて、確信が持てるようでなくてはなりません。認定により、デプロイ前にセキュリティチェックが確実に実行され、スマートコントラクトが更新されても継続的な監査が可能であることが保証されます。これは、スマートコントラクトの開発者とエンドユーザー双方のメリットになります。コーディングエラーや悪用から、ユーザーの資産とプロジェクトの評判が共に守られます。
9月のCardnaoサミット2021では、Cardanoで実行されるDAppに、新たなレベル別認定を導入するプランが紹介されました。この認定プログラムはDAppとそれに搭載されるスマートコントラクトのクオリティレベルを提供します。
このイニシアチブは、IOGのテクニカルプロジェクトディレクターであるSimon Thompson教授と、同じくヘッドオブプロダクトであるShruti Appiahの主導のもとで進められています。これは、業界で目にしてきたベストプラクティスに準拠するのに役立ちます。この新しい認定プログラムのロールアウトにはRuntime Verification、Tweag、Well Typed、Certikその他から協力を得ています。また、これは、同じくサミットで公表された新たなdAppStoreにリンクされ、新しいライトウォレットと同時にリリースされます。
認定の各レベルの違い
認定には3つのレベルが設けられており、保証と監査という目的の観点から言えば、それぞれは進行型というよりも相互補完関係にあります。
レベル1:自動ツール
この認定レベルでは、スマートコントラクトの幅広いプロパティについて継続的な保証を提供します。さまざまなタイプの不具合やバグの発見をカバーし、低コスト、低労力で、誰もがアクセス可能な十分なレベルの保証を提供します。
繰り返し自動で適用できるため、アプリケーションのリリースやサブリリースごとにテストして、アプリケーションが想定通りのプロパティを保持しているか確かめることができます。
レベル2:徹底監査
このレベルは、製作に至った技術やプロセスの調査を伴います。これは、DApp自体のスマートコントラクトの手動監査や検証を伴うのが特徴です。
テストはより徹底したレベルで実行され、仮にそれがさまざまな言語で作成されていたとしても、DApp全体として対処できるような手動操作が伴います。
レベル3:フォーマル検証
このレベルは、スマートコントラクトのフォーマル検証を通じて、アプリケーションの重要な点に関して完全な保証を提供することを目的とした、より専門的なものです。フォーマル検証は、スマートコントラクトが、始めに定義された特定のビジネス要件や技術要件を満たしていることを確認します。
期待される保証
認定は、アプリケーション開発者と監査双方の要件の正確性、コンプライアンス、整合性を保証します。また、一般的なセキュリティの脆弱性がないことを確認し、CardanoにデプロイされたDAppの堅牢性、信頼性、メンテナンスレベルを提供します。認定は強く推奨され、ストアはそれに応じてキュレーションされますが、必須条件であるわけではなく、ある種の「門番」として機能するわけでもありません。すなわち、ユーザーへの信頼性保証の必要性と分散型の原則とのバランスを維持します。
仕様、そして設計と考案段階を監査することにより、コミュニティに証拠を提示し、期待通りの動作を保証することができます。この証拠には詳細要件のドキュメントが含まれるため、将来の参照ポイントが作成されることになります。
## dAppStoreにおける認定ステータス
この認定は、現在構築中の新しいdAppStoreに統合する予定です。ここでは、私たちが保証する認定レベルの証拠を提供する暗号的にセキュアなNFTが提供されます。dAppStoreはIOが開発中のライトウォレットに搭載され、ユーザーはウェブブラウザーからライトウォレットやdAppStoreにアクセスできます。ストア内ではカテゴリーや個別アプリケーションから閲覧する際、各DAppの認定ステータスを見ることができます。関連する認定ステータスを可視化することによって、ユーザーはクオリティや安全性に確信をもってDappを選ぶことができます。
dAppStoreプランの詳細は、コンセプトを説明したdAppStoreサミット動画をご覧ください。
## 認定の今後
Tompson教授は次のように語っています。「新たな認定基準のために業界からのサポートを構築したいと思っています。長期的には、パートナーなどと協力してベストプラクティスを明確にしたい。これには、この分野の新たな標準や実践を定義するための包括的な業界団体を形成する必要も出てくるかもしれません」
また、Cardano初のDAppの認定をサポートするパートナーのエコシステムとも協力する予定です。今年Cardanoでの公開を検討している数多くのDEXの1つであるSundaeSwapもまた、サミットで認定プランについて発表しました。
これはまだ始まったばかりです。現在なおも、DAppのバージョニングサポートやパッケージング、自動ツールをどのように利用可能にするべきかなど、技術的課題に取り組んでいます。しかし、セキュアなプラットフォームと、その上に構築されたアプリケーションを配信するという、パートナーや一般コミュニティとの旅に、私たちは非常に熱狂しています。
最新の記事
ブラックホーク空へ:ハリケーン「へリーン」を受けて英雄達を輸送 筆者: Fernando Sanchez
29 October 2024
ワイオミングのBlockchain StampedeでCardano Day 筆者: Alejandro Garcia
21 October 2024
DIDCommを形式化 筆者: Jesus Diaz Vico
16 October 2024