2021:NFT、ロボット、グラフィティが分散化されたスマートCardanoに登場
かつてブログを彩ったBeepleがNFTで億万長者に。ロボットやCardanoグラフィティも登場
2021年 12月 27日 22 分で読めます
驚くべきことに、コロナ禍によるショックの中でも、2021年1月はなかなか楽しいものでした。Byron(バイロン)からShelley(シェリー)へのアップグレードを実現した2020年はCardanoにとって重要な年でしたが、今年はそれを上回る重要な年となりました。ブロック生成の分散化が達成され、ネイティブトークン、スマートコントラクトが実現しました。そしてこの中には世界初のものもありました。いや、これでは先走りすぎていますね。まずは1月からこの一年を振り返りましょう。
2021年、IO GlobalがADAファンドの委任戦略を設定したことにより、何百ものコミュニティステークプールがその恩恵を受けました。1つを除き、IOGはすべてのパブリックプールを終了し、ステークはコミュニティのオペレーターに移されました。その額はプールごとに300万ADAに上ります。年間を通じて、300余りのプールがブロックを生成するより大きなチャンスを得ることができました。1年の間に、ネットワークを実行するプールの総数は5割増しの約3000プールになりました。
その後、IOGはProject Catalyst(プロジェクトカタリスト)で開発者やイノベーターの奨励に取り掛かりました。この実験は、CardanoロードマップのVoltaire(ボルテール)期における第一ステージとして、イノベーションとコラボレーションを探索します。ここでは、実際のADAが投資に使用され、25万ドル相当の初期ファンドで11の提案を支援しています。以来このプロジェクトは、ファンド総額800万ドル相当が割り当てられた、この種の中で最大のファンドとなっています。また、コミュニティは即座にCatalystウェブサイトを立ち上げました。
2月、SingularityNetの創立者ベン・ゲーツェル(Ben Goertzel)氏とIOGの共同創立者チャールズ・ホスキンソンがともに分散化の未来、人工知能、ソーシャルメディアについて語り、Cardanoブロックチェーンが面白いことになりました。後述するように、この話はこれで終わらず、このAI&ロボティクス企業は、イーサリアムからCardanoへシステムの移行を始めました。
しかし、その他の暗号資産界には、米国の財務長官ジャネット・イエレン氏による「ビットコインは非常に効率が悪い」との発言を受け、暗雲が垂れ込めていました。これは、ワシントンや世界中の立法者たちによる、暗号資産界への徹底的な調査の始まりにすぎませんでした。
3月、IOGは再び「ハードフォークコンビネーター」を発動させました。これは農業機械のように聞こえるかもしれませんが、実際にはブロックチェーンをアップグレードする際にストレスを取り除く賢い方法です。Mary(メアリー)アップグレードにより、Cardanoはマルチ資産プラットフォームになることができました。すなわち、誰もがNFT(代替不可能トークンを含む自分自身のトークンを、スマートコントラクトなしでミントすることができるようになりました。グローバルコメンテーターたちは注目し始め、メディアは陳腐な「イーサリアムキラー」の記事を展開しました。
6900万ドルのアートワーク:クリスティーズでマイク・ウィンクルマンのEverydays NFTが落札 - 「Beeple」の名で、彼のイラストは2年前に投稿されたIOGのブログを飾っている
マイク・ウィンクルマンのNFTアートワーク、Everydays: the First 5000 Daysがクリスティーズで$69,346,250で落札され、世界に火が付きました。このオークションによりウィンクルマンは、ホックニー、ハースト、ジョーンズ、クーンズと並び、作品に最高レベルの価格がつけられる生存するアーティストの一員となりました。[Beepleとしての彼のイラストは、2年前に投稿されたIOGのブログ記事 を飾っています。
ドイツでは、一人のコンピューター科学の学生が、Cardanoの新機能で面白いことができると考えました。アレッサンドロ・コンラッド(Alessandro Konrad)は、イーサリアムで「退屈な」スマートコントラクトを作成することから切り替えました。彼は自分のステークプールを立ち上げ、Berry NFTを自分のプールに委任してくれた人々への報酬として使いました。次に登場したのはSpaceBudz NFT。彼はこれを仲間と作りました。たった2日で、1つ50ADAで10,000個が売れました。これも、大学の学費を稼ぐ方法の1つです。
ブロックチェーングラフィティ:レオナルド・ディカプリオがシャンパングラスを掲げるCardanoWallのアニメーション
月末近くには、CardanoWallが登場しました。このツールは、ブロックチェーンにメタデータとしてメッセージを入力するのに役立ちます。ほとんどの人々はこのブロックチェーングラフィティを単に楽しんでいますが、気を付けてください。そこには人間の生活のすべてがあります。メッセージは、上位文化から下位文化まで、個人的なものから政治的なもの、哲学的なものからわいせつなもの、シュールなものからありふれたものまで多岐にわたっています。利己的なものもあれば、人生を肯定するものもあります。初期のメッセージには、「ワオ!これはクールだ!」や、ロバート・バーンズの詩「ハツカネズミへ」の「小さく、すべすべとして、縮こまった、臆病な動物よ…」が含まれ、始めて写真が登場したのはエポック256のスロット314,340、レオナルド・ディカプリオがシャンパングラスを掲げるアニメーション画像でした。まもなく農場の眺めと、おそらく必然として、猫が続きました。
Dデイのツイート:3月31日、ADAコインの生成が1000のステークプールに渡された
3月の最終日は記念すべき日、D=0デイを迎えました。この日、IOGは、ステークプールオペレーターにブロック生成を完全に委譲しました。完全分散化が果たされたのです。
4月、Cardanoをめぐる世界的な声は、3,500の学校と500万の学生に対する教育プログラムの発表とともに高まりを見せました。ブロックチェーンはアフリカ経済の包摂的成長の支援に関して大きな期待を抱かせますが、IOGはこの進歩の最前線にいようとしています。
ただし、CardanoKidzが街に出たとき、学校は確実に休みでした。これらのカートゥーンNFTは、IOHKのスタッフを基にしたものです - 後世の人々が何を思うかは、神のみぞ知るところです。
5月、COP26気候変動会議はまだ半年も先でしたが、アナリストやメディアは環境にやさしいブロックチェーンとしてCardanoに夢中になっていました。この流れを作るきっかけとなったのは、アンソニー・カスバートソン(Anthony Cuthbertson)の「The “green” crypto that hopes to surpass the tech giants(テックジャイアントを超えようとしている『グリーン』クリプト)」です。
もう1つのメディア、Wikipedia(ウィキペディア英語版)では、 Cardanoのページへのアクセスが5月15日に13,702を記録しました。1年前にはCardanoのページは存在しませんでした。というのも、編集者が「[ブロックチェーンなんて碌なもんじゃない]」(https://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Wikipedia_Signpost/2020-01-27/In_focus)というポリシーの下で、2019年に「注目に値しない」とページを削除したためです。このような検閲のために、上位10コインの1つとしてアイコンが示されている以外、Cardanoに触れられることはありませんでした。世界トップレベルのコンピューターサイエンティストであるフィリップ・ワドラー(Philip Wadler)氏がIOHKで働いていたという点も、「スパム」として削除されました。2020年10月、復活したCardanoページへのアクセスがイーサリアムの1,719をしのぐ5,195を得たことで、Cardanoページを求める声が示され、しかし、現在でもCardanoは厳しく制限されており、一握りのウィキペディア編集者のみが加筆を許可されています。
ホスキンソンとゲーツェルが再びYouTubeに登場し、Cardanoへの移行の更新情報と、最先端の医療介護ロボットであるグレースについて話したことによって、AI熱が再燃しました。グレースはIOG社長のペットのキリンについて尋ね、自分はテクノロジーは好きではないとを告白しました。
6月、Nervos、Nexo、Orionの3社がCardanoとの共同プロジェクトについて発表し、Daedalusフルノードウォレットの開発について話し合われ、 チーフサイエンティストのアゲロス・キアイアス(Aggelos Kiayias)が、商品や通貨バスケットへのペッグによるトランザクション手数料の安定化の構想に着手しました。2か月後、Djed(ジェッド)ステーブルコインの開発が発表されました。
7月、ジョン・コンウェイのLifeの1バージョンが IOGホームページの背景を飾り、スティーブン・ウルフラムはこのようなセル・オートマトンをNFTのライブミントに使用しました。本稿のトップにあるクリスマスツリー型の画像はここで生成された画像の1つです。
アフリカフォーカス:25万人もの人々がアフリカにおけるIOGの活動についての動画を視聴している
グローバル開発のための携帯電話の重要性は国連で長い間謳われており、ブロックチェーンなどのデジタルテクノロジーの将来性 についても認められてきました。したがって8月、IOGはWorld Mobileと協力して、アフリカの遠隔地にモバイルネットワークを導入する支援を行うことが有益であると考えました。25万人を超える人々が、アフリカにおけるIOGの活動についての ジョン・オコナー(John O'Connor)の動画を視聴しています。モバイル契約の次には、ルクセンブルク欧州ビジネス大学がアフリカの学生にプログラミングコースを提供する運びとなりました。
同月、イーサリアムの共同創立者ヴィタリック・ブテリンがドージコイン財団に参画するというニュースが驚きを呼びました。
分散型金融(DeFi)の見通しは、明らかに米国の政治家を震撼させました。Financial Times誌は、ジョー・バイデン大統領の1兆ドルインフラ計画に埋め込まれた、暗号資産「ブローカー」に課された税申告規則をめぐる騒ぎを指摘しました。この結果、ばらばらであったブロックチェーン業界が一致団結することになりました。
Cardanoのメタバース:大洋を泳ぐ神秘的なカメの背中でホストされたサミットのログイン数は140,000人を数えました
9月は忙しい月となりました。エルサルバドルは、暗号資産を法的通貨に採用した最初の国になりました。IOGは、70時間に及び200人のスピーカーが講演するCardanoサミット2021を企画し、大洋を泳ぐ神秘的なカメの背中というメタバースでホストされた2日間にわたるイベントのログイン数は140,000人を数えました。技術的な話やコミュニティのトークはもちろん、ロボットやアートの将来に関するディベートなどより娯楽的な内容も盛り込まれ、誰もが何かしらの関心を満たすことができました。そしてこのサミットの最中に、100万個目のNFTがミントされました。さらに9月には、Alonzo(アロンゾ)アップグレードが実施され、CardanoにPlutus(プルータス)スマートコントラクトのコア機能がもたらされました。分散型金融の到来です。当時ティム・ハリソン(Tim Harrison)が報じたように、これは調整のためでしたが、実際にはちょうど今軌道に乗り始めた新たな旅の始まりでした。
サミットに関する話題やAlonzoハードフォークは*Harvard International Review誌の編集者の目に留まり、10月、同誌はCardano、開発途上国、暗号資産の未来、金融規制をテーマに、3回にわたるチャールズ・ホスキンソンのインタビュー記事を掲載しました。その間、ウールのブーツを履き斧をかざしたSpaceBud #9936に510,000ADAで売れたことで、コレクタブル市場の強さが示されました。これは、100万米ドル相当の値を付けた最初のCardano NFTです。さらに、最初のイニシャルステークプールオファリング(ISPO)を立ち上げたMeldなどのプロジェクトも生まれました。
バイソンの飼い主でもあるチャールズ・ホスキンソンは、10月にIOGチームとともにアフリカに行き、「賢い牛」効果を見せてくれました。
11月、CardanoでミントされたNFTの数は、Pool.pmによると200万を超え、アンディ・ウォーホルがブロックチェーンに登場しました。画廊のオーナーであるRudolf Budjaは、「アンディ・ウォーホルの作品の一部を所有」できるようにするNFTの「細分化」販売を始めました。
鷹の目を持つCardanoウォッチャーは、The Economist誌の The World Ahead: 2022の表紙に、Cardanoのロゴが掲載されているのを見逃しませんでした。この年次分析では、暗号資産界を戦場とみています。覇権をかけて争っているのは、この技術を構築した分散化のパイオニア、FacebookやGoogleなどのビッグテック貴族、そして各国政府です。11月末には、MuesliSwap分散型取引所が立ち上がりました。このような熱狂的な環境下では無理ないことですが、これは賞賛と批判の両方を受けました。
12月にはCardano分散化のマイルストンとなるP2Pテストネットが立ち上がりました。また、Plutusアプリケーションバックエンドもリリースされました。これは今後Cardanoにおける開発スピード促進を支援するライブラリーセットとなります。ウィキペディアのCardanoページの年間閲覧数が100万を超えました。
SingularityNet ERC20コンバーター:子供がAIをCardanoに変換する方法を解説
この程度の知的レベルでは満足できないという方には、SingularityNetの社内AIトークンをCardanoに切り替える、お待ちかねのERC20コンバーターのテストネットが十分な刺激となるでしょう。ちょっと複雑すぎるという場合には、6歳の子供が説明するコンバーターの動画をご覧ください。この数週間、NFTマーケットプレイスのTokhun、Cardahub、スマートコントラクト統合を追加するCNFT.ioから、ドメイン名付けプロジェクトのAdahandleまで、さらに多くのプロジェクトがCardanoで立ち上がりました。そしてDeFiエコシステムが軌道に乗り始めると、12月後半には、標準化とベストプラクティスを通じた高速化を促進するためにCardano DeFi Allianceと呼ばれる同盟の形成が発表されました。
年の瀬を迎え、The Economist誌が行うように、今年も来し方行く末を眺めてみました。この1年は、道を照らし続けてくれるコミュニティとともに、信じられないほどの成長の年となりました。また、批評家やFUD(恐怖、不安、疑念)を煽る人々から、必要以上の厳しい批判を受けました。それでも私たちはこれに耐え、これまで以上の強さと断固たる思いで新年をスタートします。そこで、Auld Lang Syne(「蛍の光」の原曲)にあるように、「思いやりの盃を酌み交わし」て新年を迎え、より健康的でブロックチェーンインテリジェントな2022を期待しましょう。
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