今月、チームメンバーはアフリカ入りし、大陸中の起業家や政治家たちと会談しています。これは、IOGのトップ、Charles Hoskinsonがケープタウンで先日開催されたイベントでの講演の一部を編集したものです。
これは長いツアーです。南アフリカから初めてエジプトまで行きます。私たちはこれをパンアフリカンツアーと名付けました。ご存知の通り、当社は熱意に満ち溢れています。IOには、世界56か国から576人の優秀な人材が集まっています。
社の中心には常に、世界のシステムを変えること、すべての人々、すべての場所のためにこれを改善していくという目的があります。ブロックチェーン技術は、本当に大規模な会話です。世界をいかにグローバル化するかについてです。21世紀に、私たちがどのように協力して、どのように活用していくかを、どのように決定していくのか。前世紀で、私たちは月に降り立ちました。電車や飛行機といったすばらしいものから、核兵器などの恐ろしいものまで多くを建造しました。でもそこには勝者と敗者がいました。序列がありました。上にいる人々、下にいる人々が存在しました。そして私たちは、単にそういうものだと受け入れていました。
21世紀に私たちは初めて、世界中の人々が、たまたま生まれ落ちた場所や話す言葉、肌の色、性別に拘わらずまともな暮らしが送れる1つのグローバルコミュニティを持てるかもしれません。これを実現するためには、卓越したテクノロジーが必要です。文化を変えなければなりません。種として少し成長する必要があります。しかし最も重要なことは、適切なシステムと、システムを支える適切なインセンティブを設定することです。
ブロックチェーン業界は基本的にシステムのインセンティブのアーミーナイフです。あらゆることに対応します。投票にも対応するし、所有権にも対応する。アイデンティティといった基本的な事柄にも対応します。あなたは誰ですか。あなたは善人ですか。そして、こうした物事の管理者が誰であるべきかという哲学的な問いも出します。政府か、国境を超えた団体であるべきか、それともFacebookやGoogle、Microsoft、Appleなどの企業なのか。それとも別のものであるべきか。分散化の力はパラダイムを提示します。うまくやれば、「邪悪になるな」ではなく、「邪悪になれない」ようにできるのです。実際には、包括的アカウンタビリティを持つ力を与えてくれます。これは何か。私のことを信用できなければ、あなたが自分で検証できるということです。通常投票すると、政府の開票を信用しますね。これを自分で確認したくはないですか。これはとても基本的なこと、とても単純なことです。
ご存知のように、米国は最近また戦争に負けました。そして莫大な額の軍用機材が消えました。仮に私がペンタゴンに行って、「やあ、消えたっていうもののすべての記録を見せて欲しいんだけど」と言っても「ああ、失くしちゃったんだ。悪いね」と言われるだけです。しかし、税金の支払いということになると、米国政府当局はいつも私の記録を見つけることができます。びっくりです。
私はデータを確認できない。記録を確認できないのです。こんなにも単純なことが、現代のハイパー接続社会で、2021年に。最強国が、もしくは自称最強国が、最富裕国が、もしくは自称再富裕国が。そして確実に最大の負債を抱える国が、単純に記録を紛失するのです。人から告げられることをすべて自分で確認して、真偽を知ることができるような世界に住むことができたらいいと思いませんか。それが仮にクレデンシャルでも自分の投票でも、自分のお金でも。こうしたすべてのものを、自分で確認できる。これが、この業界が約束するものです。私たちは包括的アカウンタビリティを、回復性を、分散化を目指しています。国家や企業の善い行いを必要としないルールを、条件を求めています。単に自分ですることができるのです。
IOGチームはなぜアフリカにいるのでしょう。アフリカは本当に特別で、興味深い大陸です。現在膨大なアップグレードの過程にあります。従来のシステムにこだわりがありません。というのもこうしたシステムは歴史的にこの地でうまく機能してこなかったからです。つまり、今後10年、20年をかけて、コンプライアンスが機能する方法から、株式市場の機能、国民IDの機能、そして学界が機能していく方法まで、一つ一つが変化していきます。そして起業家やイノベーターとしては、望ましい状況です。今現在ボールがある場所に行ってもしょうがない。ボールがこれから行く場所に行くのです。
世界全体がグローバル化し、変化しているのなら、すべてのシステムが最初に変わる場所が望ましい。なぜならうまくやれば、今後30年間ヨーロッパ、米国、中国を合わせた以上の富がここで生み出されるからです。単にそういうものなんです。こうして米国は20世紀にトップに立ちました。競合国よりも単に良いシステムを持っていただけのことです。そして、技術変革によって、すべてはリセットされます。今、私たちは世界経済に生きています。私たちが正しい方法で物事を行えば、アフリカの人々がヨーロッパや米国の人々と同じ足場に立てるようになります。そのあとは、実力主義のレースになります。私はよりタフで、回復力があり、起業家精神にあふれた人々に10中10賭けます。彼らは勝ちます。単純なことです。
だからIOGは、会社としてパンアフリカンという視野を持っています。私たちはエチオピアというビジネスをするにはやや難しい国から始めました。でも知っていますか。至る所で目にするのは、十分な教育を受けた、意識の高い人々が、心から変化を願っている姿でした。彼らは私たちに協力してくれました。システムは時に向かい風となり、時に追い風となりました。しかしみんなが、なぜ今ここにいるのかを心に刻んでいました。そして、500万人の契約を発表することは私のキャリアの特権でした。これは、今後2000万人に、そしてわずか数年のうちには1億1000万人の国民IDシステムへと成長する、投票システムや支払い決済システムにも広がる可能性を秘めています。何にでも成長できるのです。ある種の幹細胞みたいなもので、一度入ったら入ったまま、舵取りと成長を続けることができるのです。次にこれをどのようにケニアへ、ナイジェリアへと拡大するか。これは米国総人口を超える4億人。これを5年から10年以内に把握します。
最も特筆すべきことは、これが人々の暮らしを変えるということです。退屈な仕事をしなければなりません。このクレデンシャルだのあの検証だのについての味気ないプレゼンなど。それは必要なことです。でもすべての中心にあるのは人々です。多くの人々が、現在どれだけ一生懸命働いても、一生懸命働いたことを証明できない境遇にいます。どれだけ優秀でも、優秀であることを証明できないのです。これはなにを意味するでしょう。これは、海外の直接投資の欠如を意味します。就職が困難であることを意味します。時に月40%という高い利子に繋がります。しかしこうしたシステムが導入されれば、基本的な事柄を証明できるのです。そして、仕事に就けるようになる。利子が下がる。国の大衆の高揚に繋がります。そしてこれがなされれば、誰もがこれを望むようになります。誰もが望むようになれば、誰もが手に入れるようになるのです。
賢い牛効果
わかりますか。これが鍵です。これは「賢い牛」効果です。私は技術者であるのに加えて農場主でもあります。動物(私の場合はバイソンですが)の近くにいて学ぶことの1つは、群れの中に賢いのが1匹いると、群れ全体が影響を受けるということです。フェンスの開け方を見つけようとします。1頭の牛が抜け出し方を見つけると、すべての牛ができるようになります。朝起きたら皆いなくなってるのです。同様に、1国がIDや投票が機能する方法を変えればすべてが済みます。他のすべての国が、私の国も含めて、速やかに変更しようとします。
米国は、そもそもある種の反逆者でした。実際、18世紀、19世紀と、ヨーロッパは私たちにおびえていました。私たちはこの革命というものを実行しました。国王たちを殺すのが得意だった。でもいずれかの時点で、私たちは革命的勢力から、農場のフェンスを建てる許可を得るのに2年もかかるような国になってしまいました。どこかで間違ったんです。米国でも、変化を望んでいる人は大勢います。ワイオミング州では、暗号資産にプラスになる26の法律が通過しました。膨大な数の企業がワイオミングに集まってきています。ここにはDAO(自律分散型組織)標準があり、資産の明確化基準があります。経済は飛躍的に成長しています。40億米ドル規模の企業Krakenも移転してきました。このすべてが驚くべき進歩です。
その間ワシントンでは、財務省が権力のすべてを使ってこの業界を亡き者にしようとしています。脅威だというのです。2兆米ドル規模の産業が裏庭から生まれ、米国政府はそれを潰そうとしている。これをどうしたら変えられるでしょう。Goldman Sachsにお願いすることもできますが、彼らはやってくれないでしょう。ただし、ここアフリカから、事態を変えるよう試してみることはできます。賢い牛効果が、他の地域と同じように米国にも影響を及ぼすかもしれない。わかりますか。そうすれば、望む変化を起こすことができます。
斜に構えてはだめ、望みを捨ててはだめです。世界を変えたいと思うなら、実行すればいい。数年前、私は貧乏でした。日本に行って、Cardanoを始めました。誰も真剣に受け取ってはくれなかった。私は言いました。「このブロックチェーンを構築して、そのあとアフリカに行って、国のトップと話し、世界を変えます」と。反応は「ああ、そうですか。どんな資格があるんですか」。「数学を中途退学しただけのやつですけどね。でもご心配なく。うまくいきますよ。完全に合法です」
8年後、私たちには何百万もの人々と何十億ドルもの資産があります。そしてこのツアーで、3人の国のトップに会います。私たちは、一歩一歩進んできただけです。そして私が特別なわけではありません。特別タフな阿呆であるだけです。それでいいんです。だって、この視聴者の中にも、特別タフな阿呆はたくさんいるのですから。必要なことは情熱的であることです。それだけです。それがポイントです。そしてここはおそらく、世界で最も情熱的でタフな大陸に数えられるでしょう。アフリカの人々よりタフな人はいません。本当のことです。誰もこんなにタフじゃない。だから、もし世界システムの変える未来に賭けるとしたら、ここがそうなります。アフリカの人々とともに。彼らにテクノロジーを提供しさえすれば。
ブロックチェーンは、私のテクノロジーであると同時にあなた方のテクノロジーです。私たちは120の論文を書きましたが、どれにも特許は付いていません。すべてオープンソースです。私と同様に使うことができます。いくら支払えばいいか知っていますか。ゼロです。ロイヤリティフリーです。100万ラインものCardanoのコードを作成しました。すべてオープンソースです。私のコードであるのと同じくらいあなたのコードでもあります。誰かが分散型デジタルID(DID)を取得すると、それはその人物に帰属します。MicrosoftクレデンシャルやGoogle ID、Apple ID、Facebook IDを取得すると、それは、Mark Zuckerbergの、Larry Pageの、Appleの帰属となります。DIDを取得すると、自分に帰属します。そして、どこにでも携帯できるのです。大陸でより多くの契約を締結した途端に、エチオピアのこれら子供たちのクレデンシャルは、ザンジバルで、ブルンジで、南アフリカで、相互運用が可能になります。したがって、旅行をするときに、あなたは「あなた」を携帯し、「あなた」から締め出されることはできません。単純なコンセプトですよね。あなたが作業をしたのだから、あなたがそれを所有するべきです。
それは、事業登録でも同じですし、あらゆる種類のことにも当てはまります。PrismパイオニアとCatalystがこれほどクールなのはこの点です。これがいいアイデアに聞こえるなら、そしてあなたが起業家なら、このインフラを基盤にビジネスを構築してください。これを基盤にビジネスを構築するために、14億米ドルが利用可能です。とても単純な話です。ビジネスがうまくいって、それがオープンなDNAに構築されていれば、人々が締め出されることはありません。つまり、みんな一緒に構築できるというわけです。私たちは皆が平等な1つのグローバルコミュニティを創り出します。これは夢です。そして、私たちはそのためにここにいます。
私たちが構築したもので、あなた方が何をするのかワクワクします。なぜなら、私たちが提供したもの、今年、来年提供されるものは、実際に国やビジネスを運営するために使用できるからです。これは冗談ではありません。これは何百億ものトランザクションを処理する可能性があります。今までに望んできたものすべてを実行します。全員にとってもう少し悲観的でなく、もう少し公正で、もう少し誠実で、もう少しオープンな世界に住むという展望はエキサイティングなものです。来てくれてありがとう。感謝しています。
Hoskinsonはこの後、2人の南アフリカ人Simon Dingle氏とJoshin Raghubar氏とともに質疑応答を行いました。Dingle氏はフィンテックの起業家で、 In Math We Trust と Beyond Bitcoinの著者です。最近Twitterで人々がCardanoが何かを理解したら「面食らう」だろうとつぶやきました。RaghubarはiKineo Venturesの創立者で、アフリカ最大の非営利技術インキュベーターであるBandwidth Barnの議長を務めています。Hoskinsonは聴衆からも質問を受け付けました。トピックはコンピューターゲームから合成生物学まで多岐に渡りました。
ゲームについて
エバークエストやWoW、スカイリム、ディアブロ2などのゲームプレーヤーの中には、人生の10,000時間以上をこれにつぎ込んだ人もいます。数学者や医者になるために時間をつぎ込むのと似ています。生涯にわたるスキルを持つのです。サーバーがダウンした途端に、進めてきたすべては消え失せます。
まもなく到来する新世代ゲームでは、ステータスを保存し移植することが可能になります。ゲームAでしたことをゲームBやCやDに移すことができます。ある種の「永続性」があるのです。
それから、NFT革命とともに最終的には売り買いのできる市場アイテムとなります。
アフリカで仕事を創出する必要性について
人口統計学的に、アフリカは最も若い大陸です。エチオピアでは人口の70%が30歳以下です。もし彼らにインターネットとしっかりした教育を提供すれば、即座に驚くほど起業家精神に満ちたグループが生まれるでしょう。それは彼らが現状を容認していないためです。これらすべての人々にどうやって仕事を創出するのかと思うでしょう。彼らが自分で創出するのです。
テクノロジーとメタバース
合成生物学、モノのインターネット、汎用人口知能(成し遂げられれば)といったものが、膨大な数の仕事を創出すると信じています。10年前にはメタバースのコンセプトを持つ人などいなかった。そこに『レディ・プレイヤー1』が公開されて私たちは「ああ、なるほどね」と思いました。2030年から2035年までには、おそらく1億人の人々がメタバース内で職に就いているでしょう。これに地理的バイアスはかかりません。そのほとんどがおそらくアフリカや東南アジア、南米にいるのではないでしょうか。
バイオテクノロジー、進化、ブロックチェーン
私はアンチエイジング再生医療を行うバイオテクノロジー企業を持っています。これはまだサイレントモードで、現在Colossalと交渉中です。2027年までにケナガマンモスを蘇らせるプロジェクトがちょうど発表されたところで、私の農場はそれにうってつけの場所です。彼らには人工子宮とケナガマンモスの完全なゲノムがあり、クローンを作ろうとしています。
合成生物学とバイオテクノロジー、そしてブロックチェーンの交差で面白いのは、たくさんのオープン質問が出てくることです。誰がマンモスのゲノムを所有するのか。マンモスが子供を産んだらどうなるのか。誰がそのDNAを所有するのか。
同じ質問がNFTでもあります。あなたが発行したNFTを誰かが購入して別の誰かに売却します。NFTを作成したアーティストがいます。それは永続的であるべきでしょうか、それともある時点で減衰させるべきでしょうか。まったく同じ質問群を、合成生物学によるデザイナー生物、絶滅種再生の取り組みなどに当てはめることができます。
アフリカやその他の場所では密猟の問題が深刻です。特にマダガスカルで大量の絶滅が起こっています。エチオピアは100年で生物学的多様性の80%を失いました。狂っています。
国家はどのように絶滅種再生や動物の保存の戦略を立てるのでしょう。マンモスを復活させるのと同じ技術を使って、これら失われた種を蘇らせることができるかもしれません。これを優先する経済システムをいかに創出するかもまた、ブロックチェーンの課題です。これはインセンティブの問題です。バイオテクノロジー関連を出現させるためにこの業界ができることは、物の所有権、物の譲渡、物の優先順位付け、および代替資金調達モデルに関する難しい問題を整理するのに役立つことです。
ヘルスデータ、プライバシー、ワクチン
消費者として、私たちはこのすべてのデータを垂れ流していて、どれも所有していません。これは、私たちの生活について決定するために使用されるのに、私たちはそのプロセスから締め出されています。それでも社会のほとんどが紙媒体を使用していてデジタル化されていなければいいですが、すべてがデジタル化されたら悲劇です。
自己主権型IDはマスターキーです。これは単なるデータではないからです。データにメタデータをプラスしたもの、アイデンティティをプラスしたものです。したがって、どのように共有するか、どのように取り消すか、誰が管理するかという使用ポリシーを実際に確立するのはIDです。
通常IDは国家を出所とし、データは民間業界を出所とします。非常にサイロ化されています。このシステムの一方をもう一方をなしに構築することはできません。DIDは、とても賢い方法で、こうしたピースをつなぎ合わせます。そして、政府や企業の代わりに個人、所有者をこの中心に据えます。そうすれば、あなたのデータがどう使われるかについての会話に、あなたを含まざるを得なくなります。
イスラエルは、他国には不可能なものを提供できたためにファイザーに最初にアクセスすることができました。ドイツなどは膨大な金額を提示しましたが、イスラエルは「ファイザーさん、我が国の国民全員の医療記録へのアクセスには、興味はないだろうか。何百万人という人々なんだが。世界最大の治験のようなものじゃないか」と提案したのです。同国のすべての医療記録が一元化されているため、これはたやすいことでした。
ガバナンスの難しい質問
業界として、スケーラビリティに関して何をするべきかについてはよくわかっていると思います。問題は、トレードオフと哲学です。私が思うに、相互運用性は必要に迫られて、ネットワーク効果としてか、HyperledgerやW3Cのような業界全体の取組みを通じて実現するでしょう。
分散型政府というのは非常に難しい。というのも、人類はきちんと機能する政府というものを構築したことがないからです。どこへ行っても、自分の政府に満足している人はいません。
Cardanoをこの素晴らしい学術的(そして現在はすばらしい商業的)プロジェクトから、ユーザーに導かれて自己進化する組織へと変容させるのはすばらしいことです。
これは大変な問題です。オンチェーンでできるという人もいれば、できないという人もいる。2030までに進展しないようならがっかりします。進展といっても、解決するという意味ではありません。ブロックチェーンは同種のシステムから異種のシステムへと動いています。設計はバイオロジーを反映しています。生命を反映しています。人間には、細胞分化が必要です。目の細胞が、耳の細胞が必要です。同様に、ブロックチェーンは異種性がないと役に立ちません。医療記録や投票システム、通信アプリに接続する必要があり、すべてのトランザクション、すべてのユーザーは異なっているからです。
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