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急成長するネットワークで脈打つ心臓

Cardanoネットワークの核にあるノード。2022年、Cardanoのスケーリングにおいて統合テクノロジーが果たす役割とは

2022年 1月 19日 John Woods 6 分で読めます

急成長するネットワークで脈打つ心臓

最近の記事で、今後数週間、数か月で予想されるCardanoの成長に備えるための系統的アプローチを紹介しました。ますます多くの分散型アプリケーションがCardanoを拠点としていくにつれ、また、分散型金融(DeFi)と「リアルFi」のエコシステムが拡大、進化するにつれて、ブロックチェーンが適切に稼働できるようにする必要があります。

CardanoはBasho(バショウ)期に入り、最適化、スケーリング、ネットワークの成長に焦点が当てられています。今後数か月間で、トランザクショントラフィックの大幅な増加が予想されますが、これに対応するための柔軟化プロセスはここから始まります。コアノードの改良はこの一環です。ノードv1.33.0には多くの新機能や改良された既存要素が詰まっており、Cardanoの表現力とチェーンの機能性を向上させています。

ノードに含まれるもの

1月初めにリリースされ、SPOシステムのおよそ80%で稼働しているノードv1.33.0は、エレガンスと効率を念頭に設計されました。改良部分は、ブロック伝播時間の削減を意図して設計されているため、DAppや分散型取引所(DEX)、DeFi環境などに対応するために必要な変更を行うゆとりが生まれました。

本バージョンを実装した結果、ブロックの伝播速度は上がっています。これにより生まれた余剰時間は、他の拡張機能を実装するために使用できます。

ノードv1.33.0に施された技術改良は、大まかにRAM使用の最適化効率の強化の2つのカテゴリーに分けられます。

RAM使用の最適化

新ノードは、メモリーの圧縮と、より効率的なメモリー共有(同じオブジェクトの複数のインスタンスではなく、システム内の複数のフローが同じオブジェクトを使用することになる)という2つの要素によって、メモリー使用量の大幅な削減をサポートします。

具体的には、未使用トランザクションアウトプット(UTXO)処理、ステーク分布、ライブステーク分布およびプール、ハッシュ表現のメモリーが改善されています。

改良は以下になります。

  • UTXOの処理

ノードv1.33.0はトランザクションインプットに使用する単語を削減

  • ステークの分布

ステーク分布スナップショットは、ライブデータ全体の35%を占めています。新ノードは、表現を共有および変更することにより、8分の1の削減を実現します。

  • ライブステーク分布

ライブステーク分布は、システム内のライブデータ全体の22%を占めています。

ノードv1.33.0は、メモリーを次の2つの方法で節約します。

ステークアドレスにキー設定された複数のマップを組み合わせて共有し(組み合わせた各マップのステークアドレスごとに11語節約)、ステークプールID(5語)を共有します。

  • ハッシュ表現

ハッシュ表現では、6語ではなく5語が使用されるようになりました。これは明らかに重要な変更ではありませんが、ハッシュはシステム内に遍在しているため、効率の大幅な向上につながります。

RAMメモリー使用量の最適化に関する重要な事実

新ノードでは、圧縮と共有により、ライブデータを大幅に節約できます。

効率の強化

前バージョンに比べてメモリー使用の効率が飛躍的に向上したことに加えて、ノードv1.33.0ではCardanoが報酬計算とステーク分布に使用するアルゴリズムも変更されています。

この変更は、報酬計算を行うときに発生し、ネットワーク負荷でスパイクの原因となる、ネットワークパフォーマンスの不均衡に対処するためのものです。新たな報酬計算アルゴリズムが搭載されたことによって、今後こうしたスパイクが発生することはありません。

報酬計算を行うアルゴリズムは、4,000プールを超える「列優先」から、最大100万ステークアドレスの「行優先」に変更されました。これで、計算は1日(4,000ブロック)ではなく、3日間に拡散できるようになりました。

また、ステーク分布計算の効率をあげるための変更も施されています。

パイプライン

今年中に、ノードにはさらに重要な改良が加えられます。ノードはブロックを処理するために多くの作業を行い、その後次のブロックが来るのを待ちます。その間、それほど忙しくはありません。このブロック伝播のオーバーヘッド(つまり、ノードが比較的アイドル状態である時間間隔、「デッドスペース」と呼ばれることも多い)をある方法により短縮し、そうでなければ無駄になっていた時間を有効活用します。ここで導入される方法がパイプラインです。

パイプラインは、ブロックの検証と伝播を合体させます。ヘッダーを取得し、これを検証し、対応するブロックに入れ、検証し、ピアに送信するというプロセスに従う代わりに、ヘッダーを取得し、検証したあと、ブロックの検証をせずにピアに送信します。この合理化により、ネットワークにはさらに多くの変更を導入するゆとりが生まれます。

パイプラインは、ブロック伝播オーバーヘッド(デッドスペース)を削減することにより、ネットワークにさらなる改良を加えるための領域またはゆとりを増加させます。

今後の展望

Cardanoプロジェクトは、今後10年以上にわたりニーズを満たす、安全で、回復力の高い、高度に分散化されたネットワークの構築に常に携わってきました。この中心となるのは、系統的な責任ある長期的アプローチです。ことわざにあるように「測定は2回、カットは1回」、つまり念には念をです。

Cardanoで開始されるたくさんのエキサイティングな新プロジェクトにより、エコシステムは爆発的成長を遂げるでしょう。必然的に、短期的に容量が必ずしも需要に追いつくとは限りませんし、渋滞が起きることもあるでしょう。これは、すべての新チェーンが通る道です。しかし、今後数週間、数か月にわたり、慎重に監視しながら、Cardanoの効率、スループット、容量を増やす取り組みを続けていきます。一方、従来の考え抜かれた安全なアプローチは維持されます。

執筆協力:Fernando Sanchez
John Woods

John Woods

Director of Cardano Architecture

Engineering