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Cardanoの新しい暗号プリミティブが優れた相互運用性と、安全なクロスチェーンのDApp開発をもたらす

クロスチェーンアプリケーションの構築を容易にするため、Input Output Global(IOG)はPlutusにECDSAとSchnorr署名をサポートする新しいビルトイン関数を追加

2023年 1月 19日 Tim Harrison 5 分で読めます

Cardanoの新しい暗号プリミティブが優れた相互運用性と、安全なクロスチェーンのDApp開発をもたらす

暗号により、ブロックチェーンの設定における信頼とセキュリティが保証されます。ブロックチェーンにより、使用する暗号署名方式は異なります。ECDSA(楕円曲線DSA)とSchnorr署名は、ブロックチェーンプラットフォームで使用される2大楕円曲線です。ビットコインやイーサリアムなどのシステムは、ECDSAを使用しています。Schnorr署名はもともとECDSAの代替として提案されましたが、これもPolkadotなど複数のブロックチェーンネットワークで使用されています。

Cardanoは、楕円曲線Curve25519を基本曲線とするエドワーズ曲線デジタル署名アルゴリズム(EdDSA)を使用します(別名Ed25519)。これは、迅速な署名検証と小さな署名サイズを提供し、ブロックチェーン全体のパフォーマンスとセキュリティの向上に役立ちます。さらに、Ed25519は特定のタイプの暗号攻撃への耐性を考えて設計されているため、安全面に優れた選択肢となります。Monero、Rippleなども、Ed25519を署名アルゴリズムとして使用しています。

Cardanoの新しい暗号プリミティブ

アルゴリズムに相違があるということは、他のブロックチェーンと連携し、ECDSAとSchnorr署名を検証する必要があるPlutus DApp開発者が、PlutusでそのようなアルゴリズムにSECP楕円曲線を実装するために時間と労力と資金を費やす必要があることを意味します。これにより、セキュリティリスクの可能性が大幅に高まり、非現実的な量のリソースを使うことになる可能性があります。

Plutusビルトイン関数として提供されるのはCardanoの主要署名アルゴリズムEd25519のみであるため、ECDSAとSchnorrの操作は、同じくビルトイン関数として提供されていない限り、高額で時間のかかるものとなります。

クロスチェーンアプリケーションの構築を容易にするため、Input Output Global(IOG)はPlutusにECDSAとSchnorr署名をサポートする新しいビルトイン関数を追加しました。これにより、開発者は、より幅広いマルチシグや閾値署名設計をCardanoネイティブで使用できるため、最高のセキュリティレベルが提供されます。

アップグレードの準備

準備はCardanoエコシステム全体で着々と続けられてきました。IOGのコアエンジニアリングチーム、Cardano財団、SPO、DApp開発者、取引所は、2022年11月以来、プレビューテスト環境で徹底した統合テストを実行しており、良好な結果が得られています。この技術は、まもなくCardanoメインネットへデプロイされる見通しです。

Vasilアップグレードのために、Cardano財団は最終段階における明確なクリティカルマス指標に合意し、エコシステムの準備を万全にしました。例えば、新しいアップグレードはVasilほど複雑ではなく、既存のDApp全体に与える影響もそこまでではありません。それでも、チームは、新機能に向けて準備が必要となる可能性のあるCardanoの主要利害関係者(特にSPO、DApp、取引所)と密接に協力して準備を整えています。

執筆時点で、80%を超えるブロック生成ノードが必要とされる新ノード(1.35.4)を実行しています。ダウンストリームコンポーネント(DB Sync、ウォレットバックエンド、GraphQLなど)は、この変更から直接影響を受けることはありません。それでも通常通り、新ノードバージョンに対する互換性は完全にテストされています。

取引所には、必要に応じて各自のシステムをアップグレードするために十分な時間を取れるよう、すでに通知がなされています。IOGはまた、DAppやツールの開発コミュニティに聞き取り調査を行いました。結果、この変更により影響を受けるプロジェクトはほんのわずかであり、コードの更新が必要な場合も考慮しています。このコミュニティ調査に基づき、メインネットのアップグレードは暫定的に日本時間2023年2月15日06:44:51が提案されています。これに基づき、IOGはプリプロテスト環境の更新を日本時間2023年2月12日09:00:00に予定しています。

こうした日付を目途に、最新更新情報は、通常通りIOGおよびCardano財団のソーシャルチャネルをチェックしてください。開発者、またはSPOは、DiscordおよびTG announcementにぜひご参加ください。また、このこのエコシステム進捗情報ページのチェックもお忘れなく。

Tim Harrison

Tim Harrison

VP of Community & Ecosystem

Communications