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SECPとは何か、いかにCardanoのクロスチェーン開発を促進するか

Cardanoに、安全なクロスチェーンDApp開発を可能にする新しい暗号プリミティブが登場

2022年 11月 3日 Olga Hryniuk 5 分で読めます

SECPとは何か、いかにCardanoのクロスチェーン開発を促進するか

暗号はブロックチェーン界で不可欠な役割を果たし、ネットワーク参加者間に信頼とセキュリティを確保します。

DApp開発者は、暗号プリミティブをビルディングブロックとして使用して、機密データを含む安全なトランザクションを作成し、カスタムの暗号化および復号化アルゴリズムを開発し、デジタル署名を使用して検証することができます。

ここ数十年で、楕円曲線暗号(ECC)は、暗号化プロトコルと安全なアプリケーションを開発するための事実上のプリミティブになりました。ECCは、比較的短い鍵と署名を使用しながら、他のメカニズムと同じレベルのセキュリティを提供します。

SECPとは何か

SECP、特にSECP256k1は、楕円曲線の名前です。多くのブロックチェーン(ビットコイン、イーサリアム、バイナンスコインを含む)は、この曲線を使用して公開鍵暗号化を実装します。これは、鍵ペア(公開鍵と秘密鍵)を使用してトランザクションの署名を検証します。

SECPの例には、楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(ECDSA)およびSchnorr署名が含まれます。これらにより、ユーザーは特定の署名済みハッシュデータの整合性を検証できます。ECDSAおよびSchnorr署名アルゴリズムは、多くのブロックチェーンでSECP256k1曲線と連携します。

Cardanoの暗号

Cardanoは、楕円曲線25519をネイティブ署名アルゴリズムとして使用するエドワーズ曲線デジタル署名アルゴリズム(EdDSA)を使用します。

これは、他のブロックチェーンと連携し、ECDSAとSchnorr署名を検証する必要があるPlutus DApp開発者が、PlutusでそのようなSECP楕円曲線を実装するために時間と労力と資金を費やす必要があることを意味します。加えて、セキュリティリスクの可能性が大幅に高まります。ECDSAとSchnorrはCardanoネイティブではないため、ビルトイン関数として提供されていない限り、そのような操作にかかるコストと時間は大きくなります。

新しいビルトイン関数をPlutusに追加する

クロスチェーンアプリケーションを効率的に構築できるようにするために、Input Output Global(IOG)は、現在Cardanoのネイティブ署名とともにECDSAおよびSchnorr署名をサポートする新しいビルトイン関数を追加しています。

これらのビルトイン関数はCardanoネイティブとなり、専門家により実装、監査されるため、最高レベルの安全性を提供します。これにより、Plutus Dapp開発者はマルチシグまたは閾値署名設計と選択の幅が広がります。とくに、Schnorrベースの設計は、DAppコミュニティによって十分に理解され、幅広く使用されています。

CIP-49により、ビルトイン関数の新しい実装の動機と仕様について、深く考察できます。これらの変更はPlutusインタープリターに影響を与えるため、実装にはハードフォークコンビネーターイベントが必要となります。この要件についての詳細は、CIP実装の詳細をご覧ください。

新しい暗号プリミティブはいかに機能するか

図1:SECP暗号プリミティブがCardanoで機能する方法

新しい暗号プリミティブの実装後、Plutusは、ECDSAやSchnorr標準を使って他のブロックチェーンからのトランザクションを簡単に検証できるようになります。例えば、Plutusは、EVMサイドチェーンで生成された署名をネイティブに検証できるため、プロセスのシンプルさ、コスト、高度なセキュリティといった点で開発者のエクスペリエンスが向上します。

コミュニティのフィードバックには、新しい暗号プリミティブを追加することによって、CardanoにおけるクロスチェーンのDApp開発の安全性と効率がいかに改善されるかが示されています。Vasilアップグレードから学んだIOGチームは、リリースプロセスを改善するために多くの作業を行い、これをSECPのリリースに活かしています。コミュニティはすでに、最初にCardano DevNetにデプロイされたこの新機能のテストに協力しています。この時点から、新機能は引き続きプレビュー環境およびプリプロ環境でテストされます。テストベンチマークが達成され、重要な指標が満たされていることをコミュニティが確認したら、IOGはハード フォークコンビネーターイベントを通じてメインネットへのデプロイ日程を提案します。

開発の最新情報を入手するには、IOGの開発者向けDiscordチャネルに参加してください。

本稿の執筆にあたりご協力いただいた、Inigo Querejeta Azurmendi、Nigel Hemsley、Mark Irwinの各氏に感謝します。

Olga Hryniuk

Olga Hryniuk

Senior Technical Writer

Marketing & Communications