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Cardanoの5年

Cardano5周年を記念して、ブロックチェーンの進化を定義した主要な成果とマイルストンを振り返ります

2022年 9月 27日 Fernando Sanchez 9 分で読めます

Cardanoの5年

Cardnaoはまだ比較的若いですが、モーツアルトがメヌエットとトリオを作曲したのも同じ歳でした。モーツアルトは、おそらくその幼さに応じて、浮きたつような(チャーミングと表する人もいます)メロディを書きました。Cardanoの使命も、ユーザーのニーズを満たすバランスの取れたエコシステムの提供という、インスピレーションを搔き立てるものです。

今日は5本のキャンドルが明るく輝いています。思い出の小道の中で、この旅の進むべき道を示す5つのビーコン。そんな、今日のCardanoを形作る一助となった画期的な瞬間を振り返ってみましょう。

2017年9月27日:Cardano - 第三世代ブロックチェーン

2015年、とあるホテルで、Charles HoskinsonとJeremy Woodがブロックチェーンと暗号について語り合いました。この会合が、ビットコインとイーサリアムの先駆的な原理を前進させ、その技術的欠陥に対処した第三世代ブロックチェーンの創出に向けての最初のステップとなりました。安全でスケーラブルな枠組み内で進化と革新を推し進め、最終的に過去の制限されたレガシーシステムに替わる真の代替システムを提供して、幅広いコミュニティに力を与える完全な分散型ネットワークを創出すること。

Charles Hoskinsonは言います。「5年以上前、私たちは、投票システムだとか、サプライチェーン金融システムだとか、私たちが毎日使用するシステムを改良するという共通の使命のもとに、世界中であなた方のような何百万もの人々の懸命な働きを通じて世界を変容させるような、そんなすごいエコシステムを立ち上げる夢を持ちました」

2年後のCardanoの登場は、分散化とコミュニティエンパワメントへ向かう旅の始まりを記しました。

Cardanoプロジェクトは、それぞれに異なる役割を持つ3つの主要な貢献者を中心に考えられました。

  • Cardano財団:スイスを拠点とし、Cardanoの技術とエコシステムの標準化、保護、促進を目的とする
  • IOHK:ブロックチェーンのエンジニアリングを手掛ける企業で、Cardanoブロックチェーンの構築を担う
  • EMURGO:Cardanoエコシステム上に構築される商用アプリケーションの育成を担う

Cardanoのコンセンサスプロトコルを説明する論文「Ouroboros, Cardano’s proof-of-stake consensus protocol」は、Crypto 2017で受け入れられました。以来、この論文は1,300回以上引用されています。これ以降、IOGは140を超える研究論文を発表しており、そのうちの多くが査読を受けています。

素晴らしい旅への準備が整いました。

2020年7月:Shelley(シェリー)への遷移

Cardanoは、わずか数ノードの連合型ネットワーク、大胆なビジョン、小さな、情熱的なコミュニティとして始動しました。2020年初頭、Byron(バイロン)リブートにより分散化への道が整備され、将来のアップグレードをサポートするためのモジュラー設計内でゼロから再構築された新しいノードの実装が行われました。この夏最も重要だったのは、ステークプールと委任を導入したShelleyアップグレードです。いまや、ADAを保有するすべてのコミュニティメンバーは、真に将来の「ステーク」を持つことになりました。2021年第1四半期、ステークプールオペレーター(SPO)コミュニティは新規ブロックを100%生成し始めました。2022年9月の時点で、3,000を超える稼働中のステークプールがCardanoの分散化を維持、発展させ、これに貢献しています。

2021年3月1日:CardanoにNFT登場

NFT(代替不可能トークン)の作成と取り引きはクリエイティブな取り組みであると同時にビジネスチャンスでもあります。アーティスト、クリエーター、コレクターの機会というだけでなく、トークン化は、デジタル権、不動産、スポーツの記念品、ゲーム内アイテム、その他数えきれないものの所有に関して、ブロックチェーンのまったく新しいユースケースへと扉を開きます。

NFTに関するCardanoの優位性は、トークンがブロックチェーンでネイティブに発行できることです。この点は、スマートコントラクトを必要とするイーサリウムとは異なっています。この複雑な層を取り除くことは、CardanoのNFTが発行しやすく割安であることを意味しています。

Cardanoは、この分野有数の活発なコミュニティを持ち、数百ものプロジェクトが立ち上げられています。

2021年9月12日:スマートコントラクト

Alonzo(アロンゾ)はCardanoの主要なアップグレードです。他の重要な変更の中でも、Alonzoはスマートコントラクトの作成を可能にしました。すなわち、ブロックチェーンにプログラム可能性を追加したのです。これは、次に、分散型アプリケーション(DApp)開発への道を拓きました。2022年9月の時点で、3,228のスマートコントラクトがCardanoにデプロイされています。

2022年9月22日:Vasil(バジル)アップグレード

故Vasil St. Davovはブルガリアの数学者、プログラマー、博学者、自然保護論者であり、その生涯で10,000本以上の植林を行いました。彼はまた、熱心なCardanoアンバサダーでもありました。彼の熱心な招待により、Cardanoは2019年に彼の故郷であるプロヴディフで2周年記念式典を開催しました。残念ながら、Vasil氏は2021年に亡くなりましたが、その偉業は彼の名を冠したCardanoの最新アップグレードを通して生き続けています。

Vasilは、幅広い改良と強化を導入し、Cardanoの機能と表現力を大幅に改良、拡張させました。たとえば、新しいPlutus v2機能により、DApp開発者は新しいエキサイティングな体験を創造できます。もう1つの主要な機能は拡散パイプラインで、スループットとネットワークキャパシティを拡大させます。

Shelley期に、IOGはdパラメーターを導入しました。これは、ジェネシスノードが処理するトランザクションの割合を管理するパラメーターです。dの初期値は1に設定されていた、すなわち、すべてのブロックがIOHKの連合型ノードによるネットワークで生成されていました。2021年3月31日、dは0に変更されました。つまり、すべてのブロックがSPOコミュニティによって生成されるようになったのです。Vasilアップグレードはこのdそのものを削除しました。これは極めて重要です。dの完全削除により、分散化が固定され、将来連合型に戻る道が閉ざされるからです。

Vasilの全機能については、最近IOGが解説記事を公開しています。

このすべてをまとめるもの:ハードフォークコンビネーター(HFC)

ほとんどのブロックチェーンでは、ハードフォークはダウンタイムまたはチェーンの再起動、互換性の喪失、あるいはそのすべてを経験することになる「トラウマ」的イベントです。

Cardanoの場合、ハードフォークコンビネーター(HFC)と呼ばれる技術により、このようなことにはなりません。HFCは大がかりな調整なしに複数のプロトコルの組み合わせを可能にするよう設計されています。ByronからShelleyへの遷移にはじめて使用されたHFCは、2つの異なるプロトコルを1つの台帳に組み合わせ、ノードを複数のプロトコルバージョンで同時に実行できるようにし、スムーズな遷移を保証します。

最後に

道のりは目的と同じくらい重要

5年前、わずかの連合型ノードで始まったCardanoは、以前の世代から受け継いだ課題に対処するよう設計された第三世代ブロックチェーンとして最初のステップを踏み出しました。

今日、5つの開発テーマ(Byron、Shelley、Goguen、Basho、Voltaire)をめぐって5年を費やし、3,000を超えるノード、数百万のNFTを経て、Cardanoは世界最大のプルーフオブステークブロックチェーンに数えられています。エコシステムが成長を続ける中、Valtaire(ボルテール)の下でエキサイティングなコミュニティガバナンスの新時代が到来しています。

Charles Hoskinsonは次のように述べています。「IOGチームを代表して、このコミュニティに参加していただいたことに感謝します。皆さん、貢献してくれてありがとう。Cardanoファミリーの一員となってくれてありがとう。これは真に愛による労働であり、私たちはこの仕事を愛しています。そして、皆さんと働けることをうれしく思います。この5年間は長かった。素晴らしい5年間でした。そして、これからの5年間も楽しみにしています。ありがとう」