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ステーキングはCardanoの根幹

ステーキング委任はブロックチェーンの継続的成長を支え、ADA保有者は参加することで報酬を獲得

2022年 7月 28日 Anthony Quinn 12 分で読めます

ステーキングはCardanoの根幹

Cardanoステークプールは毎月増加しており、現在アクティブなプールは合計で3000を超えています。2021年が開けた時点では、その数はおよそ2,000でした。さらに、120万のウォレットアドレスからADAがステーキングされています。この過程で、委任レベルは流通している全ADAの74%近くにまで増加しました。これはかなりの実績ですが、それでもまだ全ADAの4分の1がステーキングされていないことになります。これは問題でしょうか。

簡単に答えるなら、問題です。それは2つの理由からになります。第1に、ステーキングにはネットワークを安全に保つ働きがあります。より多くのADAがステーキングされればその効果は強まります。第2に、個人のレベルでは、自分のコインを委任していないADA保有者は、トランザクションの検証とブロックの生成に対してステークプールに分配される報酬を逃していることになります。

プルーフオブステーク(PoS)の概念があまりに確立されてしまったがために、これが非常に革新的であることが簡単に忘れ去られています。イーサリアムによるプルーフオブワークからの移行の試みが遅延していることからも、PoSの実装がいかに難しいかがわかるでしょう。したがって、この詳細を理解することには価値があります。

Cardano誕生まで

最古のブロックチェーンであるビットコイン、そして最初にスマートコントラクトを導入したイーサリアムはプルーフオブワーク技術に立脚しています。これら第1、第2世代のブロックチェーンは、ともにトランザクションの検証とコインの「マイニング」を競り合うコンピューターのネットワークを必要とします。競争は、他には意味のないパズルを解くことであり、成功のチャンス、およびこれに伴う報酬の獲得は、純粋に計算力のみに依存することになります。究極的には、ブロックチェーンバリデーターたちはエネルギーを費やすことで競争を成り立たせており、これが膨大な電力消費につながります。

初期のころからPoWの問題は多くの人々に認識されており、2011年のビットコインフォーラムでプルーフオブステークが提案されました。

プルーフオブワーク型のシステムからプルーフオブステーク型のシステムへの移行はいつ起こるのだろうと考えています。プルーフオブステークと言って意味するところは、承認されたトランザクション履歴への「投票」が、ネットワークにもたらした計算リソースのシェアによって量られる代わりに、秘密鍵を使って自分の所有物であることが証明できるビットコインの数によって量られるというものです。

1年後、PeercoinがPoSとPoWのハイブリッドプロトコルを実装しました。しかし、PoSについては、安全性に懸念がありました。そこで、学者チームが数学的に証明可能なPoSプロトコルの設計に乗り出しました。これは思いがけないレースとなりました。エディンバラ大学の教授でInput Output Global, Inc.(IOG)のチーフサイエンティストであるAggelos Kiayiasが率いるチームは、Crypto 2017カンファレンスでOuroborosについての画期的な論文「the first blockchain protocol based on proof of stake with rigorous security guarantees(厳密な安全保証のあるプルーフオブステークに基づいた最初のブロックチェーン)」を提出しました。これは、PoWブロックチェーンに比べて大幅にエネルギー消費が少ないため、「グリーン」なコンセンサスプロトコルと筆者自らが表現するSnow Whiteプロトコルを発表したコーネル大学のチームを打ち負かしました。Cryptoカンファレンスでは、論文をプログラムに含むにあたり、厳正なピアレビューを行います。したがって、他の学者が、各論文に対しその科学的価値を精査することになります。

Kiayias教授の論文は、Ouroborosのセキュリティプロパティをビットコインのそれと比較した形式手法による数学的実証を確立しました。Google Scholarで1,300も引用された同論文は、ブロックチェーンに関して最も参照された研究論文に数えられ、他の複数のシステムに影響を与えました。特筆すべきはPolkadotとConcordiumです。

理論が証明されると、IOGのブロックチェーンエンジニアたちは、Haskellプログラミング言語を使ったOuroborosプロトコルの実装に着手しました。Cardanoは2017年9月に立ち上げられ、ブロックチェーンの燃料となるCardanoネイティブ暗号資産のADAは即座に有数の暗号資産になりました。以来、トップ10の位置を維持するたった4つのコインの1つとなっています。

もちろん、2017年の立ち上げは、Cardanoの旅のほんの始まりに過ぎません。ここから、4つの開発期からなるロードマップが敷かれました。IOGのエンジニアたちは、シリコンバレー型の「性急に動いて物事を破壊する」モデルは却下しました。重要なインフラの障害は、人々の生活にかかわるからです。ゆっくり確実にがCardanoのやり方です。

ステーキングとOuroboros

Cardanoは、数学的に証明されたPoSコンセンサスメカニズムを持つOuroborosに支えられています。仮想リソースであるステークは、Cardanoブロックチェーンに記録され、ADA保有者によるそのステークの委任がネットワークの稼働と安全性を保っています。

すべてのADA保有者がステーキングプロセスに参加するためにコンピューターシステムを実行しなければならないというよりも、ステークプールでリソースを共有する方が理にかなっています。しかし、どのようなプールであっても支配的になることのないよう、システムが防げるようにすることが重要です。したがって、Cardanoには、ステークプールが公平さを確保しながら発展するようにイニシアチブを与える報酬共有スキームがあります。同時に、システムによって、ステークホルダーはステークプールに委任するか、自分のプールをセットアップすることができます。後者の場合、プールオペレーターは自分のステークを「出資」します。これは、ネットワークを保護する助けとなるために一定額のステークを「ロックアップ」することです。

プロセスを使いやすいようにすることは重要です。なぜなら、システムにかかわるステークホルダーが増えるほど、分散型台帳の安全性は高まるからです。ほとんどのADA保有者は、プールを運営したいとは思いません。代わりに、自分の利益とコミュニティ全体の利益に最も役立つと判断する1つまたは複数のプールにステークを委任します。Cardanoはノンカストディアル型です。したがって、いかなる時も資産がロックアップされることはなく、すべてのステークホルダーは自分のADAステークをウォレットから委任することが奨励されています。

誰かが支配的な立場に立つことは、個々のステークホルダーの力を制限することにより避けられます。ステークプールオペレーターは、自分個人のリソースではなく、プールが管理するリソースに比例してシステムに影響を及ぼします。システムの1人がコントロールする力が高まれば、セキュリティは弱まり、51%攻撃でブロックチェーンがコントロールされるリスクにつながります。もう1つのリスクとして、ステークホルダーが多数のプールを作ることがあります。これもレバレッジの増加、さらにはシビル攻撃につながる可能性があります。

Kiayias教授はOuroborosの中心でメカニズムがどのように機能するのか、ブログと、Ouroborosの安全性を証明した最先端の学術論文の両方で説明しています。

Ouroborosのメカニズムは、一定数の均等なサイズのプールに収束するために適した制約をシステムに提供します。オペレーターは、自分のパフォーマンス、コスト効率、エコシステムへの一般的な貢献に応じて報酬を得ます。

報酬共有スキームは、中小規模のプールが大規模なオペレーターやコンソーシアムに組み込まれるという他のブロックチェーン、特にビットコインに生じた事態に陥ることなく、エコシステムに貢献できるようにします。スキームは、1つのプールへのステーク委任が特定の閾値を超えた場合に、報酬が減少するようにも設計されています。このため、ADA保有者は、よりよい報酬を得るために別のプールに切り替えることになり、ひいてはより多くのプールにわたりステークが広まることを促します。ネットワークは、より多くの参加者がトランザクションの検証をすることにより、安全性が高まります。

報酬は、各エポック(Ouroborosで使用される時間の尺度、約5日間)の最後に分配されます。ステークプールの運営コストと同様に、獲得した報酬は、ステークプールではなく、Ouroborosプロトコルによって各ステークホルダーのプライベートウォレットに自動的に振り込まれます。

「流動性ステーキング」という用語を目にしたことがあるかもしれません。これは、ある暗号通貨に関連付けられたステークがステーキング過程で「ロック」され、投票などの他の目的に使用できなくなるような、他のブロックチェーンで起こる問題を指しています。この問題はCardanoでは起こりません。ステークは常に流動性を持ちます。また、ステークが有効化する前の「ロックイン」期間もなく、コインの送信その他で使用することに遅れが生じる可能性もありません。

ステークプールを選択する

ステークプールオペレーターは、出資額を決めるほかに、マージンと運営コストを設定する必要があります。各エポックの終わりに、ステークプールに報酬が分配されます。報酬は、プールとステークホルダーに3段階で分配されます。まず、ステークプールが存続できるよう、運営コストが自動的にオペレーターに残されます。次に、オペレーターのマージンが計算され、プールに残されます。最後に、プールに委任しているすべてのADA保有者に、ステークの額に応じて報酬がADAで支払われます。

Kiayias教授は、ADA保有者に、委任をプールの使命や目的を支持していることを示す「信用の投票」と考えることを提案しています。ADA保有者は、adapools.orgpooltool.ioといったツールを使って、自らの委任先決定に影響を与える要素について調査を行うべきです。ここで言う諸要素には、プールの文化やランキング、リソース、コミュニティにおけるプレゼンス、プロ意識、そして、Cardanoエコシステムに対する長期的なコミットメントが含まれます。たとえば、Daedalusウォレットインターフェイスのランキングメカニズムの改良などのニュースに注意するのもいいでしょう。最後に、プールのパフォーマンスと更新情報をチェックして、自分の選択と評価が可能な限り最高のものであることを定期的に確認してください。

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