本日21:44:51 GMT(日本時間4月1日6:44:51)、Cardanoのブロック生成は完全に分散化されます。これは重大な分岐点です。IOHK、EMURGO、Cardano財団が運営する7つのコアノードによる連合型ネットワークから、ステークプールオペレーター(SPO)のコミュニティがブロックを100%生成する、分散化した状態へと向かいます。
Cardanoはプルーフオブステーク型のブロックチェーンプラットフォームであり、査読済み研究を基礎に、世界でトップレベルの研究者やエンジニアのチームが、エビデンスベースのソフトウェア開発プロセスに則って開発しました。Cardanoは、この専門家集団のコアから、パワーを末端、すなわち個人のコミュニティまで確実に再配分させるために存在します。そして変化と進歩の推進力となるよう彼らをエンパワリングします。
Cardanoをここまで引っ張ってきたのはSPOコミュニティです。分散化パラメーターであるd値がゼロに達すると、SPOが全Cardanoブロックの生成に責任を持つことになります。
分散化が必要な理由
日常用語では、分散化(decentralization:地方分権化)は中央当局からより広範な組織グループへ権利を委譲することです。しかし、この定義は暗号資産およびブロックチェーンのコンテクストにおいては表層を引っ掻いているようなものです。
完全分散化に向けたCardanoの技術的旅は、段階的に開発を進めていくことにより継続されます。ここにはSPOのブロック生成レベル、P2Pネットワークディスカバリー、そして、ピア同士で情報交換を行う「ゴシップ」が含まれます。これには、高度なコミュニティ主導のガバナンスと意思決定フレームワークの配信が伴い、ソフトウェアとプロトコルの更新は完全に分散化されるに至ります。最終的に、SPO、開発者、ADA保有者からなるグローバルコミュニティを通じて操作、制御される、完全に民主的なプラットフォームの創造へと至ります。
分散化はCardanoのコアバリューであり、推進力です。そしてこれは私たちだけではありません。金融界の主流派も、ブロックチェーンとそれが可能にする分散型金融(DeFi)テクノロジーが、インターネットそのものと同じくらい革命的な新しい金融システムを生み出す可能性を秘めていることを認識しています。これは分散化へ向かうトレンドの一部に過ぎません。誰もが使用できるデータストレージの賃借人とプロバイダー間のオープンプロトコルは、AmazonやMicrosoftなど主要な集権的クラウドサーバープロバイダーを脅かす可能性を秘め、動画や通信ネットワーク、ゲームなどで同様のトレンドが見られています。最初に人々をブロックチェーン界にもたらしたのは暗号通貨ですが、現在はNFT(代替不可能トークン)の話題が楽しみながらのブロックチェーンとのやり取りを促進しています。こうしたトレンドがマスマーケットにブロックチェーンを導入しています。
末端にまでパワーを
中央集権化は、仮想情報の独占を生み出しながら、人々からFacebookやGoogleといった企業へと力のバランスをシフトさせてきました。そのゆるぎない市場ポジションにより、中央的権威は消費者に対するデータ支配権を享受しています。
分散化はこの力の集中とそれがもたらすリスクに対する対抗手段です。分散化は個人に選択と意思決定をする力を与え、個人情報の所有権をそれが帰属する場所に戻し、パワーを末端へと届け、ネットワークの参加者(またはADA保有者)すべてがステークを持つことを可能にします。
Cardanoの分散化には3本の柱があります。ブロック生成、ネットワーク、そして、ガバナンスです。これらは本質的に相互リンクしており、相乗的に機能して統一された結果を生み出します。完全な分散化は、その合流点にあります。
1本目の柱:ブロック生成
すべてのブロックチェーンの成長と繁栄は、新ブロックの追加に依存します。Byron期には、IOHK、Emurgo、Cardano財団が管理するコアノードはブロックの生成およびネットワークの維持にすべての責任を負っていました。Shelleyの到来と2019年のインセンティブ付きテストネットは、分散型ブロック生成のテスト環境を提供しました。この結果、こうしたイニシアチブの実行可能性が示されました。言い換えれば、インセンティブ付きテストネットの実験は、Cardanoはコミュニティが実行するステークプールのネットワークによって、確実に維持できることを証明しました。2020年6月3日(標準時)エポック170の時点における登録ステークプール数は1,299、うち413がブロックを生成していました。
今日では、およそ2,300のプールが、健全な割合でブロックを生成し、委任者に報酬をもたらしています。一部は取引所がコントロールしており、その他はコミュニティオペレーターによる単独プールです。このすべてが、ネットワークに価値をもたらしています。前者はエコシステムに新たなADA保有者をもたらす能力を通じて、そして後者は分散化を継続し、草の根的かかわりを奨励することへの貢献を通じて。私たちは分散化の奨励に尽力し、今年はコミュニティ委任戦略に沿ってk(最大プールサイズ)や出資などのパラメーターを調整し、このアジェンダを推進し続けます。
2本目の柱:ネットワーク
Cardano分散化の2本目の柱は、P2Pネットワークの実装です。これはすでにShelleyでテストしています。ここでの目的は、地理的に分散しているプールをリンクさせ、安全で堅牢なブロックチェーンプラットフォームを提供することです。
メインネットでは、この機能はミニプロトコルのセットを使い、ピアをコールド、ウォーム、ホットに分類して、所与のノードが接続を選択するときにベストな選択ができるようにします。ネットワークの観点から見ると、現在はネットワークの接続維持にSPOによる手動処理が必要とされるハイブリッド段階にあります。d=0になると、すべてのコアノードは終了し、SPOがブロック生成を引き継ぎます。 IOHKはリレーの維持を続けますが、徐々にSPOネットワークがこの役割も担うようになります。この詳細に関しては、3月のCardano360でCardanoチーフアーキテクトのダンカン・クーツがP2Pのロードマップを紹介した部分をチェックしてみてください。
3本目の柱:ガバナンス
Goguenのロールアウトにより、Cardanoにはすでにトランザクションメタデータとネイティブトークンが導入されています。これは、Shelleyの開始以来Cardanoの成長や進歩を最も明確に示すものであることに間違いはないでしょう。
しかし、これと同時に、さらにパワフルなものが台頭してきています。Project Catalystのビルダー、クリエイター、起業家らによる熱心なコミュニティです。本稿を執筆している時点で、Catalystコミュニティは世界各地から17,000人のメンバーを擁しています。この分散化された才能のプールは、起業家、エキスパート、さまざまな分野の専門家を含み、最も優秀なアイデアがふさわしい資金調達を確実に受けられるように、広大な創造性の宝庫を提供します。
堅固なガバナンス層はCardanoが最終的に達成しようとしている目標のまさに中核をサポートします。それは、ステークホルダーのコミュニティがチェーンのプロトコルと進化について実践的な意思決定することです。Catalystは、ガバナンス、そしてオンチェーンの意思決定あるいは投票という、分散化の第3段階にして最終段階を導入する開発テーマ、Voltaireの先駆けとなります。
Voltaireでは以下が導入されます。
- コミュニティが所有のADAステークを介してCardanoの将来の方向性に影響を及ぼす、ガバナンスフレームワーク内の分散型トレジャリー(ADAの現在価格でおよそ4億米ドル相当)を経由した資金へのアクセス
- 強化、ネットワークの向上、パラメーターの更新に関する分散型意思決定
- 完全に分散化されたソフトウェア更新:システムおよびプロトコルの発展に関する決定への公正な投票へ、分散型のオープンな参加を可能にするプロセス
結論:中央集権の落日
分散型ブロック生成 - 完了。P2Pネットワーク - 4月からロールアウト。そしてガバナンスに関しは、Project Catalystは進行中で、さらに多くのことが起こります。
中央集権的にブロックを生成する連合型チェーンから、コミュニティが完全にブロックを生成するチェーンへ。私たちは確実に前進しています。3本の柱をすべて構築し終えれば、真に無二のものが生まれます。ネットワークは堅牢で復元力に富み、同時に柔軟で将来の成長に適応できます。今日提供されるプラットフォームは、明日の新たなバリューや機能を構築する力をユーザーに与えます。すべて、コミュニティが決定権を握る民主的な枠内です。真の分散化が、この3本の柱の頂点に立っているのです。
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