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'D'(= 0)デイまでもうすぐ

Cardanoブロック生成が完全な分散化に急接近中の今こそ、ネットワークの進化を振り返る

2021年 3月 4日 Colin L Edwards 10 分で読めます

'D'(= 0)デイまでもうすぐ

3月末、ジェネシスノードが処理するトランザクションの割合を管理する「d」パラメーターが0になるときが、Cardanoにとってもう一つのマイルストンが訪れます。この時点で、ブロック生成の責任が完全に分散化されます。言い換えれば、Cardanoネットワークの1800を超えるコミュニティプールが唯一、ブロックの生成に責任を負うことになります。

d=0デイは、Cardanoが続けている旅のランドマークになります。2020年7月にShelleyを配信した当初、dは1.0に設定されていました。これは、すべてのブロックが連合型ノードからなるIOHKのネットワークにより生成されていたことを意味します。もちろん、これは分散化とは真逆でしたが、ステークプールオペレーター(SPO)のネットワークが稼働を始めたばかりの時期のアプローチとして適切なものでした。

d=0デイの準備

d値は、エポックごとに0.02の割合で時間をかけて徐々に減らしていきます(言い換えると、5日ごとにコミュニティが生成するブロックを2ポイント上昇させることになります)。このブログ記事が投稿される時点でd=0.12、ブロックの88%がコミュニティプールにより生成されており、連合型ノードによるものはわずか12%です。

簡単に言えば、dが減少するにつれ、コミュニティが生成するブロック数と、ブロックを生成するステークプールが増加します。dが下がるにつれて、ネットワークの多様性と地理的分布が拡大します。

3月31日、エポック257の境目に、dはゼロに達します。これは特別な日となります。数値は少ないかもしれませんが、その重要性は膨大だからです。この文脈において、ゼロは外部に向けた最も重要な分散化の指標となり、私たちの哲学の中心にある「d=0が力を末端へと送る」という信条を支える、数値化されたシンボルとなります。

完全な分散化への移行を続けながら、この機会にCardanoネットワークの進化を支える他のパラメーターに目を向け、これまでに目にした変化についていくつか紹介しましょう。

d値は、ネットワークの運営と健全性を司る20を超えるパラメーターの1つに過ぎません。この一連のパラメーターは、分散型プルーフオブステークシステムの効果的で自然な運営を管理、誘導する「レバー」です。コミュニティは最終的にVoltaireのガバナンスルールを介してCardanoの進化を推進しますが、それまでは、この一連のパラメーターを管理するのは私たちの仕事です。後見人としての責任により、私たちはネットワークの健全性を構築、維持するために必要な調整を行います。

kパラメーターはなぜ特別なのか

技術的配慮に加えて、私たちは小規模なSPOのサポートを続けます。このアプローチが、最も分散化し、経済的にサステナブルなステークプールのエコシステムを創造するという長期的な目標に沿ったものであると信じているからです。これは2021年を通じてステークプールの多様性を支えることを目標とした委任アプローチに深く反映されています。

去年、ネットワークパラーメーターの最初の大幅な調整が実施され、150だったk値がk=500に再設定されました(つまり、公開当初は他のプールがブロックを生成することができたとしても、システムはブロック生成プール数が150で最適化されていました)。これは、IOHKとCardano財団、そしてSPOコミュニティとの広範な議論の末に実行されました。

k=500への移行は、より多くのプールにブロックを生成する機会を創出すること、そして、ブロックをすでに生成しているプールをサポートし、そこへ委任している人々の混乱を最小限に抑えるという点に基づき、バランスを考えて下した決断です。全体として、これは成功を収めました。この点について、もう少し詳しく見てみましょう。

K=500への変更

k値変更の発表前、委任されているすべてのADAの54.6%がトップ10のステークプール間で占められており、45.4%がより小規模なプールを代表していました。k=500への変更に伴い、この数値は逆になりました。現在55.9%のADAがトップ10以外のプールで占められています。

これはkの変更に直接関連する劇的な変化です。

好調な滑り出しとなりましたが、私たちの目的はネットワークの最適化を継続することです。したがって、何が起こったかを観察し、フィードバックを集め、ここから学んだすべてを次の変更に活かしたいと思っています。

プールは経済的な理由があるときに分裂します。出資の割合が非常に大きなプールにとって、出資額が多ければ多いほどその価値は高まるため、SPOたちは出資をまとめておこうとします。反対に、出資のレベルが低いプールにとっては、追加的なプールを始めるために出資を分割することを思いとどまる理由はあまりありません。

ステークプールの運営にはコストが生じる一方で、ADA値が上昇している現状においては、出資を分散させる財政的インセンティブはむしろ強化されているでしょう。まずこれに対処せずにk値を例えばk=1000に設定したとして、目的となるエコシステムの分散化と多様化を進めることにはならないでしょう。単に、同じオペレーターたちが倍の数のプールを運営する姿を見ることになるだけです。

出資の変更

a0パラメーターはSPOが出資を少数のプールに集中させた場合にメリットを与えます。これは、高額ADAの出資を(IOHKが実行しているように)大規模なプライベートプールに集中させるようプールを奨励し、小規模なプールが委任を惹きつける機会を増やす効果を発揮しています。

ただし、現在のシステムには改良の余地があります。そこで、現在しばらくの間、少額の出資への分散に対応するために、出資をより効果的にするための議論と、オプションのモデル化を進めています。

現在の報酬公式の構造は、単純なパラメーターの変更によりインパクトを変えられるような柔軟性は持ち合わせていないため、報酬公式を変更する必要があります。研究チームがこれに長い間取り組んでいます。

評価過程で、有望な候補がいくつか出てきています。この機会に、コミュニティのショーン・マクマード氏が改善提案として提出した、この分野での開発アイデアを刺激するCurve Pledge Benefit(出資メリットのカーブ)を紹介しておきたいと思います。

私たちの研究チームは現在あるアプローチの仕上げ段階に入っています。まもなくその成果が発表されたら、コミュニティにも伝えます。ただし、チームは現在a0を変更するべきだという結論に達しています。この変更はネットワークに大きな利益をもたらすでしょう。システムの持続可能性、地理的分布、多様性が世界的に高まります。さらに、すべてのパブリックプール(出資で完全に「飽和」されていないプール)の収入が増加します。

内部で相当な議論を重ねた結果、望む結果(特に、分裂したプールよりも小規模な単体のプールへステークの流れを促進させる)を得るためには、k値の変更はa0の公式を変更した後で行うべきであるとの結論に達しました。これは公式を完全に変更するものであり、単純なエポック境界での変更ではなくなるため、ハードフォークの一環としてリリースする必要があります。現在開発パイプラインおよびチームは、Goguenロールアウトの継続および可能な日程に焦点を当てつつ、この変更を第3四半期にもう一度検討することを予定しています。

その他の検討ポイント

その他のファクターも検討する必要があります。中でも最重要なものは複数プールへの委任の有効化で、ADA保有者が1つのウォレットから複数のプールにステークを分散できるようにするものです。これはコア開発チームによる重要なバックエンド作業とともに、新たなインターフェイスおよびビジネスルールの調整を必要とします。また、可能であれば、同様のタイムフレームでSPOにDaedalusでよりよい出資オプションを提供したいと考えています(現在はCLIまたはAdaLite経由でのみ可能)。これはすなわち、社内チームのみならず、LedgerおよびTrezorウォレットの企業にとっても追加的な開発作業を意味します。

また、最低手数料(「底辺への競争」を防ぐために実装されながら小規模なプールにゆがめられている)など他のパラメーターの研究も継続しながら、スマートコントラクト機能のロールアウトに伴い、ノードパフォーマンスのベンチマーキングおよび最適化を継続していきます。私たちの責任とコミットメントは、ネットワークの安定性、スケーラビリティ、そして全体的な健全性と、プールオペレーターと委任者からなるエコシステムの繁栄の間の微妙なバランスを達成することです。

将来への発展

ネットワークとステークプールエコシステムの健全性を奨励していきながら、私たちは他の重要なパラメーターや値の監視および研究を続けます。この作業では、戦術的なアプローチと戦略的なアプローチの両方を検討します。

ADAの価格上昇、ネイティブトークンの実装、スマートコントラクトへの期待とともに、Cardanoの料金構造の評価、見直しを継続します。例えば、コミュニティからのフィードバックに基づき、一部の料金を直ちに低下させるという戦術的アプローチを検討しています。ステークプールの最低固定料金340ADAは変更対象として有力です。また、ネットワークのトランザクション手数料、およびスマートコントラクトのデポジットについても議論しています。

当社の研究者およびアナリストも、外部の経済コンサルティンググループとともに、長期的に安定した予測可能な料金を確保するための最適化アプローチを形式化する作業にかかっています。この見直しで得られる結果には、ネットワークの開発、最適化、スケーリングを続けながら、将来的にいつどのように手数料を決定していくべきかについて明確に示した、ガバナンスモデルが含まれます。私たちは考えを発展させながら、コミュニティに適宜情報を開示し、協力をお願いします。

本稿への追加情報およびこの評価期間を通じてフィードバックを寄せてくれたFrancisco Landino、Lars Brünjes、Aikaterini-Panagiota Stouka、Aggelos Kiayias、Tim Harrisonの諸氏に感謝します。

Colin L Edwards

Colin L Edwards

Quantitative Strategist

Commercial