楽しみと利益のためにCardanoでネイティブトークンを構築
ユーザーがシンプルでパワフルなツールを選び、Cardanoで資産に命を吹き込むことを可能にする新機能
2021年 2月 18日 13 分で読めます
Cardano Docハードフォークコンビネーター技術を使用して実装されるMary(メアリー)プロトコルへのアップグレードとともに、ネイティブトークンとマルチ資産機能がCardanoに導入されます。
2月3日、最終テスト段階としてCardanoパブリックテストをMaryにアップグレードしました。Cardano更新提案のメインネットへの配信は2月24日を予定しています。すなわち、エポック250の境界前にデプロイされ、3月1日から発効することになります。テストにさらに数日を要する場合は、Maryのデプロイは次のエポックに順延されます。この場合、発効までに5日間かかります。Maryは数週間にわたりテスト環境で無事に稼働しているため、レベルを高いまま保つことに私たちは自信を持っています。しかしながら通常通り、これを正しく行えるよう、(以前のShelleyやAllegraといったHFCイベントで開発、実証された)厳密なプロセスに従って実施します。
コードがメインネットに無事デプロイされたら、Daedalus Flightの新バージョンをユーザーテストのためにリリースします。これは、マルチ資産機能を統合した最初のCardanoウォレットになります。ウォレットのパフォーマンスと使用性が実証されれば、Daedalusのメインネット版をリリースし、Cardanoユーザーに完全なネイティブトークン機能をお届けします。
なぜネイティブトークンなのか
ネイティブトークンはCardanoにマルチ資産サポートをもたらし、ユーザーは独自に定義した(カスタム)トークンを作成し、Cardanoブロックチェーン上で直接それを使って取引きを行うことができます。
金融業務にトークンを使用することは、ますます一般的になっています。コストを削減できると同時に透明性や流動性を向上させることができ、もちろん大手銀行といった中央集権的組織からも独立しています。トークン化とは実際の資産(例:法定通貨、株式、貴金属、財産)をデジタル形式で表現するプロセスであり、これを使用して商業活動のための金融商品を作成することができます。
Cardanoは多くのトークン化オプションを提供します。Maryへのアップグレードで、台帳の会計インフラはADAのトランザクションだけでなく、複数の資産タイプを同時に運ぶトランザクションも処理するようになります。ネイティブサポートにより、カスタムトークン作成やトランザクション処理のためにスマートコントラクトを作成する必要がなくなることは、開発者にとって大きな利点となります。これは、会計台帳が資産の所有権と譲渡を代わりに追跡し、余分な複雑性と手作業によるエラーの危険性を排除しながら、大幅なコスト効率を確保することを意味します。
将来とユーティリティ
開発者、ビジネス、アプリケーションは、商業的またはビジネス上の目的に合わせて、一般目的(代替可能)または専用(代替不可能)トークンを作成することができます。これには、分散型アプリケーションのカスタム支払いトークンや報酬、別の通貨にペッグしたステーブルコイン、知的財産を表す固有の資産などの作成も含まれます。こうした資産のすべてが取引きや交換、または製品やサービスの支払いに使用できます
イーサリウムのスマートコントラクトに基づくERC-20トークンとは異なり、Cardanoのカスタムトークンの追跡および会計は、台帳によりネイティブにサポートされます。ネイティブトークンは価値の移転にスマートコントラクトを必要としないため、ユーザーは、スマートコントラクトでは必要となるトランザクション手数料の支払いや、トランザクションの追跡用のイベント処理ロジックの追加なしに、トークンを送受信、廃止することができます。
Cardanoのネイティブトークンの作業
ネイティブトークン環境作成にあたっては、作業のシンプルさ、手頃な価格、そしてもちろん、セキュリティに焦点を当ててきました。
ユーザーは、好みや技術的なスキルに応じて、トークンを作成、分配、交換、保管する方法を、3つの中から選ぶことができます。
- Cardanoコマンドラインインターフェイス(CLI):上級ユーザーは、現在専用のテスト環境経由でCLIにアクセスすることができます。CLIはハードフォークが実施される際にメインネットに配信されます。
- 「トークンビルダー」グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI):これはCLI開始に続き、トークンを簡単に作成する方法を提供します。
- Daedalusウォレット:Daedalusはカスタム作成されたトークンの送受信をサポートします。3月にDaedalus Flightでネイティブトークン機能をテストし、まもなくメインネットでリリースされる予定です。
では、各オプションについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
Cardano CLIによる作業
上級レベルの開発者は、ネイティブトークンのテスト環境を使って資産を作成(鋳造)し、さまざまなアドレスへテストトランザクションを送信することができます。
CLIの作業に関しては、Cardanoノードの設定や操作に精通しており、トランザクションの作業、およびアドレスや価値の管理の経験が豊富なユーザーを想定しています。Cardano CLIを使用したネイティブトークンの作成には以下が必要です。
- Cardanoノードの設定と起動
- ネイティブトークンテスト環境に接続するリレーノードの設定
- ネットワークとのインタラクション開始(Cardano CLIへのプロンプト)
- 通貨ポリシースクリプトの構築
- 通貨ポリシースクリプトを使用したトークンの作成
- 最後に、アドレス間でトークンを移転するためのトランザクションの送信および署名
ネイティブトークンのチュートリアルおよびエクササイズはCardano Docサイトで利用でき、開発者はトークンの鋳造、通貨ポリシーの作成、マルチ資産トランザクションの実行方法について学ぶことができます(現在英語のみ)。
すでに、特にステークプールオペレーターから関心が寄せられています。これまでに何百ものテストトークンが作成されていますが、フィードバックをベースに今後もCLIの改良を続けます。私たちはご意見を歓迎し、コミュニティのテストを奨励しています。
トークンビルダー:トークンを作成するためのユーザーフレンドリーなGUI
CLIは一定レベルの開発能力が必要です。そこで、あまり技術的なスキルを持たないユーザーがトークンを作成できる別の方法を考案しました。これを達成するために、CLIのメインネット公開後にトークンビルダーの公開を予定しています。
トークンビルダーはGUIで、トークンの作成がより簡単に行えます。分散型アプリケーションでのトークン作成、財産のトークン化、特定の資産を表すNFTコレクターカードの作成、他の通貨の価値にペッグさせたステーブルコインの作成などに興味がある場合には、トークビルダーが役立ちます。
トークンを作成するには、以下を入力する必要があるだけです。
- トークン名(例:Hello World)
- トークンシンボル(例:HEW)
- トークンアイコン(自動生成)
- 作成する数量(例:1,000)
- Cardanoウォレットアドレス(新規作成したトークンをホストする自分のアドレス)
トークンビルダーは通貨ポリシーを自動生成します。自分で定義する必要はありません。こうしてトークン作成は合理化され、非技術ユーザーのためにシンプル化されます。
図1:トークンビルダーダッシュボードのプロトタイプ
当面、トークンビルダーは代替可能トークンの作成のみをサポートします(代替不可能トークンはCardano CLIで作成することができます)。やがて、代替不可能トークンの作成や、特定の好みに応じて通貨ポリシーを変更できるよう機能を拡張していきます。これは例えば、ユーザーがどのような条件下でトークンを鋳造(または廃止)するか、または、誰が資産の供給を管理するかを特定することができるようになることを意味します。
さらに、トークンが鋳造される際に、「もっと鋳造する」ボタンをクリックすることで、さらに鋳造することができるようになります。これは、同じポリシーに基づいて実行され、同種のトークンをさらに作成できます。または、別のポリシーに基づき、異なる価値を表す別のトークンを作成することもできます。例えば、Hello Worldトークンをさらに作成することもできますし、別の目的に使用する「テスト」トークンを最初からもう一度作成することもできます(ここには異なる鋳造ポリシーが適用されます)。
トークンビルダーはトークン作成の複雑性の軽減を目指しており、関数処理の強化および視覚的表現にも焦点を当てています。結果として、作成されたすべてのトークン、その価値、量、移転に使用されたアドレスの可視性を、すべて一か所で提供することを目指しています。
Daedalus
自分でトークンを作成することは望まないが、既存のトークンを支払いや購入、交換に使用したいと望むユーザーは、DaedalusやYoroiといったウォレットを使用することができるようになります。
Daedalusチームは、ネイティブトークン機能をサポートするために、ウォレットバックエンドをユーザーインターフェイスに統合する作業を続けています。ユーザーはネイティブトークンをウォレットに保有して、ADAと同じように送受信することができるようになります。
ネイティブトークンは、オンチェーンに保存された、2つの16進数(ポリシーIDと資産名)で一意に識別されます。こうした数値は「人間にやさしい」ものではないため、ユーザーがネイティブトークンをより簡単に識別できるよう、フィンガープリントを作成しました。フィンガープリントは44の英数字からなる文字列で、「token」という接頭語から始まります。
UIに表示される追加的なトークンデータ(名称、説明、頭字語)は、Cardanoトークンレジストリーにより提供され、当初はCardano財団が管理します。
図2:DaedalusネイティブトークンUI
ネイティブトークンのライフサイクル
すべての必要なコンポーネントがデプロイされたとき、ネイティブトークンのライフサイクルは完了します。これは5段階からなります。
- 鋳造(ミント)
- 発行
- 使用
- 還元
- 廃止(バーン)
図3:ネイティブトークンのライフサイクル諸段階
これらの段階において、資産管理者は資産クラス用のポリシーを定義し、トークン発行者にトークンの鋳造や廃止を許可することができます。トークン発行者はトークンを鋳造し(例えばアプリケーション用など)、その流通を維持し、トークン保有者に発行します。最後に、トークン保有者(個人ユーザーまたは取引所)は、トークンを他に送信したり、支払いに使用したり、使用を終えた際に還元したりすることができます。
今後の予定
2020年12月のテスト環境開始により、ネイティブトークン開発の基礎が据えられました。また、取引所やステークプールオペレーターが初期テストを行えるようにステージ環境を追加しました。ここにはフォーセットが置かれ、リレーを接続しながらノードのネットワークが構築されます。
週ごとの進捗状況は、Cardano週刊技術レポートをご覧ください。ネイティブトークンの機能性を拡大し、ツールやインターフェイスを追加するごとに、人々の参加を促すためにドキュメントやチュートリアルを提供します。もちろん、コードベースはオープンソースで、すでに多くの興味深いコミュニティプロジェクトが生まれています(例えばデジタルコレクティブルの分野など)。
したがって、2月後半から3月初頭にかけて、最終テストやHFCイベントから、最新のDaedalusウォレットで体験するCardanoネイティブトークンまで、エキサイティングなイベントが目白押しとなります。
Cardanoフォーラムのネイティブトークン専用セクションで他のコミュニティメンバーとの話し合いに参加し、ネイティブトークンについてより多くの情報を見つけてください。また、Devnetプログラムへの登録もお忘れなく。
技術情報執筆協力:Olga Hryniuk
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