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Cardanoの未来を形作る:Input | Output Engineeringの開発提案

Cardanoに変革的な進歩をもたらしてその次の章を支援するよう、Input | Output Engineeringがコミュニティに呼びかけ

2025年 6月 26日 Olga Hryniuk 19 分で読めます

Cardanoの未来を形作る:Input | Output Engineeringの開発提案

コミュニティ主導のガバナンスという新しい時代において、私たち全員がCardanoの次の章を形作ることになる。Input | Output Engineering (IOE)は、スケーラビリティ、ユーザビリティ、相互運用性に焦点を当てたロードマップの優先事項を提案している。これらのイニシアチブは、より広範な開発者コミュニティからの強力な提案と調和し、Cardanoが次に進むべき方向へとかじ取りし、プラットフォームの未来に対する包括的なビジョンに貢献するように設計されている。

この提案では、Cardanoのコアインフラ、スマートコントラクト機能、スケーリングソリューション、ユーザーエクスペリエンスの強化を目的とした主な開発の概要を提供している。

提案されたロードマップは、すでにコミュニティ全体から高いレベルの支持を得ている。包括的で相互に関連付けられた一連のイニシアチブ、つまり、個々のコンポーネントを統合して、予想される利益のすべての範囲を達成することを目的とした、統一された作業体系を提示している。

メンテナンスとサポート – 安定性、パフォーマンス、セキュリティの確保

Cardanoの安定性、パフォーマンス、セキュリティを維持するには、コーディングだけでなく、知識を維持し、複雑さを軽減し、エコシステム全体で貢献者を支援する必要がある。2025年後半から2026年前半までを対象としたIOEの提案では、問題の修正、技術債務の対処、パフォーマンスの向上など、Cardanoコードベースとインフラの継続的なサポートの概要が示されている。

長期的なサステナビリティには明確さも必要だ。多くの開発者は、新しいツールを構築したり、Cardanoノードのコア機能を深く理解したりすることが困難であると感じている。これは、膨大な資料があちこちに分散しており、Haskell実装の詳細に密な形式メソッド構文が混ざってしまっている場合も少なくないためだ。これが、より広範な貢献と理解を阻んでいる可能性がある。

こうした課題に対処するのが、統一規格のCardano Bluprintの作成だ。目標は、既存のノード文書をコミュニティ所有の、ノード実装の構築者すべてがどんな言語でも理解できるような、役に立つものにすることだ。これにより、HaskellやAGDAに慣れていない開発者でもノードの機能を効率的に把握できるようになり、開発が大幅に容易になる。このイニシアチブにより、エコシステム全体で、コミュニティへの貢献、代替ノードの実装、より深い技術的理解が可能になる。Cardano Blueprintは、コンセンサス、ネットワーク、台帳、Plutusなどの重要な分野をカバーしている。ノードの機能が進化するにつれて、継続的に更新される、進行中のプロセスとして設計されている。これは、Cardanoを誰にとってもさらにオープンで理解しやすいものにするための草の根の取り組みだ。

階層型価格モデル – トランザクションのタイミングとコストの予測可能性

Cardanoネットワークでは、ピーク時に時折輻輳が発生し、予測不可能な遅延が発生する。ユーザーは、重要で時間の制約があるトランザクションの中断に直面する可能性がある。その結果は、フラストレーションや潜在的な財務リスクだ。

提案されている階層型価格設定モデルでは、AIベースの輻輳パターン分析を利用した、Cardanoトランザクションの優先順位付けメカニズムを導入している。ユーザーは、さまざまな料金レベルやブロック取り入れの期待値を提供する「標準、優先度、保証」の3つのトランザクションチャネルから選択できる。この柔軟なシステムにより、ユーザーは特定のニーズを満たすためにトランザクションの優先順位とコストを選択でき、緊急のトランザクションをタイムリーに含めることができる。これにより、全体的なユーザエクスペリエンスが向上し、ネットワークの拡大がサポートされる。

階層型価格設定モデルは、トランザクション処理をより細かく制御することを目的としており、ノード実装の改善に関する現在進行中の議論の一部でもある。

アーキテクチャーの更新によるモジュラー型ノード(Acropolis)

Cardanoノードアーキテクチャー更新プロジェクトは、ノードアーキテクチャーをAcropolis(古代ギリシャ語で「高い都市」を意味する)という名前のモジュラー型イベントベースモデルに移行する。この再設計は、アクセシビリティ、拡張性、スループットを向上させ、エコシステムの成長をサポートすることを目的としている。

モジュラー型ノード設計により、さまざまな言語で独立したコンポーネント開発が可能になる。これにより、新機能の追加が簡素化され、DAppとパートナーチェーンの統合が改善され、より柔軟でスケーラブルなデプロイオプションが提供される。

この更新により、より汎用性の高いコミュニティ主導のノードへの道が開かれる。

ステークプールインセンティブスキームの改訂 – エコシステム多様化の促進

小規模なステークプールオペレーター(SPO)、特にシングルプールは、多くの場合、大規模なマルチプールオペレーションとの競合に苦労する。これにより、多様性が減少し、CardanoエコシステムへのSPOの新規参入が難しくなる。

このプロジェクトでは、既存の提案を検討し、潜在的な改善を特定し、小規模なプールへのインセンティブの提供について調査する。コミュニティがステークプールの提供における多様性と健全な小規模プールの恩恵を受ける一方で、ステークプール自体はより公正で公平な舞台で勝負できる。

Hydraの開発 – Cardanoのレイヤー2スケーリングソリューション

Hydra Headプロトコルは、厳格なセキュリティを維持しながらトランザクションスループットを向上させてコスト効率を確保するという査読付き研究に基づいた、Cardanoのレイヤー2スケーリングソリューションだ。

Hydraは同型のマルチパーティステートチャネルを使用して、トランザクションとスマートコントラクトのカスタムパラメーターを持つオフチェーン台帳を有効にし、レイヤー1で効率的に決済する。Hydra Headは実質的に無制限のスケーリング可能性を提供し、料金や決済時間などの摩擦ポイントを削減し、アプリケーション固有のカスタマイズを可能にしながら、Cardanoのレイヤー1セキュリティの恩恵を受ける。

この提案は、メインネットでのHydra v1.0の完成、軽量ノードへの継続的な取り組み、Bitcoin Lightningとの相互運用性、およびCardanoのレイヤー2ステートチャネルソリューションの完全な監査をサポートすることを目的としている。

Mithrilの開発 – 安全な分散型ブロックチェーンデータアクセス

Cardanoブロックチェーンと安全に同期するには、多くの場合、フルノードを実行する必要がある。これはリソースを大量に消費し、アクセシビリティを制限して、ユーザーを中央集権型の仲介者へと追いやる可能性がある。Mithrilは、フルノードを同期する必要なく、ブロックチェーンデータへの安全な分散型アクセスに関する作業を進めている。

Mithrilは、フルノードアプリケーションのブートストラップと同期時間を高速化し、ライトクライアント(ウォレット、モバイルアプリ)に安全で効率的なアクセスを提供し、スケーリングソリューションをサポートするレイヤー2プロトコルを強化する。

Leios – ネットワークスループットを向上

Cardanoメインネットは大量のトランザクションに伴い輻輳が生じる可能性があり、新たなユースケースではさらに高いスループットが要求されるだろう。Leiosは、利用可能なリソースの使用を最適化し、トランザクション処理を効率化することで、ネットワークのスループットを向上させるように設計されている。LeiosはSPOがブロックのランク付けおよび承認を行う並列ブロックプロセスでブロック生成を最適化する。Leiosはメインネット上のトランザクションスループットを大幅に向上させること、すなわち成長するエコシステムと要求のさらに厳しいアプリケーションのサポート強化を目指している。

Plutus – スマートコントラクト機能の強化

PlutusはCardanoスマートコントラクトのバックボーンであり、オンチェーンの効率性と安全性を目的として構築されている。現在も進行中の開発により、新しい機能、最適化、開発者ツールが利用できるようになり、Cardanoの競争力、スケーラビリティ、堅牢性、そして実世界への適応性を維持している。

Plutusのロードマップは、新しいプリミティブ、言語拡張、開発者ツールの改良、パフォーマンスの向上など、Plutus CoreおよびPlinth(旧Plutus Tx)の強化に焦点を当て、低料金、幅広いユースケース、よりスムーズな開発者体験を実現する。これらの機能とアップグレードは、コントラクトの効率性と開発者エクスペリエンスの向上を意味し、より強力なPlutusスタックは、Cardanoの幅広い普及とイノベーションへの扉を開く。

スタティックアナライザー – スマートコントラクトのセキュリティ上の欠陥を検出

スマートコントラクトのバグや悪意のあるコードは、重大な経済的損失につながりかねない。従来のコードレビューは時間がかかり、深い専門知識が必要であり、それでもなお重要なセキュリティやパフォーマンスの問題を見逃す可能性がある。

この静的アナライザープロジェクトは、スマートコントラクトにおける一般的なセキュリティ上の欠陥とパフォーマンス上の問題の約80%を即座に検出することを目的とした、特別な専門知識を必要としないワンクリックツールをPlinthに提案している。このツールは、重大なバグを早期に検出することで大幅なコスト削減を実現し、コードレビューを合理化することで生産性を向上させ、脆弱性を自動的に特定することでコード品質を向上させることを目的としている。静的アナライザーは、ワンクリックでPlinthスマートコントラクトのエラーや非効率性を検出して報告し、開発者がコード品質とベストプラクティスを最適化できるようにする。

自動形式検証 – DAppの正確性を証明

この提案では、DAppがセキュリティ上の脆弱性を示さず、すべてのシナリオで想定どおりに動作することを証明するための自動形式検証ツールを導入するものだ。一般的なセキュリティ脆弱性やデッドロックがないことを示すプロパティを自動的に生成する可能性を提供する。特定のビジネスロジックでは、ユーザーはスマートコントラクトに求められる要件を書き込むだけでよい。このツールは、対象となるすべてのブロックチェーンイベントに対してDAppの正当性を自動で数学的に証明したり、要件違反や脆弱性の悪用につながるブロックチェーンイベントのセットを返す。2025年にはUntyped Plutus Core(UPLC)とPlinthを対象としていたが、このツールのコアは翻訳モジュールを追加するだけで他のスマートコントラクト言語にも対応できる。

このイニシアチブは、自動化されたセキュリティ検証を提供し、最高のコード品質を保証し、脆弱性を大幅に削減し、CardanoのDAppエコシステムへの信頼を大幅に高めることでユーザーと開発者に利益をもたらすことを目的としている。

プロパティベーステスト – スマートコントラクトの自動エッジケーステスト

スマートコントラクトには、隠れたバグ、特に見つけにくい「エッジケース」が潜んでいる可能性がある。現在、Cardanoエコシステムはスマートコントラクトの特定のプロパティベーステスト(PBT)ツールから恩恵を受けられる。これがないと、スマートコントラクトは検出されない問題や潜在的なセキュリティ欠陥にさらされ、重大なリスクをもたらすためだ。

そこで、Plinthスマートコントラクトに基づいたプロパティベーステストを実行するために設計されたPlinth PBTツールが提案されている。コントラクトの特定のプロパティをテストするための幅広いインプットとアクションを自動的に生成することで、コントラクトが想定どおりに動作することを保証する。

このツールは、開発者がエッジケースを特定し、仮定を検証し、コントラクトの堅牢性を向上させ、既知の脆弱性をチェックするのに役立つ。Plinth開発ワークフローにシームレスに統合することで、より厳格で自動化されたテストを可能にし、最終的にPlinthスクリプトの信頼性とセキュリティを強化する。ここから得られる利点は、コストのかかるバグやエクスプロイトを防止することで経済的損失を削減し、Cardanoスマートコントラクトへの信頼を築いて安心感を高め、コントラクトの堅牢性を高めることでコード品質を向上させることなどだ。PBTはCardanoのセキュリティインフラの重要なギャップを埋め、Plutus開発ワークフローにシームレスに統合される。

ネストされたトランザクション(Babelフィー)– ADA以外のトークンを使ったシームレスなトランザクション

ADAの非保有者は、トランザクション手数料の支払い、min-UTXO値やスクリプト担保の提供などが容易にできず、アクセシビリティが制限されるため、Cardanoとのインタラクションが妨げられている。Babelフィープロジェクトは、トランザクションのバッチ処理をサポートするように台帳設計を変更した「ネストされたトランザクション」を提案している。これにより、ユーザーは手数料やその他のADA指定要件にADA以外のトークンをシームレスに使用することができるようになる。この機能は、より多くのユーザーをCardanoに呼び寄せ、マルチユーザー、マルチUTXOアセットスワップをより安価かつ高速にし、ネットワーク上の任意のインテントサポートへ向けた一歩となる。Babelフィーは、さまざまなトークンを使ったCardanoとのインタラクション方法に革命をもたらす可能性を秘めている。

Ledger on disk – スケーラビリティのためにメモリー使用量を削減

Cardanoが成長するにつれて、ノードオペレーターが台帳ステータス全体をメモリーに保持することは持続不可能になる。Ledger on disk(ディスク上の台帳)プロジェクトはHaskellのコンセンサス層の設計を変更して、残りの台帳ステータスの大きなテーブル(報酬アカウントやステーク分布など)をディスクデータベースに移動させるものだ。ディスク上に台帳を実装することで、ノードのRAM要件が大幅に削減され、Cardano Haskellノードの実行が長期的に持続可能になる。これはLeiosのようなハイスループットソリューションにとって非常に重要だ。このプロジェクトはHaskellノードの長期的なスケーラビリティの鍵となる。

KESエージェント – Cardanoキーをよりスマートに保護する方法

Cardano Ouroboros Praosプロトコルは、鍵変化型署名(Key Evolving Signature:KES)鍵用に真の前方秘匿性を要求している。現在のディスクストレージは回復不能な削除を保証できないが、これは不可欠だ。なぜなら、KES鍵が安全に消去されていない場合、ロングレンジ攻撃によってブロック履歴を偽造するために使用される可能性があるからだ。KESエージェントは、KES鍵を管理するためのインメモリーソリューションを提供し、KES署名鍵がストレージに触れず、ローテーションのたびに安全に消去されることを保証し、Praosのコアセキュリティ設計を支える。

Identus – 自己主権型ID機能の強化

Cardanoエコシステム内で分散型識別子(DID)や検証済み認証情報(VC)などの自己主権型ID(SSI)機能を広く普及させるには、オフラインファーストアプローチを含む、堅牢でアクセシブルな標準化されたソリューションが必要である。Identusロードマップは、オフラインファーストソリューション、軽量インフラ、CardanoにおけるDIDとVCの普及を促進する教育など、SSI機能を強化する計画を実行している。

IdentusはCardanoプロジェクトに標準準拠のIDソリューションを提供し、相互運用性を可能にし、KYCコンプライアンスユースケースをサポートし、最終的にはより多くのユーザーを獲得する。IdentusプロジェクトはCardanoのデジタルIDを強化する。

まとめ

IOEが提案するロードマップの優先事項は、スケーラビリティ、ユーザビリティ、相互運用性へのコミットメントを強調するCardanoの進化の基礎となっている。これらのイニシアチブは、主要な技術的課題に対処し、開発者やユーザーエクスペリエンスを向上させることで、堅牢で安全でアクセスしやすいブロックチェーンプラットフォームとしてのCardanoの地位を確固たるものにすることを目的としている。

基本的なインフラの改善から高度なスマートコントラクトツールまでの継続的な開発努力は、コミュニティ主導の未来への包括的なビジョンを反映しており、エコシステム全体の大規模な参加とイノベーションを促進している。

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