ブログ > 2025 > January > Cardanoの次のステップとは

Cardanoの次のステップとは

Input | Outputが見るCardanoの次のステップ、今後の道筋形成におけるコミュニティインプットの重要性を強調

2025年 1月 29日 Mike Ward 15 分で読めます

Cardanoの次のステップとは

コミュニティ管理型ブロックチェーンプラットフォームとして進化したことにより、Cardanoは、今後より包括的で自律的なシステムを可能にするだろう。このマイルストンは、Byron(基盤)、Shelley(分散化)、Goguen(スマートコントラクト)、Basho(スケーリング)、Voltaire (分散型オンチェーンガバナンス)という、このプラットフォームの基盤を敷いた各開発期の集大成である。

2024年11月に撮影されたホワイトボード動画「After Voltaire, the next evolution of Cardano」で、Input | Output(IO)のCharles Hoskinson CEOは、次のステップについてのIOの見解を提示し、包括的なロードマップを形成するためのCardanoコミュニティの基本的なインプットの必要性を示した。

この新しいガバナンスの時代において、Cardanoのロードマップはコミュニティによって、コミュニティのために推進される。これを念頭に置いて、IOは開発の優先順位についての提案Intersectプロダクト委員会に評価とレビューを受けるべく提出した。Cardanoのロードマップに対するIOのビジョンは、スケーラビリティ、ユーザビリティとユーティリティ、相互運用性と拡張性という3つの柱に焦点を当てた、ブロックチェーン技術の未来に対する明確で野心的なビジョンを反映するものだ。

これらの柱は、拡大するユーザーベースから生じる技術的要求に対応する必要性に対処し、予想されるCardanoの成長と、分散型アプリケーション(DApp)、スマートコントラクト、クロスチェーンインタラクションをサポートする能力を支えている。これらの分野を発展させることで、Cardanoのインフラは分散型システムの拡大に対応し、透明なフレームワークを通じて信頼を可能にし、安全でスケーラブルかつサステナブルなブロックチェーンソリューションのための主要なプラットフォームとしての地位を固める。

スケーラビリティ

Cardanoは、分散性、手頃な価格、セキュリティを維持しながら、参入障壁を取り除くことにより、2030年までに数十億人規模のユーザーをサポートすることを目指している。高度なスケーリングソリューションの統合により、多面的なアプローチで大量のトランザクションを可能にし、スケーラビリティ目標を達成する。その際、次のようなテクノロジーを使用する。

  • レイヤー2 Hydraステートチャネル:Cardanoのスケーラビリティソリューション。オフチェーンステートチャネルを活用して、メインネットのセキュリティを維持しながら高速かつ低コストのトランザクションを可能にする。Hydraのモジュール設計は、テールプロトコルやクロスヘッド&テール通信の開発を含む将来のスケーラビリティの向上を可能にする。これらのイノベーションは、エンドユーザーのアクセスを強化し、効率的なオフチェーンインタラクションをサポートし、包括的なスケーラビリティアーキテクチャーを形成する。
  • レイヤー2ロールアップ(ゼロ知識(ZK)、オプティミスティック):ロールアップは複数のトランザクションを1つのバッチに集約して検証し、セキュリティを維持しながらネットワーク負荷を軽減する。Cardanoは、暗号プリミティブにPlutusV3の進歩を活用して、オンチェーン紛争解決に依存するオプティミスティックロールアップと、即時ファイナリティのための暗号証明を提供するZKロールアップをサポートすることを目指している。
  • Ouroboros LeiosおよびPeras:LEIOSは、並列ブロック生成による高速トランザクション処理を可能にするために設計された次世代コンセンサスプロトコルであり、セキュリティを損なうことなくスケーラビリティに対処する。Perasはファイナリティの所要時間を12時間から2分に短縮し、決済と相互運用性を向上させることでLeiosを補完している。
  • Mithril証明書:Mithrilの軽量な暗号プロトコルにより、ノードやライトクライアントはフルノードを実行せずにデータの検証や交換を行うことができる。証明書は高速ノードブートストラップをサポートし、Hydraのようなレイヤー2ソリューションを補完し、分散型データサービスと将来のZK証明統合の基盤を築く。
  • データAPIサービス:開発者がフルノードを実行せずにブロックチェーンデータにアクセスし、トランザクションを送信できるようにする。Cardanoのアプローチは分散化を重視しており、ステークプールオペレーター(SPO)とデスクトップクライアントが分散データプロバイダーとして機能できるようにする計画であり、中央集権的なオペレーターへの依存を軽減する。
  • ローカルノードサービスとDaedalus :Daedalusの代替品として予定されている進行中の新しいローカルノードサービスは、Cardanoブロックチェーンへ直接トラストレスなアクセスを望むユーザーに軽量のフルノードエクスペリエンスを提供する。このサービスは、データAPIサービスを利用する既存ウォレットとの分散化や互換性をサポートしながら、ストレージ要件を最小限に抑えることができる。
  • Catalyst投票プラットフォーム:CatalystはCardanoプロジェクトの分散型資金調達をサポートしており、2,000以上のイニシアチブに1億2500万ドル以上が割り当てられている。今後の機能強化には、Web2ツールを提案管理のための分散型システムに置き換え、プライバシー保護投票、コンプライアンスの改善、液体民主主義などの機能を導入することが含まれる。
  • コアノードの改良:Cardanoのコアノードへのアップグレード案には、LSMツリーの採用、ステークプールインセンティブスキームの改訂、性能維持対策の実装、段階的価格設定の導入が含まれる。これらの変更により、ノードの安定性が向上し、コストが削減され、スケーラビリティが向上する。

Cardanoの多層スケーラビリティ戦略は、ゲームやマイクロペイメントなど高スループットアプリケーションと、グローバルモバイルネットワークを含む分散型物理インフラネットワーク(DePIN)のような大規模インフラプロジェクトの両方をサポートする。Cardanoは、スケーラビリティと並行して分散化を優先することで、ネットワークの整合性を維持し、多様化し続けるユーザーベースのアクセシビリティを確保する。

ユーザビリティとユーティリティ

ブロックチェーン技術の普及を促進するためには、日常的に利用できるようにすることが不可欠である。Cardanoは分散化をコア原則として掲げ、この基本的な価値を損なうことなくユーザビリティの課題に対処している。これは、業界で他者が集中化に焦点を当てているのとはまったく対照的である。

このビジョンを達成するには、IDプライバシーコンプライアンスという主要機能に対するネイティブサポートが必要である。IDフレームワークにより、信頼できるトランザクション、ガバナンス、規制との整合が実現できる。プライバシーは、ユーザーコントロールと透明性のバランスをとる必要がある。また、断片化された規制の枠組みをブロックチェーンシステムに統合することは、分散化を損なうことなく対処しなければならない課題を提示する。

ユーザビリティとユーティリティの柱を支える主な取り組みは次のとおりである。

  • 開発者の生産性の向上:Cardanoは複数のプログラミング言語をサポートしており、静的アナライザー、形式的検証手法、効率的なコントラクト開発と検証のためのコンテナベースの開発環境などのツールに重点を置いている。今後の取り組みには、Plinth(旧PlutusTx)、Plutus High Assurance、Aiken、plu-tsの開発が含まれ、さまざまなスキルレベルにわたる開発者体験を強化する。
  • Hyperledger Identus:Identusは分散型ID管理とクレデンシャルシステムを統合し、ユーザーが個人情報をコントロールできるようにする。Laceウォレットと組み合わせることで、Identusは規制要件と、クレームと資格情報を使用したシームレスなユーザーインタラクションをサポートし、将来の分散型IDのユースケースの土台を築くことができる。
  • Midnight:Cardanoの最初のパートナーチェーンであるMidnightは、ZK証明を使用したデータ保護スマートコントラクトを導入した。CardanoのSPOがネットワークを保守する傍ら、パブリックおよびプライベートデータフィールドを管理するためのコンパクトなTypeScript構文で開発者をサポートする。Midnightはブロックチェーンエコシステム全体でプライバシーとスケーラビリティを強化する準備ができている。
  • Babelフィーによるトランザクションの簡素化:Babelフィーの導入により、ユーザーは任意のトークンを使用してトランザクションコストを支払うことができるようになり、ADAへの依存が解消される。この機能は、ネイティブトークンでのシームレスなトランザクション決済を可能にすることで、Midnightなどのネットワークをまたぐ統合をサポートし、すべてのユーザーにとってブロックチェーンのインタラクションが容易になる。

Cardanoのユーザビリティとユーティリティへのコミットメントによって、優れたユーザーエクスペリエンスが育まれつつ、開発者が革新的なクロスチェーンアプリケーションと高保証のスマートコントラクトを構築することを可能にする、堅牢でアクセス可能なプラットフォームが保証される。

相互運用性と拡張性

Cardanoの機能を拡張することで、相互運用性の潜在能力を引き出すことができる。従来のブリッジは、攻撃やラップドトークンなどのセキュリティ上の課題に直面している。そのため、相互運用性には、現行のブリッジが提供するもの以上のものが必要である。現在、Cardanoはブロックチェーン間通信プロトコル(IBC)やその他のブリッジの開発において大きく前進している。さらに、セキュリティ課題に対処するために、パートナーチェーンフレームワークは、マルチリソースコンセンサス、サービスレイヤー、ハイブリッドDAppなどの革新的なアプローチを提供することを目的としている。

このビジョンを実現するためには、迅速な開発、代替クライアント、決済層としてのCardanoの役割をサポートするための柔軟なノードアーキテクチャーが必要である。目標はビットコインとのシームレスな統合だ。これでCardanoのスマートコントラクトの価値を高め、ビットコインの1兆7000億ドル価値と繋がる。

この3本目の柱には、以下の取り組みが求められる。

  • Cardano - マイクロサービスを使用した階層化ノードアーキテクチャー:Cardanoは、多言語化されたマイクロサービスベースのアーキテクチャーを採用してスケーラビリティ、柔軟性、開発者のアクセシビリティを向上させ、既存のコードとの互換性を維持しながら、新機能の迅速な開発と統合を可能にする。このアプローチは、複数のプログラミング言語とモジュールコンポーネントをサポートし、Cardanoの効率的な拡張能力を強化する。
  • パートナーチェーン - MinotaurによるマルチリソースリソースコンセンサスMinotaurは、セキュリティとシームレスな統合を強化するためにさまざまなリソースを活用して、Cardanoと他のネットワーク間のトラストレスな相互運用性を可能にする新しいコンセンサスメカニズムである。この技術はローカルバリデーターへの段階的な移行をサポートし、イーサリアムなど他のネットワークとのトラストレスな相互運用性を可能にする。
  • パートナーチェーン - サービスレイヤーによる拡張性:パートナーチェーンは、分散型サービスレイヤーを介したブロックチェーンネットワーク同士のインタラクションを可能にし、トークンブリッジを必要とせずにチェーン間のトランザクションを可能にする。これにより相互運用性が向上し、データ保護サービスを提供するMidnightが実証したように、分散性を維持しながらネットワークが他のネットワークにサービスを提供できるようになる。
  • パートナーチェーン - ハイブリッドDAppによるクロスチェーントランザクション:ハイブリッドDAppを使うと、ユーザーは、ブリッジに開発者の関与を必要とせずに、複雑でトラストレスなマルチチェーントランザクションを作成できるようになる。これらのDAppはMinotaurと閾値シグネチャーを活用して、アトミックなクロスチェーントランザクションを保証し、ユーザーが複数のブロックチェーンとシームレスにやり取りできるようにする。
  • ビットコインのスマートコントラクトレイヤーとしてのCardano:CardanoはビットコインのスマートコントラクトおよびDeFiレイヤーとなるポテンシャルがあり、両方のネットワークを統合して新しい機能と流動性を解放できる。2025年の計画には、マージドマイニングの評価、ビットコインユーザーがCardano上でDeFiとやり取りし、Midnightを使用してプライベートトランザクションを実行できるようにすることなどがある。

意思決定が分散化された時代において、コミュニティの集合的なインプットとエコシステム全体にちらばる開発者の専門知識が、Cardanoの将来の方向性を形作る。IOが見るCardanoロードマップは、スケーラビリティ、ユーザーアクセシビリティ、シームレスな相互運用性を優先して、ブロックチェーンイノベーションへの大胆で先進的なアプローチを強調している。Cardanoは、これらの重要な分野の進歩を促進することで、洗練された分散型アプリケーションの強固な基盤の構築を続け、さまざまなブロックチェーンネットワーク同士の安全なインタラクションを可能にし、多くのセクターでの普及を促進することができる。

IOのロードマップ案全文はこちら。また、Cardanoフォーラムの議論への参加も可能。