Input Output Global(IOG)とMLabs Ltd.(MLabs)はHydraプロトコルを使用したオークションのリファレンス実装を共同開発しています。この提携の最初の実績が、Hydra Headプロトコルを使用したデジタル資産オークションの実装において可能性のあるアプローチの概要を、それぞれの優位性と現在の限界とともに述べた論文です。本稿では、論文で詳説されているこのテーマについて、概要を簡単に紹介します。
この提携の目的は、オークションアプリケーションを開発するために現行のHydra Headプロトコルの実装が実現可能であることを示すことです。提案されたリファレンス実装はまた、Hydra Headプロトコルの設計を、Cardanoエコシステムの具体的なユースケースに合わせて建設的に決定します。
オークションという用語
分散型オークションは買い手と売り手の取引きを実行するためにスマートコントラクトを使用します。
ブロックチェーンオークションのメリットには以下が含まれます。
Cardanoでオークションを実行する
Hydra Headプロトコルは、Cardanoのレイヤー2スケーラビリティソリューションです。プロトコルはスマートコントラクトとソフトウェアで構成されており、あらゆる参加者グループが互いに同型的マルチパーティステートチャネル(Hydra Heads)スマートコントラクトを確立できます。
Hydra HeadチャネルはCardanoでオークションを実行するのに適しています。これは、レイヤー2ソリューションが以下の点からより優れた機能を提供するためです。
Hydra Headオークションの設計
Headプロトコルを使用して、Cardanoはさまざまなタイプのオークションを実行できます。単一Headのオークション設計は、基本的な単一Headのオークション、単一Headのシークレットオークション、委任型カストディアルオークション、バウチャーオークション、委任型バウチャーオークションをカバーできます。Hydra Headネットワークでのオークション設計は、星型オークションまたは星座スキーマオークションといったケースをカバーできます。
Hydra Headプロトコルを使用したオークションのリファレンス実装のために、チームは、主要な英国スタイルオークションの機能を含む委任型バウチャーオークション設計を選びました。
ベネフィットと限界を含む可能なオプションの詳細分析は、下記リンクの論文を参照してください。
オークションの初期設計は、以下の機能を提供することを目的としています。
- 代表者グループは、売り手が提供するNFT資産のオークションをホストできるHydra Headを開くことができる
- 売り手は、オークション用にスマートコントラクトに保証金をロックした入札者に、オークションへの参加権を配布することができる(参加トークンを使用するなど)
- 各入札者は、代表者の1人に送信することによってオークションへの入札を行うことができ、代表者は残りの代表者にこれを通知する
- 代表者は、Hydra Headプロトコル経由でマルチシグにより入札をまとめて承認することができることから、Hydra Head台帳ステータスには入札が含まれる
- オークションが締め切られると、代表者はHydra Head内で決定論的に入札を決済して落札価格を決定できる
代表者は次の場合にHydra Headを終了できる
- オークションが決済されると、落札者にバウチャーを発行することができる。これにより、落札者は売り手のNFT資産を落札価格で引き換えることができる
- オークションが決済されない場合、入札はレイヤー1で決済され落札価格が決定される。その後落札者にバウチャーを発行することができるようになる
負けた入札者は、オークションのHydra Headが終了してオークションが決済されると、保証金を回収できる
- 落札者は、NFT資産の売り手に対する支払いの一部として、保証金を使用することができる
- 落札者にバウチャーが発行されると、売り手のNFT資産の引き換え期間が設けられる。落札者が引き換え期間内に売り手のNFT資産を引き換えない場合、売り手は落札者の保証金を要求できる
- バウチャーUTXOは落札者が売り手のNFTと引き換える場合、または、引き換え期間を過ぎて売り手が落札者の保証金を要求する場合にのみ使用できる
論文
詳細に関心がある場合は、論文「Hydraを使用したオークションプロジェクトの実装」を参照してください。
論文では以下を省察しています。
- Cardanoエコシステムにおけるデジタル資産オークション(NFTマーケットプレイスなど)を実行するプロジェクトの現在のニーズと、Cardanoレイヤー1チェーンで直面する課題
- 課題と要件の分析は、Hydraを使用してデジタル資産オークション実行するために可能なオークション設計と、活性、分散化、セキュリティ、効率に関するそれぞれの影響を示唆
- 現在の機能に基づいて提案されたHydra Headオークション設計の実装
- 現在のHydra Headプロトコルの改善案とHydraプロトコルファミリーに提案された拡張により、デジタル資産オークションの実行にもたらされる利益
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