相互運用性はブロックチェーンの成長の鍵
ブリッジ、サイドチェーン、AGIX ERC20コンバーターが、Cardanoのクロスチェーン開発のソリューションを提供
2022年 4月 28日 13 分で読めます
Cardanoは、開発者やブロックチェーンファンの幅広いコミュニティを堅実に拡大しています。Cardanoブロックチェーンの詳細を見ると、Cardanoには現時点で450万を超えるネイティブトークン、5000を超えるNFTプロジェクト、全体で900を超えるプロジェクトが現時点で構築されています。
この成長を支えるために、コミュニティは現在Cardanoのより幅広い普及に取り組んでいます。他のブロックチェーンとも機能する能力、いわゆる相互運用性がこのカギとなります。
Input Output Global(IOG)は、ブロックチェーンブリッジ、サイドチェーン、そしてAGIX ERC20コンバーターに注目しています。スケーラビリティ、テクノロジーの適用、使いやすさを向上させるために、ブロックチェーン間の通信を可能にする核となる機能が存在します。
相互運用性
現在、ビットコイン、イーサリアム、Algorand、Solanaなど、数多くのブロックチェーンが存在しています。これらはさまざまなプログラミング言語を使用し、独自のシステムおよびルールを備えています。相互運用性とは、異なるブロックチェーンネットワークを接続して、互いにデータを交換、活用し、固有のタイプのデジタル資産を移転する機能です。
ブロックチェーンに保有される価値は飛躍的に増加しています。しかしながら、業界を進化させるには、各ネットワークが「サイロ」にこもって自分のエコシステムでのみ機能しているわけにはいきません。トランザクション量が増加するつれて、ユーザーはネットワークを切り替えることが多くなります。これは、各ブロックチェーンが、別のチェーンが処理できない特定のタスクを処理できるためです。ネットワークを切り替える理由として、手数料、トランザクションの処理速度、セキュリティ、インセンティブなども挙げられます。
相互運用性はブロックチェーン技術の成功に欠かせないプロパティです。ユーザーには、特定のネットワークに制限されることなく、お互いに取引できる機能が必要です。開発者は、多くのブロックチェーンに対応するスマートコントラクトを作成できなければなりません。もちろん、ユーザーはすべてのタイプのトークンを制限なしに取引できるべきです。
サイドチェーンとブロックチェーンブリッジは、ユーザーが複数のブロックチェーンにわたって、互いに同時にやり取りできるようにすることによって相互運用性を実現する2つの技術です。
ブロックチェーンブリッジ
2017年、Charles HoskinsonはCardanoホワイトボードプレゼンテーションでこう述べています。
相互運用性のアイデアは、1つのトークンがすべてを統べることはないということだ。
ブロックチェーンブリッジは、あるブロックチェーンでネイティブのトークンを、異なるブロックチェーンでも使用できるようにします。ブリッジにより、トークンはあるブロックチェーンから別のブロックチェーンに移動させることができるようになります。移動先では、トークンを支払いや分散型アプリケーションとのやり取りに使用できます。
ブロックチェーンブリッジには3タイプあります。
- 集中型:ブリッジはブリッジの全操作を検証する単一の関係者(企業など)により所有および完全管理されている。
- 許可型(連合型):複数の関係者により操作され分散化が進んでいる。ただし、バリデーターとなる個人や組織は、ブリッジ操作の検証を支えるノードをセットアップおよび実行するために、ブリッジを維持する連合からの許可と必要とする。
- パーミッションレス(トラストレス):完全に分散型システムのごとく機能する。誰もがブリッジ操作の有効性維持に参加できる。
一般に、ブリッジオペレーターはネットワークバリデーターとして機能します。オペレーターは、移行中のトークンを受け入れ、特別なスマートコントラクトに保存します。オペレーターは次に、スマートコントラクトを使ってもう1つのネットワークで同量のトークンを発行できます。ブリッジによって1方向にしかトークンを動かせないものや、双方向の移行が可能なものがあります。たとえば、1方向のブリッジは、CardanoのDAppでトークンを使用するためにイーサリアムからCardanoへ移動させることができます。ブリッジが双方向であれば、Cardanoからイーサリアムにトークンを戻すことも可能になります。ブリッジのメカニズムは、ネットワークで使用されるスマートコントラクトのタイプによります。
AGIX ERC20コンバーターとは
IOGとSingularityNETは協力してCardanoの普及を促進させるソリューションの構築というミッションに着手しました。イーサリアムの開発者向けにブリッジを作成し、Cardanoネットワーク固有の利点を活用できるようにするもので、これには予測可能性およびコスト効率がより高い方法によるアプリケーションのホストも含まれます。
SingularityNETは先般メインネットにAGIX-ERC20コンバーターを立ち上げました。このブリッジは集中型です。すなわち、操作の検証およびトークン移行の成功は、SingularityNETが独占的に管理しています。
SingularityNETはAGIX-ERC20コンバーターを独立してサポートできるようになりましたが、IOGは他のソリューションの可能性を模索し続けています。これにより、Cardanoエコシステムの選択の幅が一層広がります。開発者は特定のニーズに沿ったツールを選択することができるようになります。IOGのコマーシャルチームは、将来のコンバーター(またはその他イニシアチブ全般)の共同開発に関心のある開発者、DApp、エンタープライズの窓口にもなります。お問い合わせフォームからご連絡ください。
サイドチェーン
次に、サイドチェーンについてみていきましょう。サイドチェーンの主なメリットはメインネットの安全性を損なうことなく、ネットワークに新機能を導入できる点です。サイドチェーンはブロックチェーンのスケーラビリティを拡張します。これは、メインチェーンから複雑なロジックを処理する負担を肩代わりして、トランザクション処理速度を上げる(そしてコストを下げる)ためです。サイドチェーンは、メインチェーンと追加的チェーンの間でトークンを移動するための双方向メカニズムとしても機能でき、ブロックチェーンの相互運用性を大幅に増加させます。
簡単に言えば、サイドチェーンはメインネットに接続された独立したブロックチェーンです。メインネットは親ブロックチェーンとして機能しますが、サイドチェーンは独立した台帳であるためチェーン、トラフィック全体から影響を受けることはありません。組織は独自のサイドチェーンをセットアップして、トランザクションの処理、スマートコントラクトの実行、トークンの移動を高速化できます。こうした操作は効率が上がるだけでなく、メインチェーンよりもコストがかからず、全員の利益になります。
サイドチェーンは、台帳モデルやコンセンサスメカニズムなど、親チェーンの特徴を一部(または全部)受け継ぐことができますが、組織の目的に応じて、異なるモデルを適用させることも可能です。たとえば、サイドチェーンはさまざまなセキュリティプロトコル、コンセンサスアルゴリズム、ガバナンスモデルを組み合わせて、他のネットワークと相互運用可能な新しいサイドチェーンを作成することができます。
Cardanoのサイドチェーン
Cardanoをサイドチェーンに追加することによって、開発者はイーサリアムでSolidity言語を使用する機会を作り出すことが可能になります。たとえば、EVM(Ethereum Virtual Machine)を使って、開発者はCardanoにDAppを簡単に構築できます。
Milkomedaは、最近Cardanoをサポートするために立ち上げられた、サイドチェーンプロトコルです。Cardanoのメインチェーンに接続されたMilkomeda C1サイドチェーンで、EVM対応スマートコントラクトの実行を可能にします。現在、MilkomedaはCardanoのセキュリティモデルを使用していませんが、最高レベルのセキュリティを確保する対策がとられています。Milkomedaは、イーサリアムから既存のプロジェクトを移植できるようにすることで、幅広いDAppセレクションを提供します。また、ゼロ照明技術における最新イノベーションを、そのプロトコル上にL3+ソリューションとして実装することを可能にします。さらに、MilkomedaはCardanoとSolanaなど他ブロックチェーンとの間に、2022年末までに相互運用性の提供を目指しています。
今週、Wanchainは、Cardanoと他のレイヤー1ブロックチェーンを接続する、ノンカストディアル型で双方向の新しい分散型クロスチェーンブリッジを発表しました。Wanchainはサステナブルなレイヤー1プルーフオブステーク(PoS)ブロックチェーンであると同時に、分散型の相互運用性ソリューションです。Wanchainレイヤー1 PoSブロックチェーンは、業界標準のイーサリアムツール、DApp、プロトコルで機能する、完全なイーサリアム型環境です。重要な点は、いくつかのCardanoとの共通点です。Wanchainは、GalaxyコンセンサスというPoSコンセンサスアルゴリズムを使用します。これは、分散型秘密共有や閾値署名など、ランダムナンバー生成やブロック生成メカニズムを向上させるためのさまざまな暗号スキームを活用しています。世界レベルの研究者や学者が開発したGalaxyコンセンサスは、Cardano独自のOuroborosの延長線上にあります。
SingularityNETのCEO、Ben Goertzel博士も、先ごろHyperCycleサイドチェーンを導入する先駆的なAIプロジェクトについて発表しました。これは、軽量なレイヤー2アーキテクチャーとしてデザインされており、マイクロサービスの低額、高速、大規模なオンチェーンでの実行を可能にします。このプロジェクトは、AI関連処理の最適化を主眼に設計されましたが、AIに限られず、効率的でスケーラブルなサイドチェーンソリューションを必要とする多くの分野で深い意味を持ちます。
Orbisは開発中の追加的スケーラビリティソリューションです。ZK(ゼロ証明)ロールアップレイヤー2プロトコルとして機能し、計算をオフチェーンに移してCardanoのスループットをスケーリングします。一方Fourierプロトコルは、Cardanoの相互運用可能なEVM対応ソリューションとして、CardanoエコシステムへのEVMベースのプロジェクト移植を加速させ、相互運用可能なスケーリングソリューションが欠如したPlutusベースのアプリケーションの普及を促進するために設計されました。
最後になりましたが、IOGは今年新たにパーミッションレスEVMサイドチェーンのリリースを予定しています。このサイドチェーンにより、開発者はCardanoの数多くのベネフィットを得ながら、CardanoでSolidityによるスマートコントラクト、EVM対応DApp、ERC20対応トークン(そしてやがては独自のサイドチェーン)を作成できるようになります。すなわち、ユーザーは、はるかに低額、高速の決済、環境面でより持続可能なブロックチェーンの恩恵を受けることができます。EVMサイドチェーンの主要機能は、イーサリアムのアップグレードやツールとの完全な互換性、Web3ウォレット対応、プルーフオブステークOuroboros BFTコンセンサスプロトコルの使用、そしてもちろん、Cardanoメインチェーンからセキュリティを受け継ぐことができることです。
4月のCardano360ショーには、Milkomeda、Wanchain、Orbisそして、IOGのEVMサイドチェーンチームが登場します。どうぞご参加ください。
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