DiFiを利用するときには、自分で調査をすることが大事
#Cardanoエコシステムが急成長する中で高まる、プロジェクト参加事前調査の重要性。エキサイティングな時だからこそ、慎重に行動したい
2021年 12月 9日 18 分で読めます
Cardanoに分散型アプリケーション(DApp)が登場しています。興奮が伝わってきます。しかし、エコシステムがギアを上げるに伴い、この旅の新たなステージに興奮しながらも、少し冷静になって慎重に行動する必要があります。
Cardanoはオープンな、パーミッションレスのブロックチェーンです。ここには、所有権やそれに伴う責任を行使するような、中心となる企業やその他の母体は存在しません。誰もがこのプラットフォームを構築し、コミュニティにかかわることができます。これは、Cardanoの持つ強大なパワーの1つです。しかし、誰もがDAppを構築できるからこそ、ユーザーは思慮深くなれければなりません。よく言われるように、「自分で調査する」事が大事です。
調査とは、単に検索結果をスクロールしたり、自分の好きなユーチューバーがムーンショットやチャートパターンについて話しているのを観たりするだけではありません。独自のデューデリジェンスを行い、適切なコミュニティの声から信号を受け取る(ノイズを和らげる)ことで、出現した風景をうまくナビゲートする最高のチャンスを自分に与えることができます。それとともに、安全で健全なエコシステムの成長に役立つことができます。
警戒すべきことの例
ほかのチェーンでは、すでに悪いことが起こっています。
- 2021年12月3日、Cryptocurrency NewsはBadger DAOのハッキングによって1億2000万米ドルが失われたと報じています(日本語の類似記事はhttps://nextmoney.jp/?p=46471など)。
- 2021年11月30日、Crypto Briefingは、ユーザーが3100万米ドル相当のイーサリアムおよびPolygonを失ったと報じています(日本語の類似記事はhttps://nextmoney.jp/?p=46373)。
- 2021年11月19日、Ellipticによると、2021年のこの時点までに100億米ドル以上が詐欺や盗難被害にあったと、CNBCが報じています。Ellipticのオリジナルレポートのダウンロードも可能です。
- 2021年11月3日、Business Insider Indiaは、DeFiのハッキングで14億米ドルが失われ、約半分が回収されたと報じています。
- 詐欺のケースは英国でも発生しています。2021年10月18日、Coindeskは、ロンドン市警によると、2021年はじめの10か月間で1億4600万英ポンドが詐欺被害で失われたと報じています。
そして最後に、SolanaBankBoxプロジェクトは良いものに聞こえました - そうでなくなるまでは。
このリストを公開することで、批判をしようとか優位に立とうとか思っているわけではありません。思いあがる余地はありません。現実の人々が現実の資産を失ったのです。このような事件に対し、「自分には起こらない」などと傲慢に構えるのではなく、共感を持ち、厳しい教訓として受け止めるべきです。コアプラットフォームにどれほどの厳密さを用いようと、Cardanoにも問題は起こるからです。しかし、いざ事が起こった時には、コミュニティとして一丸となり、可能性とダメージを最小限に抑える方法を探すべきです。
コアプラットフォームのレベルでは、セキュリティに関して極めて厳格に取り組んできました。Cardanoのコアプラットフォームは、最も厳格な基準に基づいて構築されています。Cardanoの設計は、査読済みの学術研究に基づいています。そして、形式手法を用いて、高保証のソフトウェアを作成しています。この結果として、Cardanoは回復力のあるスケーラブルなプラットフォームを提供しています。このプラットフォームには、テストネットを含む開発およびテストツール一式が追加されています。ツールセットの一環として、熟練したソフトウェアエンジニアによるフォーマル検証に適したプログラミング言語をサポートしています。
一方、教育およびサポートプログラムにより、コミュニティ全体のスキルを高めています。新規のCardano DApp開発者と話すたびに(すでに数十人と話していますが)、作成するすべてのDAppに独立した外部監査を依頼するように強く勧めています。今後、Plutus dAppStoreでDAppが3つのレベルの認定を利用できるようになります。認証は強く推奨されますが、分散型プラットフォームにおいて強制されることはありません。
それでも、分散型は野放図な環境を受け入れるべきだということにはなりません。もっとも高潔な意図があったとしても、設計に欠陥やバグがあったり、開発者の経験不足のためにサポートが不十分なDAppは出てくるでしょう。こうした問題により、低品質のDAppはハッキングの的になりやすくなります。明らかに詐欺やラグプルを行うDAppすら出てくるでしょう。残念ながら、これはある程度避けられません。そしてもちろん、私たちを中傷しようとする人々はこの問題を取り上げ、話を増幅させてコミュニティにダメージを与えようとするでしょう。
自分のアプリケーションが正しい結果を生み出すことを保証することは、DApp開発者各自の責任です。一方、コミュニティの責任あるメンバーは、独自に調査を行い、他者の教育に協力するべきです。結局のところ、悪質なアクターから身を守ることは、各ユーザーにかかっています。だからこそ、懐疑的なまでの好奇心を持ちましょう。質問をして、額面通りに受け取るのはやめましょう。同時に、詐欺を指摘する場合も慎重に。恐怖や不安、疑念があふれている中に、不用意にノイズを増やすべきではありません。多くの人が、子供の頃にオオカミ少年の寓話を聞いたことがあるでしょう。
そこでここでは、Cardanoコミュニティの協力を得ていくつかのヒントを紹介します。
事実確認のためのチェックリスト
開発者はだれか
自分の製品に誇りを持っている開発者はコンタクトが取りやすく、質問への返信もすぐにあるでしょう。 プロジェクトのウェブサイトもあるはずです。暗号資産界では匿名や偽名がよく使われますが、金銭が絡む場合は開発者を追跡できるとわかっていることが重要です。開発者が匿名である場合、あなたの資産を持って逃げることははるかに簡単です。完全に晒されていたとしても、これがその開発者の初プロジェクトでしょうか。評判の良い開発者やコードショップは失うものも大きいですが、経験の浅い開発者は、特に公開を急いでいる場合にミスを起こしやすく、近道に走りやすいものです。
プロジェクトのビジョンは何か
プロジェクトの価値とアクションが自分の価値観と一致しているかをよく確かめましょう。分散化、理想、情熱、目的に注目してください。
FOMO(取り残されることへの恐れ)は敵
今現在素晴らしいアプリケーションは、来週も来月も素晴らしいアプリケーションであり続けます。開発者が取り残されることへの恐れを煽ってくるなら、それは大きな赤信号です。 デューデリジェンスには時間がかかります。慎重になりましょう。
本当に、本当にいいものですか
昔からよく言われることですが、本当の話にしてはうますぎる、という場合は、恐らくそうなのです。プロジェクトが提供するステーキング報酬が通常よりも高い場合は、警戒度も高めて徹底的に調査する必要があります。
有名人の推奨
推奨は購入することができ、パンプ&ダンプやラグプルに欠かせない要素となります。 個人投資家は、自分の持っているトークンが突然無価値になって初めてダンプやラグプルに気が付くものです。 ユーチューバーに信頼を置くことをせず、自分の信頼するユーチューバーでも注意しましょう。
製品はオープンソースですか
信頼できるDAppが必ずしもオープンソースである必要はありません。しかし、製品がオープンソースだと謳っているときは、確認しましょう。たとえば、GitHubリポジトリはアクセス可能でアクティブなはずです。 また、GitHubに登録されている人の名前は、プロジェクトのウェブサイトに登録されている名前と少なくとも一部でも一致しているべきです。
プロジェクトのドキュメント
ホワイトペーパー、ライトペーパー、その他の設計に関する文書がある場合もあります。
事実確認を徹底的に行いましょう。出典を確認し、著者を調べ、内容が信頼に足ること、剽窃ではないことを確かめます。校正が不十分である、コンテンツが欠落している、レファレンスのリンクが切れている場合などは、すべて懸念を持つべきです。ホワイトペーパーが「有料出版」サイトにある場合は、これも考慮します。
トークンの配布
プロジェクトがトークン絡みである場合、チェーン分析ツールを使ってトークン所有が集中していないかをチェックします。たとえば、プロジェクトのトークンが一握りのウォレットに割り当てられていたら、懸念が生じます。
新規プロジェクトですか、別のチェーンから移植されたものですか
過去に存在していたものである場合は、当時の評判もチェックしましょう。Cardanoプラットフォームを最大限に活用するには、やはり優秀な開発者が必要です。
新規のプロジェクトの場合は、どれほど新しいものなのでしょうか。参加者は、暗号資産界の経験者でしょうか。
開発者はソーシャルメディアを活用していますか
ユーザーとレビュワーのアクティブなコミュニティがあるか探してみましょう。 プロジェクトに関してどれくらい新しい投稿があるかに注目します。 数回しかツイートしていない新しいアカウントには注意しましょう。 フォロワーの数も確認します。実際のフォロワーかフェイクかを確認するために、Sparktoroなどのツールを使うという方法もあります。
どれほどのテストが実施されていますか
優秀なプロジェクトは、メインネットでの公開前に、テストネットでアクティブであり、ソーシャルチャネルでコメントを提供していることが期待されます。SundaeSwapやAdahandleなどのプロジェクトで現在行われている活動はその好例です。ソーシャルメディアを通じてテストネットでの公開を宣伝し、エンドユーザーがテストして理解できるようにしています。私たちは、今後数週間、数か月にわたり、さらに多くのプロジェクトをサポートすることを楽しみにしています。
外部監査は実施されていますか
開発者から独立した、評価の高い組織を探しましょう。役に立つ組織については下記を参照してください。
自分の要件に照らした製品レビュー
どんなに良い製品でも、自分に向いたものでなければなりません。ADA報酬の獲得やトレードに注目しているなら、失ってかまわないと思える以上のリスクは冒さない、ということを肝に銘じておいてください。
役に立つ組織
外部組織は、DApp開発者についての詳細情報を得るのに役立ちます。また、DApp開発者は外部企業に開発プロセスの支援を求めることができます。
開発者の詳細情報
- BinanceのProject Reportsページを確認してみましょう。ここでは暗号資産のトッププロジェクトを網羅し、公平な情報を提供することを目的としています。
- Messariサイトは組織や個人向けの調査レポートを提供しています。
- Crunchbaseは組織や個人に関するデータを提供しています。無料体験付きの有料サービスです。
- PitchBookは金融データおよびソフトウェア企業です。こちらにも無料体験のオプションがあります。
- LinkedInで個人や企業のプロファイルを検索してみましょう。
- BetterWhoisなどのレジストリサービスを使用して、ウェブサイトの作成時期や背後にいる人物の基本情報を調べることができます。
DApp開発支援企業
- QuviQは、プロパティベースのテストを専門とするスイス企業です。
- Runtime Verificationはセキュリティ監査を行います。IO Globalとは多くの仕事をしています。
- イェール大学とコロンビア大学の研究者が2018年に設立したCertikは、ブロックチェーンセキュリティの草分けです。Certikはクラス最高のAI技術を使って、ブロックチェーンプロトコルとスマートコントラクトのセキュリティと監視を行っています。
- Tweagは、技術系のスタートアップ企業がエンジニアリングパフォーマンスを向上させ、ハイリスク、ハイリターンのプロジェクトを実行する支援をする、ソフトウェアイノベーションラボです。Cardanoとの共同作業で多くの読者に親しまれることになるでしょう。
- Well-TypedはHaskell専門のコンサルタント企業です。彼らも、Cardanoとの共同作業で多くの読者に親しまれることになるでしょう。
コミュニティのキュレーション
これらのサイトはクオリティに関して推奨も保証もしませんが、スタートポイントとして適切です。
Essential Cardano - IOGが管理するシンプルなGitHubリポジトリで、コミュニティのPRに向けられています。このサイトは包括的であることを目指しており、掲載されているからと言って推奨されているわけではありませんが、リストとして優れています。2022年の目標は、コミュニティとの協力の下、このリソースをより包括的なエコシステムリソースとして構築することです。
Cardano Cube – 「Cardanoに構築されるすべてのプロジェクトやDAppの概要を提供することにより、情報によりアクセスしやすくする」という使命をもつコミュニティサイトです。
Building On Cardano – ステークプールオペレーターであるShamrock PoolとCardano With Paulによる、「Cardanoエコシステムで何が起きているかを見るための場所」です。
2022年を通じて、私たちはCardanoの監査および認証の標準を高めるための努力を続けます。DAppストアのようなイニシアチブが、業界全体で #DeFi や #RealFi の実践の向上を促す一助となることを望んでいますが、これには限界があります。他のチェーンにおける数年間に及ぶ開発(と多くの失敗)があるとはいえ、これは業界全体にとってはまだ比較的初期の段階です。完全無欠な開発者はいませんし、全能の監査というものもなく、侵入が絶対不可能なプラットフォームもありません。
業界が成熟するにつれ、リスクも生まれます。その間、何よりも、コミュニティがもっとも明白な問題を特定できる免疫システムを開発し、失敗よりも成功にヘッドラインの焦点を当てられるようにしていくことが重要です。
今後の方向性
Cardanoコミュニティは、外部の規制を受けずに、いかに成功と安全性を達成するかを示す好例となることができます。Project CatalystはCardano向けの開発に資金を提供し、コミュニティが設定するチャレンジの中には、特にセキュリティに的を絞っているものもあります。
知的で懐疑的な消費者として、ユーザーはベストなDAppのみを要求しなければなりません。優秀なDAppを支援することで、誠実で信頼できる開発者の集団が育成されます。私たちは一丸となって、繁栄する自治コミュニティになるという目的を達成します。
ここで提供される情報は、投資アドバイス、財政アドバイス、取引アドバイス、その他のいかなるアドバイスを構成するものではなく、本ブログのすべてのコンテンツもそのように扱われるべきではありません。
プロジェクトをここに掲載することは、Input Outputが推奨や保証をすることを意味するものではありません。投資を決定したり第三機関のサービスに依存したりする前に、必ず自分自身でデューデリジェンスを行い、ファイナンシャルアドバイザーに相談してください。
本稿の執筆にご協力いただいたShweta Chauhan、Dan Gambardello、Jaromir Tessar、Matti Winnetouのコミュニティメンバー諸氏に感謝します。
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