Cardanoの拡張UTXO - マルチ資産とスマートコントラクトをサポートするために構築された会計モデル
Cardanoは革新的な拡張UTXO会計モデルでマルチ資産とスマートコントラクトをサポートします。この2部構成のブログではまず、さまざまなブロックチェーンの会計システムとEUTXOの重要性を見ていきましょう
2021年 3月 11日 6 分で読めます
ブロックチェーンネットワークは複雑なデータ構造です。トランザクションは継続的にチェーンと交差し、基盤となる台帳の完全性と信頼性を維持するために慎重な追跡と管理を必要とするデジタルフットプリントを作り出します。
ブロックチェーン界には、UTXOベースのブロックチェーン(例えばビットコイン)と、アカウントベースのチェーン(イーサリアムなど)という、2つの主要な会計台帳が存在します。
この2つの重量級暗号通貨は、それぞれ多くの基本的な点で異なりますが、本稿ではその会計モデルに焦点を当てたいと思います。ビットコインは未使用トランザクションアウトプット(UTXO)モデルを、イーサリアムはアカウントベースモデルを使用しています。
Cardanoは、ビットコインのUTXOモデルとイーサリアムのスマートコントラクト処理能力を組み合わせた、拡張UTXO(Extended UTXO:EUTXO)モデルを目指しました。EUTXOの適用により、スマートコントラクトをCardanoチェーンに実装することができます。
会計モデルとは
すべての企業や営利団体は、利益、損失、キャッシュフロー、その他のパラメーターの正確な記録を維持するために、貸借対照表を必要とします。このすべてのデータの会計管理を慎重に維持することにより、企業はいつでも財務状況を一目で視覚化することができます。企業の会計台帳は別の利点も提供します。資金の来歴および所有権の追跡能力です。
ブロックチェーンネットワークもまた、だれが何のコインを(いくつ)所有しているかを特定し、こうしたコインがどこに行くか、どれが使用済みであるか、どれが使用可能であるかを追跡する会計モデルを必要とします。
UTXOモデル対アカウントベースモデルの概要
数十年前、会計士は実際の台帳に資金の動きについての記録を手書きで記入していました。今日、企業は同様のことを電子的に行っています。ブロックチェーンは、来歴と所有を追跡するために、トランザクションを記録としています(台帳への記入に非常に似通っています)。これらのトランザクションには多くの情報が内包されています(コインがどこから来たものか、どこへ行くか、トランザクションでどれだけの残高が残されているか)。
ここでは、UTXOモデルとアカウントベースモデルの概要を紹介します。
UTXO
UTXOモデルでは、資産の動きは有向非巡回グラフの形式で記録され、ここではノードはトランザクション、エッジはトランザクションアウトプットであり、トランザクションが追加されると一部のUTXOが消費され、新たなUTXOが加えられます。ユーザーのウォレットは、ユーザーに所有されるすべてのアドレスに関連する未使用アウトプットのリストの記録を保管し、残高を計算します。
UTXOは多くの点でキャッシュに似ています。その好例を上げましょう。財布に$50入っていると思ってください。この金額は、複数の組み合わせで成り立つと考えられます。例えば、$20紙幣が2枚に$10紙幣1枚、または$10紙幣が4枚に$5紙幣が2枚、ほかにもたくさんあります。しかし、配列がどうであれ、金額($50)が変わることはありません。UTXOの仕組みも同様です。ブロックチェーンのウォレットにある残高(例えば150コイン)は、それ以前のトランザクションに基づき、多くの異なるUTXOの組み合わせで構成されることが考えられます。ただし、残高は変わりません。言い換えると、所与のウォレットアドレスに保有される残高は、以前のトランザクションで生じた未使用のUTXOの総額となります。
UTXOモデルにおける「釣り銭」の概念
店頭での現金取引きのように、UTXOも「釣り銭」を導入しています。例えば財布から$50紙幣を出して$15の支払いをするために、紙幣をバラバラに裂くことはできません。レジで$50紙幣をそのまま渡し、お釣りを受け取ります。UTXOも同様に作用します。UTXOを小さく「分割」することはできません。UTXOはそのまま全部が使用され、ユーザーのウォレットアドレスには、お釣りに相当するより少額のUTXOの形で戻されます。
UTXOモデルの利点
移転されるUTXOのサイズ、古さ、金額の確認および追跡によって、ブロックチェーン使用量およびチェーンの金融活動に関する正確なメトリクスを抽出することができます。
UTXOはその他の利点も提供します。例えば、スケーラビリティとプライバシーの向上が挙げられます。また、各UTXOは一度だけ全体として消費されるため、トランザクションの確認が格段にシンプルになり、トランザクションロジックは簡易化されます。
UTXOのまとめ
- UTXOは前回のトランザクションのアウトプットであり、将来的に使用することができます。
- UTXOチェーンにはアカウントはありません。代わりに、コインはUTXOのリストとして保管され、トランザクションは既存のUTXOを使用し、新たなUTXOを生成することで作成されます。
- 残高とは、所与のアドレスにより制御されるUTXOの総額です。
- UTXOは、「釣り銭」を使用する、不可分(UTXOは全体として使用される)という点で現金に似ています。
アカウントベースモデル
名前が示唆するように、アカウントベースの会計モデルを使用しているブロックチェーンモデルはコイン残高の管理にアカウント(秘密鍵またはスマートコントラクトで制御される)を使用します。このモデルでは、資産はユーザーのアカウント内の残高として示され、残高はアカウントのグローバルステートとして保管され、各ノードに保持されてトランザクションのたびに更新されます。
アカウントベースのチェーン(イーサリアムなど)の運営は多くの点で伝統的な銀行口座と似ています。ウォレットの残高はコインが入金されると増え、どこかに送金されると減ります。ここでの重要な違いは、UTXOとは異なり、ユーザーは自分の残高の一部を使用できることです。例えば、アカウントに100ETHを保有している場合、その一部(例えば30ETH)を誰かに送金することができます。その結果としてアカウントの残高は70ETHとなり、コインの送金先アドレスの残高は30ETH増加します。アカウントベースの会計モデルにはUTXOモデルのような釣り銭の概念は適用されません。
アカウントベースモデルのまとめ
- この会計モデルは銀行の運用モデルと似ています。
- ユーザーはコイン残高を保有するアカウントを持ちます。
- 残高の一部を使用することが可能です。
- 釣り銭の概念は適用されません。
明日は本分析の後半として、各モデルがどのようにトランザクションを処理するかについて議論し、CardanoでEUTXOモデルを開発する論拠を説明し、EUTXOとは何か、またどのような仕組みかについて詳しく紹介します。
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