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CardanoにおけるByronリブートの意義

Shelley準備に向けて、ネットワークとDaedalusユーザーに大きな利益をもたらす新コード

2020年 3月 30日 Tim Harrison 6 分で読めます

CardanoにおけるByronリブートの意義

Byronリブートとは、Cardanoネットワークにおける複数コンポーネントの一連の更新を指します。ここにはすなわち、Cardanoノードのみならず、Cardanoエクスプローラー、ウォレットバックエンド、そしてDaedalusウォレットそのものが含まれます。まったく新しいノード実装を行うByronリブートの第一段階は、既にネットワークの一部のリレーノードにデプロイされ、今後数週間内にコアネットワークノードとより多くのリレーが徐々に新システムにアップグレードされます。まもなく、ユーザーは新バージョンのDaedalusウォレットを通じて、ノードの向上を直接体験できるでしょう。

リブートが必要な理由

これは将来、そしてShelleyに向けた準備です。Byron期の始めに公開されたノードはこの時点までのものでした。新たなノード実装は、委任や分散化といった目前に迫ったShelleyの機能だけでなく、将来生じる他の機能もサポートできるよう、基礎から築き上げています。デザインの改善部分は、台帳、コンセンサス、ノードのネットワークコンポーネントを分離したモジュラー式とし、各要素を他に影響を及ぼすことなく変更、調整、アップグレードできる点にあります。

リブートはまた、エビデンスベースの形式手法を適用し、ノードをあらゆる面からテストする機会にもなりました。こうした大幅な改良を既存のコードで達成することを試みるよりも、一から取り組みなおした方が高い効果が得られたのです。新ノードの重要なすべての要素は形式的仕様記述に基づき、最終実装はこうした仕様に基づきテストされています。基本的なコードの質やパフォーマンスは全体として大幅に高まりロバスト性を増していると同時に、先へ進むためのテストや検証も簡易化されています。

関連する事柄

Cardanoノードの実装はもちろん、Cardanoエクスプローラー、ウォレットバックエンド、そしてDaedalus自体の改良作業も進行中です。再デザインした新エクスプローラーは使いやすさが向上。ビジュアルデザインも更新されたほか、利用できる情報量も増えました。全体としてAdrestia(アドレスティア)と呼ばれる、改良されたウォレットバックエンドおよび関連サービスは、取引所やサードパーティ開発者が独立した自己充足型ライブラリーを使用してCardanoネットワークとエンゲージすることを可能にします。新たに拡張されたAPIは大規模な取引所のニーズに応じて、ADAをサポートできるプラットフォームを増やすために特にデザインされています。また、Daedalusを改良した新リリースでは、パフォーマンスの大幅な向上はもちろん、Yoroiウォレットのサポートやトランザクションフィルター、ウォレットの並行復元機能が実現します。

Cardanoネットワークへのインパクト

最も基礎的なレベルでは、ByronリブートはCardanoネットワーク全体のパフォーマンスを向上させます。トランザクションスループット容量は増加し、ネットワークが処理できるデマンドおよび1秒あたりのトランザクション数は飛躍的に高まります。ノードの改良はまた、メモリー使用の観点からもノードの効率と信頼性を高めます。低スペックのコンピューターやネットワークコンディションが良好でない場合もCardanoノードの実行可能性が高まり、この結果世界中でCardanoネットワークに参加できるユーザーが増加します。

Daedalusユーザーにとっての意味

まず、ユーザーが新ノードの起用やウォレットバックエンドをテストし、フィードバックを提供することを可能とするDaedalusの新バージョンがリリースされます。これに関する詳細情報は3月31日火曜の月刊プロダクト更新情報でお知らせします。ユーザーによるテスト後、フィードバックは新しいDaedalus製品バージョンに実装されます。過去にユーザーが経験した不具合の多くは、Daedalus自体よりもノードに原因がありました。新ノードはパフォーマンスの改善に大きく貢献し、ユーザーはDaedalusの同期やウォレットの復元におけるスピードが大幅にアップするのを目の当たりにすることでしょう。

今後の予定

リブートはCLIおよび関連するAPIの取引所およびウォレットパートナーへのデプロイから始まります。その後、新ノード更新は今後数週間以内に、Cardanoメインネットのコアノードおよびリレーノードに配信され、数か月にわたりその他のリブートおよび継続的に行われるDaedalusの改良が続きます。目標はCardanoブロックチェーン全体を、サービスを中断や喪失することなしに、徐々にサステナブルな状態で新ノード実装に移行することです。その後にはHaskell Shelleyテストネットが公開されます。ここではインセンティブ付きテストネットのステークプールオペレーターがShelleyメインネットでプールを実行するためのセットアップと準備のサポート段階も含みます。

ByronリブートはIOHKの複数の開発チームによる18か月余りに及ぶ取り組みの成果であり、CardanoのShelley期をサポートするために必要なネットワークに欠かせないインフラへの多大な投資を代表しています。リブートとその公開プランの詳細は3月31日に予定されている3月プロダクト更新情報にIOHK Crowdcastストリームからご参加ください。CardanoプロダクトディレクターのAparna Jueとそのチームメンバーが私とともにリブートおよびプロジェクトの次のステップについての最新情報をお届けします。

Tim Harrison

Tim Harrison

VP of Community & Ecosystem

Communications