Ouroboros Peras:Cardanoのトランザクション決済を加速
PerasがCardanoでのトランザクション決済を迅速化し、待ち時間を短縮し、ロールバックリスクを最小限に抑え、相互運用性を強化する方法を解説
2025年 4月 11日 7 分で読めます
現在開発中のOuroboros Peras(以後Peras)は、Cardanoブロックチェーンのセキュリティと回復力を維持しながらトランザクション決済を加速することを目的としたOuroboros Praosコンセンサスプロトコルのアップグレード版だ。新しい投票メカニズムを導入することで、Perasはトランザクション決済を大幅に迅速化し、ユーザーの待機時間を短縮し、ロールバックのリスクを抑えることができる。
決済の迅速化が必要な理由
多くのブロックチェーンシステムでは、ユーザーはトランザクションが確定したとみなされるまで、複数のブロックが追加されるのを待たなければならない。このプロセスには時間がかかることがあり、日常のトランザクションや迅速な承認を頼みにする分散型アプリケーション(DApp)にとって理想的なものとは言えない。Perasはこれに対処する。
- ユーザーエクスペリエンスの向上:決済時間の短縮により、Cardanoは即時性が重視されるDAppが必要とする優れた応答性と効率性を実現する。
- セキュリティの強化:ブロックがブースト(認証)されると、そのブロックを含むチェーンのロールバックの可能性は著しく減少する。
- ブリッジとパートナーチェーンのサポート:決済の迅速化により、Cardanoのメインチェーンとパートナーチェーン間の移行が合理化され、相互運用性が向上する。
- 取引所の承認要件を減らす:ブロック決済の迅速化により、中央集権型取引所(CEX)ユーザーがより早く資金にアクセスできるようになる可能性がある。
- 新しいユースケースを実現:決済の迅速化は、迅速なトランザクション決済の恩恵を受ける分散型サービスと中央集権型サービスの両方に機会をもたらす。
Perasの仕組み
Perasは、ステークプールオペレーター(SPO)が指定された間隔でブロックを認証できるようにする新しい投票プロセスを導入した。認証されたブロックには重みが付加されるため、最重チェーンに含まれる可能性が高まる。この方法で、ブロックチェーンのセキュリティと分散性を維持しながら、トランザクション決済を大幅に加速できる。この仕組みを単純化して説明しよう。
- 投票委員会:ランダムに選択されたSPOのグループが、予定された投票ラウンドに参加する。
- 投票プロセス:各委員会のメンバーは、チェーンの先端から一定の深さのブロックに投票する。これらの投票は、各SPOが制御するステークによって重み付けされる。
- 認証済みブロック:十分な票を集めたブロックが認証済みステータスに達する。
- 重みの付加:認証されたブロックには重みが付加され、ネットワークがどのブロックを優先するかに影響を与える。
- 最重チェーンルール:Perasは最長チェーンルールを使う代わりにチェーンの重みに依拠する。認証済みブロックはチェーン選択に大きな影響を与える。
- 決済の迅速化:ブロックに追加の重みを適用することで、ネットワークはブロック決済に迅速に達し、トランザクションが不可逆になるまでの待ち時間を短縮する。
機能を拡張したPerasの設計(検討中)は、BFTのような投票前ステップを組み込み、委員会が単一のブロックに確実に収束してブーストできることに留意したい。認証に達したブロックがない場合、再試行する前にcooldownがトリガーされる。ただし、コアブロックの生成プロセス(抽選ベース)は、Praosと変わらない。
Perasの利点
PerasはOuroborosプロトコルシリーズの定評ある安全性と分散性を維持しながら、迅速な決済に焦点を当てている。
実質的に、Perasは旧プロトコルの直接的な代替ではなく、Praosの進化形と見なされている。ユースケースは迅速な決済を重視したものが多い一方、他のプロトコルは別の側面の問題(プライバシー、時間同期、スループットなど)を解決する。
通常のユーザーの場合
- トランザクションの承認を迅速化:Perasは決済時間を短縮し、応答性に優れたDAppエクスペリエンスを提供する。
- ロールバックリスクの軽減:決済の迅速化により、比較的新しいブロックを無効にしてしまうチェーン再編の可能性を低下させる。
- ユーザーエクスペリエンスの向上:決済がスピードアップすることにより、日々のDAppやサービスに対するCardanoの魅力が高まる。
- スマートコントラクトの新しいユースケースを可能にする:Perasはスマートコントラクトの実行に影響を与えないが、決済が迅速化することにより、即時性が重視されるスマートコントラクトアプリへの扉が開かれる。
ステークプールオペレーターの場合
- 影響力と参加の向上:SPOが各ラウンドで積極的に投票することで、ネットワークのセキュリティが強化されると同時に報酬分配の精度が向上する可能性がある。
- 最小限の運用コスト:新しい投票メカニズムに必要な帯域幅の増加はわずかである。
- ネットワーク安定性の向上:Perasの自己修復機能により、ネットワークは中断から迅速に回復する。
Perasはステークホルダー主導の投票メカニズムを導入することで、分散性を維持しながらCardanoでのトランザクション決済を合理化する。Cardanoのコンセンサス設計におけるこの進化は、ユーザーにより高速で安全なトランザクションを提供し、SPOがブロックチェーンの回復力と完全性を維持する助けとなる。
Perasは現在開発中である。詳細情報、最新情報は以下のリンクを参照のこと。
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