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Mithril、まもなくメインネットリリース

メインネットリリースに向けた準備が進むMithrilが現在最終テスト段階に。Mithrilとは何か、どのように役立つか、そして参加する方法を振り返ります

2023年 7月 20日 Olga Hryniuk 10 分で読めます

Mithril、まもなくメインネットリリース

Mithril(ミスリル)はステークベースの署名スキームにしてプロトコル。ノードの同期にかかる時間と効率を向上させます。Mithrilはノードの同期時間を短縮し、セキュリティを提供し、分散型意思決定を可能にします。Mithrilを導入することで、Cardanoのネットワークの効率、合理性は向上し、幅広いアプリケーションやユースケースに対応できるようになります。

Mithrilの概念実証は2022年8月に公開されました。12月、チームは公式にMithrilについて発表し、その利点、アプリケーション、ロードマップについて詳しく説明しました。Mithrilは現在最終テスト段階にあり、今年の夏中にメインネットにリリースされる予定です。

本稿では、Mithrilプロトコルの機能をまとめ、そのアーキテクチャーを説明し、関わる方法を案内します。

Mithrilを選ぶ理由

繫栄するCardanoエコシステムに参加することは、その健全な成長を促進することを意味します。このネットワークは、分散した数千ものノードを1つのシステムに統合し、新しいブロックやトランザクションのデータを共有するためのシームレスな通信を可能にします。

Cardanoネットワークに参加するには、次の2つの方法があります。

  1. ブロックチェーンのフルコピーをダウンロードして検証する必要がある、フルノードを実行する(現在最大100GB)

  2. 信頼できるサードパーティAPIにアクセスして、軽量クライアントを実行する

各ノードの同期には時間がかかるうえ特定のソフトウェアとストレージを用意する必要があり、軽量クライアントはサードパーティのAPIに依存します。

しかし、両方のいいとこどりができるとしたらどうでしょう。

Mithrilで盤面を変える

Mithrilを活用して、Cardanoのフルノードを迅速かつ効率的にブートストラップすることは、メインネットでの最初のベータリリースで可能な最初のユースケースです。

Mithrilは現在のブロックチェーンステータスのスナップショットを取得し、ノードの同期時間を短縮しながら、強力なセキュリティ設定を提供します。Mithirlが軽量で、高速、効率的かつ安全なノードブートストラップをどのように提供するかについては、IO ScotFestの発表をご覧ください。

Mithrilの進化に伴い、DApp開発者は軽量クライアントやモバイルアプリケーションを展開したり、サイドチェーンの運用を合理化したりできるようになります。Mithrilはまた、プロトコルの複雑さに関係なく、ステークベースの投票アプリケーションとガバナンスソリューションを強化します。Mithril署名による安全で軽量な投票検証は、分散型の意思決定を簡素化し、検証可能な結果を提供します。

Mithrilの進化

2021年にIOGの研究者が発表した研究論文「Mithirl: Stake-Based Threshold Multisignatures(Mithril:ステークベースの閾値マルチシグ)」、および本ブログ記事では、プロトコルがステークベースの閾値署名スキームとしてどのように機能し、透明性に優れた安全で軽量なステークの活用を可能にするかについて議論しました。

2022年のMithrilの概念実証公開以来、ステークプールオペレーター(SPO)のボランティアグループがネットワークをサポート、テストしてきました。このテスト段階で、チームは2週間ごとにディストリビューションをリリースし、サイナー、アグリゲーター、クライアントノードを配信することができました。また、ステークベースの閾値マルチシグスキームを実装し、SPOによるフルノードスナップショット証明書の作成プロセスを確立しました。

現在、Mithrilネットワークはプレビューおよびプリプロテスト環境でテストを行っており、まもなくメインネットでベータ版が利用できるようになります。

Mithrilには、次のリリースを含むハイレベルなロードマップが設定されています。

  • Mithrilベータ:SPOのボランティアグループによるテストとプロトタイピングの支援を受けた、プロトコルのメインネットリリース
  • Mithril MVP(2023):高速ブートストラップや安全なライトウォレットなどの基本的なユースケースをサポートする追加機能を備えたインセンティブ付きプロトコル
  • Mithril(2024年):完全分散型、自立型のMithrilエコシステム

その仕組みとは:アーキテクチャー

Mithrilアーキテクチャーは、サイナー(署名者)、アグリゲーター、クライアントの3つの主要コンポーネントで構成されています。これらが一体となってノードのネットワークを形成し、Cardanoノードのブートストラップの効率を高めます。

図1:Mithrilネットワークアーキテクチャー

Mithrilサイナー

Mithrilサイナーは、SPOのCardanoノードの上で動作する透明性の高いノードです。Mithrilアグリゲーターと連携して動作し、次のタスクを実行します。

  • Cardanoノードと並行して動作し、既存のCardanoインフラとシームレスに統合。
  • KESキーによって署名されたエポックごとに新しい鍵ペアを生成。その後、検証鍵はMithrilネットワーク内の他のすべてのサイナーにブロードキャストされる。
  • Cardanoブロックチェーンのフルステータスのスナップショットを定期的に取得。具体的には、不変DBファイルインデックスによってインデックス化する。次に、Mithril暗号プリミティブを使用してこれらのスナップショットに個別に署名することで、台帳ステータスの完全性と信頼性を保証。

Mithrilアグリゲーター

Mithrilアグリゲーターは、Mithrilサイナーノードの活動の調整を担う、トラストレスノードです。Cardanoノードと連携して動作し、次の重要な機能を実行します。

  • Mithrilサイナーノードが鍵を登録し、スナップショット署名プロセスに参加するために必要なケイデンスを提供し、署名操作の適切な同期と組織化を保証。
  • サイナーノードがCardanoブロックチェーンのフルステータスに個別に署名すると、アグリゲーターはこれらの署名を収集し、Mithril暗号プリミティブを使用してMithrilマルチシグに結合。アグリゲーターは、これら集約した署名を使用して、関連する証明書を生成。
  • アグリゲーターは、Cardanoデータベースのスナップショットアーカイブ全体の作成と保存を担当。このノードは、ノードの復元に必要なクライアントに対し、アーカイブスナップショットと関連する証明書の両方の可用性を確保して配布する役割を負う。

Mithrilクライアント

Mithrilクライアントは、現在Cardanoフルノードの復元に使用されているノードです。クライアントはMithrilアグリゲーターとやり取りして、ノードの復元に必要なコンポーネントを取得します。

  • Mithrilアグリゲーターに接触し、Cardanoブロックチェーンのリモートスナップショットを取得。スナップショットと同時に、スナップショットに関連する証明書チェーンも取得する。
  • スナップショットと証明書チェーンの整合性と有効性を確保するために、クライアントは、アグリゲーターとサイナーが使用するMithril暗号プリミティブを使用してマルチシグを生成。これらの暗号メカニズムにより、クライアントは取得したコンポーネントの真正性を検証できるため、安全で信頼性の高い復元プロセスが容易になる。

今後のイテレーションでは、クライアントは、対応するデータに対してプロトコルが生成する証明書を検証するためにも使用されるようになります。

Mithrilネットワークアーキテクチャーは現在開発中であり、変更される可能性もありますのでご注意ください。開発チームは、アーキテクチャーの堅牢性とセキュリティを強化するために、アーキテクチャーのさらなる分散化に積極的に取り組んでいます。

参加方法

Input Output Global(IOG)は、メインネットにおけるMithrilベータテストへのSPOの参加を募集しています。

ご希望の場合は、Discordチャネル、およびGitHubディスカッションに参加してください。ネットワークの詳細はMithrilドキュメントを参照してください。