先般、Input Output Global(IOG)でVasil(バシル)アップグレードに取り組むコアチームは定例の週末評価会議を開きました。6月20日月曜、次回エポック境界前にCardanoテストネットのアップグレードを実行できる最終日であるこの日、エンジニアたちが週末に行った作業を考慮して午後に最新ステータスを再評価することが決定されました。
IOGのエンジニアリングチームは核となる作業をもう間もなく完了するところまで来ています。ハードフォークの作業を完了するためにわずか7つのバグの対処を残すのみで、そのどれもが現在「深刻」には分類されていません。熟考のもとに、テストのための時間をより多く確保するために、この日のテストネットへのハードフォーク更新提案は取りやめとなりました。
現時点までに、Plutus V2テストスクリプトの大多数(およそ95%)を片付けています。しかし、すべてが予想通りに機能することを確認するためには、実行すべきアイテムがまだ少し残されています。これに数日間必要であると判断しました。このため、以前予告していた6月29日というメインネットハードフォーク予定日に遅れがでることになります。
6月初めから、新ノード(これには拡散パイプラインや新しいPlutus v2 CIPその他の改良が含まれます)の初期ビルドをVasilの準パブリック開発者テストネット(DevNet)で首尾よく実行しています。現在27のプロジェクトから35人の開発者が自分のDAppをテストし、問題の特定に協力しており、これを16人のステークプールオペレーター(SPO)がサポートしています。また、Blockfrost、Cardano Serializationライブラリー(EMURGO)、Cardano Multiplatform Library(dcSpark)といった、ツールやAPIのプロバイダーとも密に協力しています。とくに、プロセスを通じて素晴らしいサポートを提供してくれているMlabsとDquadrantの仕事は特筆に値します。この開発者テストネット段階は、Plutusコードの互換性と機能で真価を発揮します。この価値ある作業は、今後数週間にわたって、この開発者テストネットで続けられます。
Vasilの作業は、さまざまな面から考えて、これまででもっとも複雑な開発および統合プログラムです。これは、コアチームによる重要な作業が要求されるだけでなく、エコシステム全体で厳密な調整が必要となる難しいプロセスです。
Cardanoテストネットのハードフォーク実施は、SPOのメンバーやDApp開発コミュニティと話し合いながら、次の3つの主要な基準をもとに最終的に判断されます。
- ノード(台帳、CLI、コンセンサスなどを含む)または内部の監査機能に重大な問題が残っていないこと
- ベンチマークとパフォーマンスコスト分析が条件を満たしていること
- コミュニティ(取引所およびDAppプロジェクトを含む)にしっかりと周知され、ハードフォークコンビネーターイベントの準備に十分な時間が取れること
プロジェクトは、これらの基準を順調に満たしていっています。これらのボックスすべてに難なく確信をもってチェックを入れられるようになったら、先へ進み、Cardanoテストネットのハードフォークを実行し、メインネットハードフォークへの最終カウントダウンに入ります。Cardano財団の統合チームはこのプロセスを先導し、通常は、取引所に統合あるいは更新を完了させるために4週間を設けます。ここで、パレートの法則に従うことになります。さまざまな取引所がさまざまなタイムラインで作業することを認識しながら、ユーザーにかかる不便を最小限に抑えるために、メインネットのハードフォーク前に取引所のコンプライアンスを(流動性によって)80%達成することを目指します。
今日、IOGとCardano財団はテストネットのハードフォークの予定日を、新たに6月末日とすることで同意しました。これが完了すれば、取引所とSPOが必要な統合とテスト作業を行えるよう、4週間を設けます。これは合理的であり、急ぐべきではありません。したがって、Cardanoメインネットのハードフォークは、目下のところ7月最終週となる見込みです。
この報告にがっかりしている人もいるでしょう。しかし、このデプロイを正しく行うために、私たちは十分な注意を払っています。
常にお伝えしているように、そしてコミュニティのほとんどが認識しているように、ソフトウェア開発においてどのようなタイムラインも絶対ではありません。クオリティとセキュリティこそが最優先とされなければなりません。コアコードを適切なものにするために、そしてすべてのエコシステム関係者(SPO、DAppプロジェクト、ツール、取引所など)を十分に安心させるためにもっと時間が必要であるならば、そうするべきです。プロセスに時間をかけることは、唯一の責任ある行動です。
IOGとCardano財団のチームは、メインネットのVasilハードフォークに近づく中、引き続き開発者コミュニティおよび取引所と密に連携していきます。そして、コミュニティには進捗状況をお知らせします。皆様のサポートに感謝いたします。
最新の記事
ブラックホーク空へ:ハリケーン「へリーン」を受けて英雄達を輸送 筆者: Fernando Sanchez
29 October 2024
ワイオミングのBlockchain StampedeでCardano Day 筆者: Alejandro Garcia
21 October 2024
DIDCommを形式化 筆者: Jesus Diaz Vico
16 October 2024