プレミアム価格で購入した高級蒸留酒のコレクターズボトル。でも、疑いが拭えない。小売店をはじめとするすべてのサプライチェーンが、徹頭徹尾、誠実であると信用できるだろうか。
オンライン薬局で高い薬を買う。金額に見合うだけのものを得ていると確信できるだろうか。IOGの製品認証システムAtala SCANは、このような問いに答えられる。しかも、小売店やサプライチェーンの誰をも信用する必要はない。
高級酒ボトル用ソリューションのパーツは、改ざんした場合にそのことがわかるスマートシールだ。Atalaはこのシールと、そのシールが付された個別アイテムの完全な製造履歴の間に、暗号化された、監査可能なリンクを設ける。無料アプリを使えば、自分のスマートフォンで製品の真贋が即座に検証できる。
Atala SCANは第三世代ブロックチェーンテクノロジーであるCardanoに構築されている。「タッチチップ」テクノロジーを組み合わせたブロックチェーンソフトウェアは、キャップシール、ホログラム、意匠を凝らしたパッケージといった従来のセキュリティ技術に比べて、顧客が製品の履歴を即座に確認できるという実益を提供する。
問題と解決策
高級酒、化粧品、ファッションアイテム、処方箋などの製品に対するセキュリティ改善のニーズは、ますます巧みになる偽造品との闘いに突き動かされている。国際組織犯罪対策を担当する国連機関は、問題を次のように表現している。「偽造品の製造と販売は数十億ドルに上るグローバルな問題であり、政府、ビジネス、消費者に、深刻な経済的健康的影響を与える」
米国特許商標庁によれば、国際偽造品市場の規模は、2008年の2000億米ドルから2019年には5090億米ドルへと倍増している。これは世界貿易の2.5%に相当する。これだけの規模の偽造は製造業界の負担となり、食品や薬品の顧客の命を危険にさらし、イノベーターから努力の対価としての報酬を奪う。
IOGの偽造品犯罪対策ソリューションは、「翼付きチップ」をベースとしたスマートシールをアイテムの製造記録にスマートフォンでリンクさせることができる一体型システムだ。記録は変更不可能の安全なストレージに保持される。購入者は、素早く、簡単に、無料で来歴を確認できる。
スマートシール
スマートシールはシステムをの中核をなす、NFC(近距離無線通信)チップを搭載した極薄のラベルだ。製品に張り付けたり、カードに組み込んだり、製品やパッケージに埋め込めるほど小さい。たとえば、特製のボトルキャップの一部としたり、ハンドバッグに縫い込むことも可能だ。銀行カードのNFCロゴを目にしたことがあるかもしれない。この技術により、タッチしたり近づけたりするだけで、デバイスは情報を交換できる。ペットの犬に使われるマイクロチップのように、スマートシールは電力を消費せず、リーダーからの信号を静かに待っている。信号がチップのアンテナに誘導する電流で、チップが保存されたデータを転送するために十分な電力が得られる。
最近のスマートフォンは標準機能として双方向NFCを搭載している。したがって、スマートフォンはリーダーとしてもタグとしても機能する。Nexus Sはこれを初めて搭載したAndroidデバイスだ。2010年のことである。Appleは2014年にNFCをiPhoneに導入。6以降のすべてのiPhoneに搭載している。
ほとんどの耐タンパー性NFCタグは、破られると機能しなくなるよう設計されている。すべてのNFCタグは、動作にアンテナを必要とする。アンテナが十分壊れやすくできていれば、どのような改ざんによってもタグは機能しなくなる。Atala SCANで使用されるNTAG製品は、これを一歩先へ進めている。タグのチップには2つのアンテナがあり、1つは壊れるように設計されている。タグに手が加えられると、機能し続けるが、改ざんの証拠として変更された信号が送信される。
Atala SCANは、完成品をブランド所有者に納品するサプライチェーンの開始点に実装される。ブランド所有者の記録には、製品の画像や、すべてのコンポーネントを原産地までさかのぼる完全な履歴を含むことができる。ブランド所有者は、埋め込まれたスマートチップを通じて最終消費者に開示する情報を決定する。基本的な追跡データの場合も、グローバルな消費者市場キャンペーンの一部の場合もある。この情報は各タグ固有の識別子にリンクされる。Atala SCANのエンジニアはこのリンクの設定をサポートできる。次にタグは、各製品アイテムに取り付け、または何らかの方法で関連付けられる。
ブロックチェーン
Cardanoは、チェンジメーカー、イノベーター、そしてビジョナリーのためのブロックチェーンプラットフォームだ。Ouroborosプルーフオブステークプロトコルを使用してコンセンサスに達する。これにより、旧式のブロックチェーンが必要とするリソースのほんの一部を消費するだけで、証明可能安全性をもつ。 Atalaにより、各アイテムはCardanoで固有のエントリーと関連付けられている。エントリーは変更できないが、簡単に読み取ることができ、監査システムの一部として使用できる。各エントリーはタグの識別子の暗号化ハッシュからなり、製品のメタデータとリンクしている。画像を含むメタデータはオフチェーンに保存される。
Atala SCANプロジェクトマネージャーのJuan Ignacio Sierraは次のように述べている。「ブロックチェーンを使用すれば、製品情報の改ざん防止は確保できます。しかし、情報を製品そのものに安全にリンクさせるメカニズムがなければ、偽造品でも本物と同様にブロックチェーン情報を利用できてしまう。Atala SCANでは、シールに組み込まれた安全性の高い暗号ハードウェアを使って、ブロックチェーンの情報と実際の製品とのリンクの安全性を確保しています」
スマートフォンでスキャン
スマートフォンがあれば、無料のAtala SCANアプリを関連するオンラインストアからダウンロードできる。このアプリケーションは、スマホのNFCリーダーを使用してチップを読み取り、Cardanoの製品情報を調べる。スマホの製品をタッチするだけで、即座に製品が真正のものか、そして、その履歴がわかる。
IOGはシステムの立ち上げについて数社と話をしている。
「Atala SCANは長らく温められてきましたが、市場への提案を始めることができるようになり胸を躍らせています」とJuan Sierraは言う。「たくさんの潜在顧客と商談中です。今後もっと多くのニュースをお届けできるでしょう」
何らかの形で製品認証に関心を持たれている場合には、Atala SCANウェブサイトからIOGにご連絡ください。喜んで対応いたします。
本稿の執筆にあたり、Anthony QuinnとRachel Epstein両氏の協力に感謝します。
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