Oasis Proとのパートナーシップで、CardanoはDeFiとリアルFiを結ぶ
開発途上国の金融サービスの民主化と資本へのアクセスを約束する新たな提携
2021年 10月 16日 7 分で読めます
CardanoサミットでのCardanoとOasis Pro Marketsとの提携は、一見したところ、銀行家などの専門的な金融界へブロックチェーン技術を適用するもので、一般庶民にはかかわりのないものに見えます。しかし、これは世界数百万もの人々にとって、ゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。
多くの国々が、橋、ダム、鉄道網など大規模インフラプロジェクトの資金調達に苦心する中で、優秀な人材は国外へ流出し、国への貢献は毎月の仕送りに限られているのが現状です。
他国にいる家族に仕送りをする人を知っていれば、送金の世界に出くわしたこともあるでしょう。1つ1つは小さな額ですが、総額にすると大金となります。国によっては、GDPの30%を超える送金総額で何とか成り立っている場合もあります。
2020年以来、英国等の国々で対外援助予算が削減されるにつれ、世界の送金額は、海外からの直接投資額(中国を除く)とより豊かな国の政府からの援助額を合わせた額よりも上回るようになりました。これについてIOHKプロダクトマネージャーのNick Cafaroは、「かなり驚くべきことだ」と述べています。
「これはすなわち、21世紀になって初めて、外国人労働者が、これらの低中所得国に諸国や企業が投資する額、そして公的援助の総額を超える金額を送金しているということになります」
しかし、この大金は、全額必要とされていますが、母国でもそりなりの効果しか生んでいません。「政府はすべての資本をプールしてこれを多くのインフラプロジェクトにつぎ込むことができません。そうすればより多くの人々の利益に繋がるのですが」とCafaroは言います。「入ってくる資金は公平に分配されず、国内の不平等を助長するだけとなっています」
この状況における3番目の欠点は、送金を続けるために、人々が海外で働き続けなければならないことだとCafaroは続けます。家族や地元の仲間を置き去りにすることを、「私たちは誰も心から望んではいません」。
よりよい方法
こうした資金を活用して、必要としているところに最大の影響をあたえる方法を考えてみてください。対象国の生活水準を実際に上げ、貧困国から富裕国への優秀な人材の「頭脳流出」を堰き止める可能性を持つ方法です。ソリューションが海外で働く人々のための投資にリターンも提供できるとしたらどうでしょう。
ブロックチェーンはこれを可能にするのです。
通常、国はいわゆるソブリン債を発行することによってインフラプロジェクトの資金を調達します。ソブリン債は資本市場動物園においてもっとも大型の威圧的な獣に数えられ、個人投資家が気楽に手を出したくなるものではありません。国が債券を発行すると、通常銀行がシンジケートを形成して全発行分を買い上げます。ソブリン債は低リスクで固定収入を供給するため、銀行はこれをキープしておきたいと思っています。また、規制の厳しい投資分野であるため、参加にはかなりの専門知識が要求されます。これは手に入れられればすばらしいものです。
将来、金融界が徐々に分散化していくなかで、この大規模な債権と大量の送金額が組み合わされます。CardanoとOasis Pro Marketsの関係は、この方向へ向けた大きな一歩です。
Cardanoはしばらく前からこのような同盟を結びたいと考えてきました。そして、ブロックチェーンファーストのプラットフォームと規制に関する専門知識のためにOasis Proを選んだのだと、Cafaroは先月のCardanoサミットで提携発表の際に述べています。
「こうした銀行シンジケートが運営するネットワークは…この種の取引きフローを扱うことはできません。したがって、このような何万人もの個人を単一のプラットフォームを介して発行者につなげる方法を見つける必要があります。いい知らせは、Cardanoブロックチェーンがこの種の問題を解決するのに最適なツールだということです」
IOHKのプロダクトマネージャー、Nick Cafaroは述べています。
Cardanoブロックチェーンにこの「リアルFi」商品を提供するパートナーを見つける必要がありました。これには資本市場とブロックチェーンの分野の専門知識を持つ、適切な規制当局の許可を備えた企業である必要がありました。
Oasis Pro MarketsのCEO、Pat Lavecchia氏は次のように語ります。「CardanoおよびIOHKとの長期にわたるパートナーシップを大変楽しみにしています。マッチングエンジンや取引所など、私たちの持つ最高レベルのテクノロジーを国や規制条件に応じて活用し、さまざまな国に民主化された金融サービスを提供します」
さらに氏は、小規模投資者、すなわち「これらの国々の市民や海外離散民」がソブリン債へもっとアクセスできるようにするとも付け加えています。このイニシアチブは発行政府に「効率の良さとコストの削減」を提供します。
Lavecchia氏はOasis Proのアプローチを「デジタル証券のためのデジタルキャッシュ」と表現しています。これは実質的に、ステーブルコインや、諸国の規制事情に応じて場合によってはCGDCを使用することを意味しています。
「ソブリン債はブロックチェーン領域を細分化できる債券です。そして、その細分化こそ、その民主化と密接に結び付いています。これは発行者のリスク管理を助け、投資者ベースを広げ、ひいては流動性をシームレスに高めることに繋がります。当社が開発したデジタル取引所の取引システムおよびオーダーマッチングエンジンは、従来のソリューションから…ブロックチェーンへの転移点であり、そのメリットは甚大です」
Lavecchia氏によると、発行者はいくつかのメリットがあります。マネーロンダリング防止規制のため、発行者は、どの機関または個人がソブリン債を所有しているか、常時把握することができます。政府は、投資家のアドレスを追跡する必要なく、利子支払いのメールを出す必要もありません。「アセットサービスはすべて膨大な時間の無駄で不要なものです。ブロックチェーンがこの問題を解消します。節約額は、発行額の25から50ベーシスポイント(0.25~0.5%)に見積もられます」
発行国もスマートコントラクトイノベーションから利益を得ます。「スマートコントラクトは証券自体に埋め込まれており、証券の条件、たとえば元金や利息の支払い、該当する場合はデフォルト規定、その他、投資家のためだけでなく、発行者、国のために組み込まれたアクションや保護を含みます。不十分なドキュメントを排除し、決済期間を短縮します。現在これは2日から10日かかっています。ブロックチェーンとデジタルキャッシュを活用することで、この決済期間がほぼゼロに短縮されます」
Cardano/Oasis Proシステムを導入した国は、金融取引を株式、資産担保証券、その他の種類のプロジェクトファインナンスなど、他の資産クラスに拡大できます」とLavecchia氏は言います。「この技術は現在利用可能で、IOGによってさまざまな分野でリリースする準備ができています。5~10年間で、これは至る所に広まります。したがって、今私たちと協力している国々は、かなり先を行くことになります」
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