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Hydra - 究極のスケーラビリティのためのCardanoのソリューション

Cardano開発ロードマップに欠かせないスケーラビリティ:Hydra登場

2021年 9月 17日 Sebastian Nagel 9 分で読めます

Hydra - 究極のスケーラビリティのためのCardanoのソリューション

Alonzoアップグレードはスマートコントラクトや分散型アプリケーション(DApp)、その他のアプリケーションをCardano上で作成することを可能にします。

AlonzoはCardanoの旅における重要なマイルストンであり、基礎レベルのスクリプト機能がデプロイされ、これがさらなるイノベーションとネットワーク開発を可能にします。これはまた、トランザクションとトークンベースのブロックチェーンを、ダイナミックなクリエイティビティの融合、金融包摂、分散型開発へと変容させるプロセスの始まりでもあります。

Alonzoで可能となった新たな開発の中でも最もエキサイティングなものの1つがHydra(ハイドラ)です。これはCardanoのスケーラビリティをさらに向上させる主要なレイヤー2ソリューションであり、既存のレイヤー1ブロックチェーンの上に新たなプロトコルを重ねるものです。

Hydra:Cardanoのレイヤー2ソリューション

ブロックチェーンネットワークでは、コンセンサスアルゴリズムが、トランザクション履歴における同意を保証することによって、安全でトラストレスな環境を作成します。Cardanoがこの目的のために使用しているのは、効率的なプルーフオブステークコンセンサスアルゴリズムであるOuroboros(ウロボロス)です。しかしCardanoもまた、他のパーミッションレスブロックチェーンと同様に、実世界で支払いやID、ゲーム、モバイルサービスといったアプリケーションをサポートするために必要なスループットを達成するためのスケーリングを試みる際には課題に直面します。結局のところ、ブロックチェーンは1つ1つすべてのトランザクションで、グローバルコンセンサスに達する必要があります。

Cardanoトランザクションでは手数料が発生します。ネットワークを実行する人々(Cardanoの場合はステークプールオペレーターコミュニティ)は果たす役割に応じた報酬を受ける必要があり、手数料を持続可能なレベルに設定する必要があります。ユーザーは、納得のいく手数料を支払うことを望みます。加えて、サービス拒否(DoS)攻撃などからブロックチェーンを保護する必要があります。したがって手数料を低く設定することによってリスクを招くわけにいきません。DoS攻撃は潜在的な攻撃者の抑止力になるほどコストがかかるものでなければならないのです。ストレージに関する懸念もあります。拡大し続けるトランザクション履歴がストレージの問題につながりかねないためです。実際のところ、最も成功したブロックチェーンは、その成功の「犠牲者」となる危険があります。

Hydraはレイヤー2スケーラビリティソリューションであり、これらすべての懸念に対処し、スループットの最大化、レイテンシーの最小化、低コストからコスト無し、ストレージ要件の大幅な削減を目的としています。

同型的スケーリング

ではこれをどのように実行するのでしょう。メインチェーンの台帳を安全な決済層として使用しながら、ユーザーグループにトランザクションをオフチェーンでより効率的に処理する手段を提供することにより、Hydraはメインチェーンと緩やかに結合しながら安全性を保証します。グローバルコンセンサスと必要とせず、幅広いアプリケーションに適用できます。たとえば、Hydraはトランザクション手数料とUTXO最小値を1または2Lovelaceまで低く設定できます。これはマイクロトランザクションやこれにより解禁されるユースケースにとって不可欠です。

しかし最も重要なことは、Hydraが同型的ステートチャネルの概念を導入することです。これは、同じ台帳表現を再使用して、オフチェーンで同型の兄弟台帳を生み出すものです。これをヘッドと呼びます(これゆえ、神話の多頭生物であるヒュドラにちなんでHydraと命名)。特にCardanoにとっては、これはネイティブ資産、NFT、PlutusスクリプトがHydraヘッド内で利用できることを意味します。同型は追加ではなく、システムの自然な拡張を可能にします。

現在メインチェーンまたはメインチェーンで実行されているアプリケーションで処理されている多くのトランザクションは、Hydraから直接恩恵を受けられます。同じトランザクション形式や署名を理解するためです。既存顧客や潜在顧客は、レイヤー2システムとやり取りするウォレットやアプリケーションの構築に実績のあるCardanoのインフラを再利用することができるため、Hydraへの参入障壁は格段に下がります。また、Hydraのヘッドは受信側の初期資金なしで作成できるため、スムーズなユーザーエクスペリエンスが可能になります。

プルーフオブコンセプトの開発

基本的なHydraヘッドプロトコルは、すでにプルーフオブコンセプトのhydra-nodeとして実装されています。開発者のプレビューは、来るCardanoサミットまでに準備されます。これにより、開発者(および興味のある人は誰でも)は単数または複数のhydra-nodesをオンラインで実行して、Hydraヘッドを限定された参加者に開き、トランザクションをフィードすることができるようになります。ユーザーは稼働するプロトタイプを専用テストネットで、さらに、初期のベンチマーク数値やドキュメントをGitHubリポジトリで確認することができます。ユーザー向けコンポーネント(ウォレット、ユーザーインターフェイスなど)はおそらくまだ利用できません。

ここで、1秒間ごとのトランザクション数(TPS)が、あまりにも頻繁にスケーラビリティの「成功」を測る唯一の手段として使用されていることを指摘しておきます。中には、スループットで測定された最大スループット(TPS)に基づきネットワークを評価する傾向がある人もいます。予測可能性と適合性の高い「レガシー」システム(VISAネットワークなど)には合理的な手段である一方、これは分散型システムではあまり役に立たないメトリクスです。その代わりに、当初の焦点は、ブロックチェーントランザクションの速度を測定するもう1つの、より実践的な方法として、レイテンシー(トランザクションが承認されるまでにかかる時間)に当てられています。メインネットでは、最小レイテンシーは20秒です(1ブロック)。これがスタート地点です。Hydraのようなレイヤー2システムでは、1秒未満の承認時間を達成することが可能です。以前は「100万TPS」といった用語が使われてきました。これは大胆な数値です。これは野心的な目標値なままである一方、あらゆるシステムの最終目的は需要に応じて機能を拡張する柔軟性です。HydraヘッドごとのTPSでスループットを測るのは2次的なものです。ほとんどの場合利用可能なハードウェアによって制限されます。原則として、Hydraヘッド数を増やすことによって、システム全体で任意の高スループットが達成できます。

今後のHydraの進化

短期的には、コミュニティ(そして私たち)が実際のアプリケーションを構築するための堅固で安定した基盤となるまで、hydra-nodeとHydraヘッドプロトコルの開発は続きます。これらの新たなアプリは、迅速な決済と、低コストから無料のトランザクションによる恩恵を受けます。また、他の主要な機能も鋭意開発中です。これには、1ノードに複数のヘッドや持続性、ヘッドプロトコル拡張機能のサポートが含まれます。

中期的、すなわち6~12か月間の進捗は、調査や実験の結果、および開発者コミュニティからのフィードバックに大きく依存します。たとえば、現在複数のHydraヘッドを相互接続して、レイヤー2ソリューションの「リーチ」を広げる方法を研究しています。また、Hydraをより簡単に統合して使用するためのさまざまな方法をテストしています。長期的なビジョンの中で最もエキサイティングなものの中には、「仮想ヘッド」の開発があります。HydraヘッドプロトコルをHydraヘッドの内側で実行することによって、レイヤー2ソリューションの同型をフルに活用します。ここには、理論的に無限のスケーラビリティがあります。

柔軟性がスケーラビリティと成長の鍵

Hydraの包括的なコンセプトは、スマートコントラクトをサポートするUTXOベースの第三世代ブロックチェーンであるCardanoに適した、先駆的なレイヤー2スケーラビリティソリューションの提供です。Hydraは、スループットを増やし、安全性を維持しながらコストを削減します。

Hydraは、ユーザーの摩擦を最小限に押さえながらメインチェーンの機能を複製しますが、レイヤー2で異なる手数料やコスト構造、タイミング制約をもたせる柔軟性を可能にします。成功するエコシステムは、すべてのユーザーのニーズにバランスよく応えています。私たちは、このエコシステムが個人消費者、企業、専門家、そして、拡大するDAppリストやその開発者のニーズに応えて欲しいと思っています。

Cardanoは、Alonzoハードフォークでスマートコントラクトプラットフォームとしての新たな旅を始めます。Hydraのような技術が可能になり、これが次に、Cardanoのスケーラビリティを劇的に向上させ、更なる普及を促進します。

9月25、26日に開催されるCardanoサミット2021では、Hydraの詳細情報、現時点の進捗情報、今後の目標などが紹介されます。ぜひご参加ください。

本稿の執筆にあたって、Matthias Benkort、Arnaud Bailly、Fernando Sanchez諸氏にご協力いただきました。