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ByronからShelleyへ:Part1 テストネット

2020年 4月 29日 Kevin Hammond 9 分で読めます

ByronからShelleyへ:Part1 テストネット

CardanoのByron(バイロン)リブート成功を受けて、Shelley(シェリー)メインネットへの段階的な移行が始まりました。これは、静的な連合システムから動的な分散型Cardanoブロックチェーンへの移行を意味します。

このプロセスは、ハイブリッド型Shelleyへのアップグレードを最終地点とする、一連のHaskell Shelleyテストネットから始まります。

Haskell Shelleyテストネットは、ステークプールオペレーターおよび一般ユーザーすなわちADA保有者の双方にとって、これまでのインセンティブ付きテストネット(ITN)とは異なる体験となります。これは、ITNとHaskellテストネットが異なるゴールを念頭において作成されているためです。

ITNはステークプールオペレーターに重要なインフラを構築する経験を提供し、その間IOHKのエンジニアが新たなインセンティブメカニズムを、実際のADA保有者が委任した実際のADAを使用してテストするためにデザインされました。一方Haskell Shelleyテストネットは、Shelleyメインネットが初日から、確実にクラス最高の体験を提供できるよう調整するためのものです。ITNとは異なり、Haskell Shelleyテストネットは「通常」のADA保有者を含まず、インセンティブはつきません。各段階の実施期間は、数か月というよりも数週間単位の非常に短縮された期間となる予定です。もちろん、ウォレット、エクスプローラーなどの作動テストを行いますが、報酬を伴わないテストADAを配布するフォーセットを使用します。ADA保有者は公開されたテストネットでDaedalusやエクスプローラーを試用し、フィードバックを提供しますが、実際のADAを使用することはありません。

Shelley体験は明確に定義された段階ごとに公開されます。最初の3段階は新しいShelleyの能力を探り、テストを行い、次にShelleyメインネットへの完全なデプロイに向けての準備段階に入ります。

フェーズ1:パイオニアおよび「フレンド&ファミリー」段階

まず、招待制の「フレンド&ファミリー」テストネットから始めます。この段階では、IOHKは社内向けにShelleyのみのテストネットワークを初めて実行します。それから、信頼できるステークプールオペレーター(「パイオニア」)を20名ほど招いて、この(初期は閉じた)ネットワークに参加してもらいます。パイオニアは、ITNで高レベルの技術スキルとコミュニティへの貢献を示したオペレーターからなる小グループです。

パイオニアは、CardanoメインネットへShelleyの完全なデプロイが進行していく中で、後に続く人々への道を作ります。この重要な初期段階では、Haskell Shelleyプラットフォームの能力を探る間、パイオニアからの貴重なフィードバックをキャプチャーするために、彼らに特定の機能テストを実行してもらうようお願いします。機能を追加し、テストネットの信頼性を証明していくにつれ、参加してもらうパイオニアを少しずつ増やしていきます。

この「閉じたアルファ」テスト段階では、IOHKは飽和閾値やネットワークレジリエンス、分散化といったシステムパラメーターの調整に焦点を当てます。さらにIOHKのエンジニアは、Ouroboros Praos(ウロボロスプラオス)コンセンサスメカニズムがシミュレーション外で作動する様子をチェックします。パイオニア段階においてIOHKのエンジニアたちは、次の段階に進む前に、ステークプールオペレーターたちのフィードバックやサポートにより、コントロールされた環境であらゆる不具合に対処する機会を得ることができます。ここでの発見はCardanoコミュニティに伝えられるとともに、Shelleyシステムについて学び、これを改良するための機会となります。

この段階はまた、質の高いテクニカルドキュメンテーションおよびサポートを生み出す場でもあります。コミュニティ全体に支えられたパイオニアたちは、ステークプールのセットアップと運営を容易にするドキュメンテーションの作成をIOHKに促し、テクニカルサポートチームにユーザーが今後直面する不具合について理解する機会を与えます。

フェーズ2:テストネットの開放 – 一般公開段階

ITNへのコミュニティの反応は素晴らしいものでした。私たちは、コミュニティ内にスキルを持つステークプールオペレーターが存在するという恵まれた環境にいます。今後もプロセスのステップごとに情報を公開し、リポジトリをこれまで通りすべてオープンにしていく予定です。ただし、純粋に実用性を考えて、最初は20人程度のオペレーターからなる小グループと1対1で作業を進めます。それでも、目標はできるだけ早くオープンにして、完全に一般公開をする次段階に進むことです。

ここではITNに参加したすべてのステークプールオペレーターが、以前に構築したインフラを再デプロイし、ステークプールを新しいHaskell設定に調整することができます。このテストネットは、メインネットにできるだけ近い条件で実行します。これにはByron期とShelley期のブロックの混在も含まれます。

Shelleyへの移行における各進行段階において、IOHKが重点を置くのはコミュニティのトレーニングとコラボレーションです。知識の分散化の重要性はプラットフォームの分散化の重要性と変わりません。アルファテストネットへパイオニアが参加することにより、残りのステークプールオペレーターにはShelleyシステムの設定と使用方法の助言という重要なサポートが提供されます。そしてオペレーターが慣れてくるにしたがって、彼らにもサポートを頼み、新たなオペレーターを迎えていくことになります。

フェーズ3:残高確認

メインネット配信前の最終段階となる第3段階は残高確認です。これは、ByronとITNのトランザクション履歴を合わせて、Shelley期メインネットへの準備を整えるものです。この時点で、ITNの報酬とメインネットの残高が統合され、これ以降はITNで報酬を獲得することはできなくなります。ただしユーザーは、報酬をチェックし、メインネットウォレットでこれを確認することができます。ADA保有者がITNで得た報酬を再請求するために取るべきステップの詳細は、時期を見て公開されます。残高確認段階は、分散型ステークプールとShelley期へ移行を始める前のほんの数週間のみとなります。

パイオニアの選定

パイオニアグループは、Cardano財団のチームと共同で考案した複数の基準に基づいて選定しています。プールオペレーターはITNでステークプールを実行するための深い知識を持つと同時にLinuxが使用可能でなければならず、バックグラウンドおよび地理的に多岐にわたっています。一部はクラウドソリューションプロバイダーを使用してプールを実行しており、その他は自身のハードウェアを使用しています。こうした混成状態になる予定です。さまざまな地域からパイオニアを選定することにより、グローバルリーチを確保できるとともに、新たなネットワーク実装をテストすることができます。

パイオニアはロールアウトしたプログラムをサポートするために週に一定時間を割き、直接フィードバックを送り、コミュニティにアドバイスを提供し、その後の各段階で他を指導することが期待されます。新たなオペレーターを迎え、これをサポートしていくことは、その役割の重要な部分を占めます。ここで明記しておくと、これまで通りIOHKのリポジトリはすべてオープンであり、誰にでも参加を奨励しています。いつもと変わらず、IOHKの開発者たちはCardanoコミュニティメンバーからのインプットを大事にしています。希望する場合は誰でも、自身のノードをスピンアップすることが奨励されますし、スキルのある開発者の場合はShelley Haskellコードベースへの強化を推奨することもできます。すべての情報はGitHubで公開されるからです。

私たちは、最初のテスト段階で期待する結果が得られ次第、プール増加によりネットワークが迅速に拡大されることを期待しています。

誰もが簡単にスタートできるように

Haskell Shelleyコードベースは形式手法と保証性の高いHaskellプログラミング言語を使用して開発されています。したがって、いくつかの軽微な不具合に対処する必要は想定しているものの、当初の体験で大きな問題に直面することはないと確信しています。これはByronリブートで用いて大きな成功を収めたアプローチであり、構築の基盤となっているのはここで開発したコードベースです。このアプローチにより、Shelley以降にもたらされる利益が一層増します。以前よりも飛躍的に迅速なソフトウェアのデプロイが可能となり、新機能に関しては、コーディングが完了する前から、厳密かつ入念なチェックを行うことができます。

ここでの目標は、ステークプールオペレーターたちがスムーズに軌道に乗れるようなプラグアンドプレイを提供することです。これは、既製のDockerイメージやAWSインスタンスを選ぶことができ、ステークプールをスタートできるという意味です。もちろん、経験豊富なオペレーターや、特定の設定要件をもつオペレーター向けに、スタンドアロンのバイナリおよびソースコードも提供します。

現在準備の最終ステージに差し掛かっており、だんだん熱を帯びてきています。新ノードが最初のブロックを生成したというツイートをご覧になった方もいるでしょう。この最初のステップが順調に完了し次第、日程および詳細情報を発表します。また、このプロセスにおけるその他の主要なステップおよびマイルストンの概要を紹介するブログも今後公開します。こうした情報を見逃さないよう、IOHKのソーシャルチャネルに目を光らせてください。ロールアウト開始情報は追ってお知らせします。